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「ん〜?なんかあやしいなぁ」

姫乃ちゃんが私に疑惑の目を向けて来る。しまった、こんなハプニングは今まで無かったけどさすがにあの対応はよろしく無かったか。急にカバンを閉めたらそりゃ何か入ってますと入ってる様なもんだ。しかしカバンの中を見られる訳にはいかない。あの魔道書を見られたらドン引きすら通り越して通報一直線だ。


「え、えーっと…」

しかしどうやって誤魔化そう、「みちゃダメ!」なんて言った日には見られたくない物が入ってますと自白するのと同じだし、かと「何も無いよ」なんて信じてくれなさそうだし


どうにかして隠し通す方法を頭を捻って模索する。その間にどんどん親友の視線が険しくなる。


「ジーーッ…」

自分でジーーって言い始めちゃったよ!追い込まれるのを視線で感じながらこの場を切り抜ける方法を考えようとして…


全身に突如現れた感覚が、私の思考を吹き飛ばした。


「…えっ?」

口から言葉が漏れる。まるで一瞬で質感のない水中に引き摺り込まれた様な、はたまた透明な壁が四方から迫るかの様な圧迫感。いままで教室に存在すらしてなかった物が、瞬きをする間もなく私を覆っている

「何…これ…」

「えっえ、どうしたの聖子ちゃん?」

急な私の態度の変化を感じて姫乃ちゃんが心配して来る。彼女は何も感じていないみたいだ。辺りを見渡しているがみんな平然としてる、いや一人だけ私と同じ様に周りを見ている人がいる。彼も辺りを覆った何かを感じた様だが私には気ついていない様だ。どうして他のみんなは何も感じていないのか。いや、何故私はこれを感じているのか。これは何だ、今まで感じたことはあるのか。ある、私はこれを感じた事がある。この教室を包んだ存在の正体は…


「魔力?」

納得と驚愕が同時に思考を駆け巡る。魔力は死霊術師、つまり魔術師である私のとって身近であるはずの物だ。全ての生命が糧とする物理的なエネルギー、それとは別に精神が発するもう一つの隠されたエネルギー、それが魔力だ。意思の強い者程満ち溢れ、知らずに自らの行動の支えとなる。

魔術師はこの普通は知覚できない魔力を知り、効率的な運用方法を持って超常的現象を引き起こす、そう父に教わった。つまり魔力とは本来どこにでもある様な物だ。もちろん私の中にも。でもこの濃度はありえない。私の中にこんな量の魔力はないし、父のが魔術で死者を操る時もこんな辺りを圧迫する様な魔力は感じなかった。

足元が光りだす。下を見ると、教室の床全体に魔法陣が展開していた。


「うっ、眩しっ」

「おい、何だこれ?」

「何よこれ!どうなってるの!?」

教室全体がパニックになる。魔法陣から放たれる光は魔術の副産物であり、普通の人も見る事ができる。そして魔法陣が光りだすということはこれから魔術が発動する合図、逃げ場はない。

「しょ、聖子ちゃんっ!」

姫乃ちゃんが私の手を握る。その手を握ったまま、自身と姫乃ちゃんを守る様に彼女ん抱きつき、体を丸める。これが攻撃系統の魔術だとしたらこんな事をしたって気休めにもならないが、この一瞬で出来るせめてもの抵抗をする。

魔法陣の光が一層強くなる。その光はどんどん強くなり、教室を覆う。つぶった目が、光に染まる。何も出来ぬまま、光に体が溶ける様な感じがして、


私たちは、世界からいなくなった。


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