結界
随分遅くなってしまいました。
最近は忙しい日が続いたのですが、漸く落ち着いてきたので次はもっと早く投稿できる、といいなぁ
「うっ…」
大量の魔力を使った反動で倒れそうになるが、なんとか持ち直す。
「はあ…はあ…」
「ショーコさん、具合が悪そうですが?」
私の不調をアレス君に見抜かれる。流石に、町一つ程の範囲だと負担が大きい。王都で扱った死霊と比べ遥かに多いのだ。恐らく数百体程だろうか、気を抜けば手放してしまいそうだ。だけどせめて町の外に出るまで支配を解くことは出来ない。
「大丈夫です、問題…おや?」
範囲の中に一際大きな魂を感知した。これは、あの仕留め損なった悪霊だろうか?感じる霊体は逃げ出した時よりもボロボロで、いつ魂が消滅してもおかしくない程損傷している。もしや、別の誰かと戦っているのだろうか?だとしたら都合がいい、戦っているなら悪霊が存在する限りその誰かの注意を引いているという事だ。支配は、出来ない…たとえ損耗していても悪霊を支配出来る程の腕前は私には無い。
『ならば命令です、悪霊の周囲の死霊は糧になりなさい。』
予定を変えて支配した死霊の内、悪霊の近くに居た存在を悪霊に食べさせる。悪霊を援助して、より長く戦わせる作戦だ。支配した死霊の数体の反応が消え、悪霊が少し持ち直したようだ。もしかしたらゲルダもあの悪霊に釣られているかもしれない。そうなればすぐにでも悪霊は滅びそうだが、それはそれでゲルダがそこに居る証明になるし、悪霊が暴れ続ければそれだけで騒ぎになる。
「アレス君、一番近い門に案内してください。陽動があるので今なら障害は無いはずです。」
「陽動ですか?」
「はい、支配した死霊に騒ぎを起こさせて注意を引かせますので、その隙を突いて門まで向かいましょう。」
厳密にいえば支配してはいないし死霊でなくて悪霊だが、あまり細かく話す暇はない。詳しい事情は後で話そう。他の死霊は殆ど待機させて、数体に『人に憑りつき、暴れなさい。』と命令する。あまり大規模にやるとそのせいで早めに門を閉ざしかねないのでまだ動かさない。
それと、いざという時の為に数体だけ私の近くに呼ぶ。複数の死霊が周囲に現れ、つーは私と死霊を交互に見て『あれ誰?』と言いいたそうに見えたががモーリスが『あれ等は主に支配されてます。』と先に説明してくれてた。つーはそんな彼等の周りをプカプカ回るが、死霊達は私に支配されているので何の反応もぜず、飽きたのかまた私のそばに戻った。
「分かりました、門へ行きましょう。こっちです、付いて来てください!」
アレス君の案内を受け、町を歩きだす。
「守りが、厳重ですね。これ以上は近づけません。」
しばらくして近くの門の付近にたどり着いた。今は建物の陰からまだ開いてある門を覗いている。まだ門は空いていたが、その警備は厳重だった。日が沈む前に中に入ろうとする人や馬車、魔物に引かれた荷車を六人の兵士が調べ上げ、門の左右に四人づづ見張り、更に壁の上に見張りが三人。見えるだけで合計十三人の兵士が門にいた。かなりの数だけども、それだけなら大した問題ではなかった…
「それだけじゃありません、結界があります。このままでは突破できません。」
「結界?あの、もしかして薄っすらと見える白い膜ですか?」
どうやらアレス君にも見えたようだ。門を通ろうとする通行者は見えてないので、アレス君が保有している魔力は思った以上に多いようだ。もしかしたらモーリス達も見えるのかもしれない。
門の周囲全体、見張りの兵士を囲むように結界が張ってあった。見た感じでは人や物が自由に出入りしているので恐らく霊を退ける為の結界だ多分ゲルダが張った物だろう。いくら霊を従えても、結界に邪魔されては私では兵士一人倒すことすら無理だ。
「ええ、あれがある限り、私は門へ何も出来ません。」
「どうしますか?このままだと閉まっちゃいますよ?」
門の前で止まっていた馬車が進みだし、町の奥へと消える。今門の奥に見えるのは荷車とその持ち主らしき男性だけだ。彼が中に入ってしまえば、この門は閉じてしまう。
「アレス君、あのランプが見えますか?」
私が指さしたのは門の入り口の真横に吊るされてあるランプ。優しい光で薄暗くなっている辺りを照らしていて、門の見張りの内二人がその周辺から動いていない。
「あれですか?変ですね、暗くはなってきましたがまだ無いと見えない程暗くないですし、現に他の街灯はまだついていませんよね?」
アレス君の言う通り、門の周辺や町の要所に同じような街灯があるが、付いてあるのはあれだけだ。それに、あのランプと結界に魔力の繋がりがあるのが分かる。
「恐らく、あのランプが結界の要です。アレス君、アレを弓矢で打ち抜けませんか?」




