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桜木姫乃:断裂

漸く時間が空いたので投稿を再開します。今は時間の余裕があるので次の投稿は大体一週間後になればいいと思います。

「やっと見えた、ようやく着くよぉ…」


サルヴィラの門が見えだしたのははその日の午後、そろそろ空が茜色に染まりだす時間だった。


「やっとかよ、退屈で死にそうだったぜ」


「座りすぎで、体の節々が…」


御者さんにもうすぐで町が見えると聞いたときはみんな揃って馬車からのめり出した。安全、迅速に移動する為と言われたが食事、休憩、それと睡眠の時間以外はずっと馬車の中だったのだ。しばらく馬車は見たくもない。


「それで、どうなんですか?あの町に彼女は居るのですか?」


佐々木くんが私に問いかけてくる。この馬車に乗っているみんなは既にゲルダさんを通して私の中にある感覚について知っている。本当は隠しておきたかった、特にショウちゃんを目の敵にしている佐々木君には…だけどそもそも今サルヴィラの町に向かっている理由が私の感覚がショウちゃんのいる方角と同じという理由なのでゲルダは明かさないと意味がないと言っていた。


「…!、近くに感じる、間違いなく、あの町にショウちゃんが居ます」


目を瞑って、自分の胸の辺りに意識を向けると、そう離れてない所に居ると感じている。ゲルダさんによるとこの感覚は、私はショウちゃんの魂の在処が分かるようになったらしい。なんでもこの世界だと、双子の一人、或いは両方が相手の場所が分かることが稀にあるらしい。原因はよく分かっていないそうだがゲルダさんはこの現象を「魂の繋がり」によるものだと推測しているそうだ。



目の前に居ないのに、何処に居るのかが分かる不思議な感覚。お城で教えられた聖女の業とはまた違った感覚だ。まるで私のがアンテナになって、ショウちゃんの居場所を受信しているような、又は流れ込んでくるような感覚。そんな感覚が、音もなく突如、途絶えた。


「え、あれ?嘘?」


「どうかしましたか?」


「消えた…」


「え、消えたって?」


「ショウちゃんの感覚が消えたの、さっきまで感じてたのに!」


坂木くんが私の異変に気づいて声を声を掛けてきた。私は目を瞑ってもう一度感覚を探そうとしても、まるで最初から無かったかのように何も感じない。



「桜木さん、やはり彼女を庇っていたんですか?この方向にいるというのも嘘に感じますね」


「うるせぇな!テメェは黙ってろ!」


「桜木さん、桜木さん、?」


佐々木くんと柊くん言い争い始めるが、気に掛ける余裕は私には無かった。消えた感覚の代わりに、不安と孤独感が私を襲う。およそ一週間の間、意識しなくともずっと私にあったショウちゃんとの繋がりが途絶えた。あの夜を思い出してしまう、この世界に来た日の夜、お城が襲われた夜を…


「あ、ああ…」


悲鳴が、何かが壊れる音が、思考に過る。馬車の中にいるはずなのに、周りに誰かいるはずなのに、今もあの暗い部屋に一人でいるかのように思ってしまう。


「嫌、助けて…ショウちゃん…」


「おい桜木!しっかりしろ!何があった?」


「そ、そうだ!御者さん!今すぐ止まってあの老魔術師、ゲルダさんを呼んでください!」


暗いよ、怖いよ、助けてよ、ショウちゃん。心の中で助けを求めても感覚は戻らず、私は自らの意識を手放した。



補足になりますが、この話の時間は本編の 戦闘:路地裏の悪霊 の少し前になります。姫乃の感覚の消失の理由は聖子が使った魂隠しによって聖子の魂が感知出来なくなったためです。

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