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桜木姫乃:遭遇

途中、書き直しに時間が掛かって遅れました。まあ二週間までいってないのでまだまし

「…あれぇ?ここは?」


ザーザーと降る雨の音、木の床が軋む音。そんな静かな音に誘われて目覚める。ここは、ベッドの上?


「あら、桜木さん。起きたんですか?」


隣で女の子の声が聞こえる。これは三馬鹿でも佐々木君でもないし、ゲルダのような老いた声でもない。


「速水さん?ここって、どこですか?」


隣にいたのは速水時雨はやみしぐれ、クラスメイトの中で唯一、私の他にショウちゃんを追う部隊に参加した女の子だ。弓道部に所属していたらしく彼女の職業は弓を使う猟師、レベルが今は14だったと思う。


「ここはサルヴィラの町にある宿屋よ。貴女が突然悲鳴を上げて倒れたの、覚えていない?」


「悲鳴…あっ!」


途端に思い出す。町に入る前に、突然ショウちゃんとの繋がりが途絶えた事、この世界の初めての夜がフラッシュバックした事、そしてその衝撃に耐えきれず気を失った事。


「そうだった!繋がりが…ほえ?」


「桜木さん!?」


「私は、大丈夫。それより、戻ってるの!ショウちゃんとの繋がりが!」


「え?戻った?」


「うん!なんでか分からないけど、戻ってる!」


あの時、突然途絶えたと思ったショウちゃんとの繋がりが私の中にある。まるで気を失う前の出来事がただの悪い夢みたいに消えている。



「そ、そう。具合は、大丈夫そうね。心配して損したわ」


そう言って速水さんは深いため息を吐いた。


「えっと、ごめんなさい。それで、他の皆は?」


この部屋に居るのは私と速水さんだけ。三馬鹿にゲルダさん、あと佐々木君は近くに見当たらない。一緒に町まで来た兵士さん達もだ。


「あの三人は別の部屋、佐々木は独断で東雲を探しに、引率のゲルダさんと兵士達は結界を張るとか言って居ないわ。何?久しぶりの女子だけの部屋なのにあいつらが気になるの?男の趣味悪いわよ?」


「そ、そういう訳じゃなくて!」


「そうね、あの三人は東雲に夢中で貴女は彼女のオマケだもんね」


速水さんはどうも口が悪いというか、いつも毒を吐いてるというか、まあ万人受けするような人ではないかな?。私を看病してくれていたみたいだし、悪い人とは思えなかった。少なくとも、露骨にショウちゃんを敵視する佐々木さんよりましだ。


「東雲も酷い女よね、釣った魚に餌を与えない主義ってやつ?」


「…少なくとも、ショウちゃんはそんな事は微塵も思ってないと思うよ?」


うん、ショウちゃんはあの三馬鹿の気持ちには絶対気づいていない。それが分かってるのにアプローチをする気もないから彼等を三馬鹿と頭の中で思うのだ。


「それもそうね。あの天然女、余計にたちが悪いと思うわ」


そんなこんなで目覚めてからの会話をしていると、


うあぁぁぁ!!


どこから、恐らくこの建物の外から悲鳴と何かが壊れるような音が聞こえた。


「何今の?」


「私が知るわけないでしょう!ここじゃないわ、外からよ!」


ベッドから飛び上がって、部屋から出る。体は問題なく動く。


「ちょっと、何勝手に飛び出しているの!?」


そう言って速水さんが私の後を追いかける。私も何が起こっているのか分からないが、心当たりが一つあった。薄っすらと脳裏に浮かぶあの夜の光景、お城から逃げ出したショウちゃんが、戻ってきて引き起こした事を。


「出る場所は、こっち?」


フロントみたいな所から出入口だと思う所を飛び出す。その瞬間建物越しに聞こえていた雨の音が大きくなり、いままで屋内にいたから当たらなかった雨粒が容赦なく私に降り注ぐ。


「あれは、何?」


でも私の意識は、冷たい水滴には決して向かなかった。それは足元にいる傷ついて道端に倒れる人でもなく、辺りから逃げ出している人々でもなく、


「…ァ…ァァ…」


目の前に見える、半透明の何か。声は微かに聞こえ、雨で見えにくくて、目を凝らさないとよく見えない。だけども見逃すことはあり得なかった。ゾウのように大きい、ボロボロのイソギンチャクみたいな怪物は、一見儚く、すぐにでも崩れ落ちそうで、それで尚、私の直感が全力で警鐘を鳴らしていた。


アレは、やばい。


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