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リナリア  作者: 茅野ハツ
1/1

1.出会い


3月。3年間という短い高校生活のうち、最初の1年が終わろうとしていた。


「寂しいよ〜一年早かったよお」

「来年も同じクラスがいいね〜」

「離れてもご飯たまには食べようね!」

今年1年を一緒に過ごしてくれた子たちで集まる。

「もちろん!ねえ、写真撮ろうよ!」

うみは自分のスマホを手に取り、高校1年生最後の日を写真に納める。

「ありがと〜、あ、じゃあ私そろそろ部活行くね!」

「あ、私も!」

「うちもバイトあるからそろそろ行くわー!春休み遊ぼ!」

そう言い残してうみの友達たちはバタバタと教室を出て行った。


(来年同じクラスにならなかったら疎遠になりそうだなあ)

うみは自分の荷物をゆっくり片付けながら、今年1年を振り返っていた。

(クラスの人達もみんないい人だったし、仲良くしてた子たちも楽しかったし、何も不満はなかったけど…)

想像していた高校生活よりは、あまりにも平凡すぎて、物足りなさを感じていた。


そんなことを考えていると、教室の後ろのドアからうみを呼ぶ甲高い声が聞こえた。

「うみー!早く帰ろー!」

唯一同じ中学出身の、唯葉だった。

「ゆいちゃんごめん!ちょっと待って〜!」

急いで荷物整理を済ませ、教室を出る。

(もう、この教室に出入りすることはないんだな)

高校1年が終わったことに、少し寂しさを感じた。


「来年は同じクラスになれるかなぁ」

唯葉は全体的に色素が薄く、声も高い。加えて背も低めなため、か弱い女子に見られがちだが、中身は全くそんなことはない。とてもしっかりしていて、うみにとってはお姉さんのような存在である。

「どうだろうね。9クラスもあるから、なかなか確率は低そうだよね」

そんな会話をしながら、下駄箱についた時に、唯葉があ、と何かを思い出したように声を出した。

「ごめんうみ、書道部で少し集まりあったの忘れてた。先帰っててもいいよ」

「えーいやいいよ!待ってる!久しぶりにゆいちゃんと帰れるんだもん!」

うみはバトミントン部に入っていて、普段は部活の子一緒に帰っているが、この日はたまたま顧問が出張で休みになったため、週2で活動している書道部の唯葉と帰る約束をしていた。

「そか、じゃ待っててね、すぐ戻る!」

唯葉はそういうと部室へ急いで向かっていった。


(何して待とうかな〜)

携帯をいじりながら近くの下駄箱にもたれかかっていると、突然「ねえ」と声をかけられた。

(え、何?誰?)

呼ばれた方に顔を向けると、怪訝そうにうみを見る男子が立ってきた。

「……邪魔なんだけど」

そういうと無理やりうみの頭の後ろにある下駄箱の扉を開けようとした。

「え、あ、ごめんなさい」

急いでその場をどき、彼が靴を履くのを邪魔しないように避けていると、彼のリュックが開いていることに気づいた。

「あの…リュック開いてますよ」

そういうと彼はうみを一瞬見て、軽く「チッ」と舌打ちをしてからチャックを閉めて校舎を出ていった。

(何あれ!態度わっるーー!顔はいいけど中身はサイアクだな!)

親切心で教えてあげたのを後悔しながら、うみはどうにか苛立ちを抑えようとしていた。



◯・◯・◯・◯



「あーそれ、多分3組の櫻田爽也だよ」

電車に乗りながら、うみは先ほどあった出来事を唯葉に話していた。

「え、何?有名なの?」

「いや、私は隣のクラスだから知ってるだけなんだけどさ、相当かっこいいから結構有名らしいよ」

「何それー!顔がいいからって調子乗ってるんじゃないの!」

「たしかに性格がキツいとも聞くよねぇ。でも、私たちの学年のミスター候補だよ」

うみの学校では毎年文化祭でミスターとミスを決める投票がある。大体3年生が受賞するため、1.2年生はノミネートされただけでも噂になるくらいである。

「へぇー。まぁどうでもいいや。どうせ同じクラスになる確率は低いしさ!」


そう言ってうみは櫻田爽也のことは、今後関わることはないだろうと今日いっぱいで忘れようとしていた。


初投稿です。

リナリアとは、花言葉で「この恋に気づいて」という意味です。とても可愛いですね。

至らない点もあるかと思いますが、これからどうぞよろしくお願いします☻

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