「巣鴨に住む少年」
巣鴨に住む少年は霧だった、うつくしい霧で、銀色をしていた。
僕には皮膚が無い、従って痛みが無い。
僕には痛みが無い、従って皮膚が無い。
或るときに少年は以下のことを考えた。
玲瓏な円錐花序沙漠、とにかく此処ではだれも服を着ていない、過剰歯、大学ノート一冊まるまる闇と書く行為にいちにち費やしている、積乱雲は猫の頭部に詰まっているから其れを開けてビンに詰め替えなくてはならない。
其れは一瞬のことだった、巣鴨駅の改札を漂いぬける瞬間のことだった。
鮮烈なさとりだった。
世界は新世界にぬりかえられた。
ひかりあれとさとり、ひかり、あった。
すると凄まじい速度で不意に日がくれて、世界は少年の様に象徴化され、同質に霧となった。
霧は銀色できれいだった。
だから霧は愛の色彩、少年と世界はつながり愛で満たされた、少年は愛の象徴であり、少年はしあわせで満ちた。
世界は少年のいろで満ちた。
巣鴨駅は「頭部をきりひらかれた猫と其処からはみだした積乱雲」。
それから「積乱雲をおさめるための硝子瓶」で満ちた。巣鴨駅といわず地球も、すべての地球儀も其れで満ちた。
其れはみな愛の象徴だった。
こともなし、うつくしゅう愛が全部を満たしている。歯車も細胞も全部が銀色だった。
ひかりあれとさとり、ひかり、あった。
巣鴨駅には過不足がない。
僕には皮膚が無い、従って痛みが無い。
僕には痛みが無い、従って皮膚が無い。
巣鴨に住む少年は霧だった、うつくしい霧で、銀色をしていた。
或るときに少年は以下のことを考えた。
玲瓏な円錐花序沙漠、とにかく此処ではだれも服を着ていない、過剰歯、大学ノート一冊まるまる闇と書く行為にいちにち費やしている、積乱雲は猫の頭部に詰まっているから其れを開けてビンに詰め替えなくてはならない。
其れは一瞬のことだった、巣鴨駅の改札を漂いぬける瞬間のことだった。
鮮烈なさとりだった。