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鑑定石

それから私たちは淡々と説明を受けた。

なんでもここは私たちがいた世界とは別の世界で、私たちはお城の地下で行われた勇者召喚の儀式に呼ばれたらしい。初老の男は私たちが呼ばれた国の王様で、なんでも魔王が復活し魔物の動きが活発化、深刻な脅威になると王様が判断し儀式に踏み入ったみたいだ。


うん、色々と突っ込みたいんだが。まず別の世界って何?世界ってそう何個もあるものなの?勇者召喚っていっても私たちは学生なんですけど。私は死霊術師ネクロマンサーだから違うし、それともクラスメイトの中に勇者がいるの?って思ったけど王様が呼ばれた者全員が勇者だ、と言ったせいでまた訳が分からなくなった。魔族と魔王は分かる、そこはまだ分かる。人から放出された魔力を糧とする存在と、それらを統べる上位者。周囲に漂う魔力が少ない現代ではほんの僅かしか存在しないと父が言ってたっけ。ここはあり得ないほど魔力が濃いから魔物が出やすいのか。


つまりこの王様は蝗害のように出現した魔物を対処するためにわざわざ誰が来るかも分からない召喚の儀式をしたって事?しかもそのために高価な道具も使ってそれがまた手に入るまで私たちを送り返す事も出来ないって、仮に呼ばれた人が敵対的だったらどうするの?それ以前にただの誘拐だよね?


一番訳が分からないのが他のクラスメイト達。状況について行けずパニックになったりすると思ったのだが「マジ?、異世界転移?」とか「うっはテンプレ展開っ!」とか一部の男子は騒ぎ出すし女子も「これってネットの…」みたいに状況を私より理解してるみたいだし。え、もしかして理解してないの私だけ?


「えーと姫乃ちゃん、これってどんな状況か分かる?」恥を忍んで聞いてみる事にした。


「ふぇ?ショウちゃん異世界もの読んだ事ないの?ラノベやネットでいっぱいあるのに?」


「ら、らのべ、って?あと家にコンピュータは無いよ?」


「あー、ごめん。ショウちゃん私と会うまでスマホも持ってなかったお嬢様だってこと忘れてたよー」

何故か謝られた。でもまあ、教えてくれたので良しとしよう。なるほど、つまり最近話題の本に似た様な展開なのね、って言うと「うんそれでいいよー」と疲れた様な顔をして答えてくれた。


そうこうしてる内に王様から列に並ぶ様に言われた。なんでもこれから一人一人の力を測るらしい。みんな我先にと並ぶので私と姫乃ちゃんは一番最後だ。といってもみんなが我先にと言った感じで並ぶから出遅れただけですけど。

「鑑定石は触った本人名前、職業とそのレベルを写す。当然レベルは高ければ高い程よいが勇者は他の人より成長しやすいと聞くのでそう気を張る事はない」と王様が列の先端に置かれた台の上にある白い石を示す。一番前の男子が石に触れると、触れた手の上に光の幕が張った。そこを王様が覗き見る。


「ふむ、コバヤシハルキ、平民LV2、か」と王様が読み上げると露骨に先頭の男子、小林春樹こばやしはるきが落胆する。

「問題あるまい、平民はLV3で上位の職業に変化できる。勇者であるお主なら鍛えればすぐに上の職業になるだろう」と王様が励ますと次に並んだ生徒に来る様に声をかけた。


流れ作業の様に生徒が鑑定石を触る。そのほとんどが平民LV2か、平民LV3(上位変化可能)と読み上げられた。中には剣士LV3や盗賊LV2と変わった職業を持った生徒もいたが王様の顔をみると特別な職業ではないらしい。一番レベルの値が高かったのは柊修斗ひいらぎしゅうとの拳闘士LV5。見た所、職業とは本人の素質や今までの経験で決まると推測できる。つまりあの石は触れた本人の戦う力を測るマジックアイテムみたいらしい。そんな中、一人の結果に王様が驚いた。


「ほう、サカキキョウヤ、魔術師LV1か!魔術師の素質を持つものはとても珍しい。今は卵と言えど、勇者の成長速度ならすぐに偉大な魔術師になれるだろう」


坂木恭弥さかぎきょうやたしか彼は教室で私と同じく周囲の魔力を感じていた男子だった。魔力を感じれたと言う事は魔術師の才能があったと言う事。つまり魔術師としての才能は私たちのいた世界とここの世界も一緒のようだ。


あれ?じゃあ私は?

魔力を知覚し、死霊術を父から学んでいる私が触ると表示されるのは…


「ちぇー、平民LV2か、じゃあショウちゃんで最後だね、やっぱお嬢様とかお姫様とかでるのかな?」

もしかしたらまずい状況かもしれないと理解した時には、姫乃ちゃんの番が終わって、最後に私の番がきてしまった。まずい、私がこの球を触るのは、非常によろしくない気がする。


「あの、私、ちょっと遠慮してもいいですか?」途端に最後にされてきつかった周囲の視線が更にキツイものになる。


「えー、そりゃないよー、大丈夫だったて、なにが出ても私気にしないよぅ」


「そ、その、気分が悪いのでまた後にしたいんで「ほら早く、えい!」私が言い終える前に右手を姫乃ちゃんに取られ、それを白い石に押し付けられる。あわてて手を話そうとするよりも先に光の幕が現れた。


そこに書かれていたのは


     シノノメショウコ、死霊術師、LV29


想像の上を言った最悪の結果だった。

やっとタイトル回収出来ました。

次回から展開が早くなればいいな。

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