別れ
遅くなって申し訳ありません。
次はもっと早く投稿できるようにしたいです。
「書き終わりましたよ…ってどうしたんですかショーコさん?」
実はあのカラス達は飼われていた事に罪悪感を感じてちょっと俯いていたら部屋の奥からアレス君が戻ってきた。手には紙の封筒が握られていて、私の様子がいつもと違うのが分かったみたいで私に問いかけてきた。
「な、何でもないですよ?」
「ガルドさん、俺がいない間に何したんですか?」
詳細は話せないので誤魔化そうとはしたが効果はまるで無く、原因がガルドさんだと思ったのかアレス君は彼に向かって睨み始めた。
「おいおい、俺は何もしてねーよ。ちょっと嬢ちゃんとお話ししてただけさ。だろ?」
そんなアレス君と笑顔で応対しつつ私に同意を求めてくるガルドさん。あまり話を荒立ててほしくないので彼に同意しておく。
「そうです、ちょっとお話ししてただけですから。」
「…分かりました。」
納得してなさそうな表情でアレス君が答える。良かった、何とか落ち着いてくれて。すると今度はガルドさんが何か思いついたのか、手を叩いて提案してきた。
「そーやアレスとは最近話してなかったな。つー訳で嬢ちゃん、二人っきりで話したいからちょっと席を外してくれるかい?」
「…え?」
アレス君はちょっと驚いたような顔をしたが、聞いた感じではそう頻繫に顔を合わせている訳ではないのでアレス君はともかく、ガルドさんの方は彼に話したいことがあるのだろう。私としては問題はないので了承しておく。
「分かりました、では外で待っててますね。」
「おお、すまんな。」
「え?ちょっと待っ…」
言い終わる前に建物の外に出て、バタンと扉の閉まる音が言葉を途切れさせる。わざわざ二人きりと言ったからには部外者には聞いてほしくない内容だと思う。モーリスに盗み聞きさせることも出来るが、止めておく。私が聞くべきことじゃないだろうし、そろそろ彼らとは距離を取るべきだ。
この場を今離れて勝手に別れることも考えたが、それで変な騒ぎは起こしたくはない。それにこの世界に連れ去られて、初めて仲が良くなった生きてる人だ。町までの一週間、彼との旅路に終止符を打つのだから、ちゃんとしたものにしたい。
鳥文屋の壁に背を預け、空を見上げる。今日の天気は曇り空、朝に最後の村を出た頃は白かった雲が、だんだん暗くなってきた。
『そろそろ雨が降りそうです、早ければすぐにでも降り出すでしょう。』
とモーリスが私に伝えてきた。考えてみればこの世界では初めての雨だ。傘なんて持ってないし、そもそも売ってあるのかすら分からない。このままではまともに外を歩けなくなる。
『そうですね、ですが町にいて良かったです。』
とモーリスへ返事する。もし雨が今夜でなく、昨日以前、又はこの町を出た後に降り始めたら雨を浴びながら進むことになった。そういう意味では助かった、街中なら身動きが取れないだけで済むけど、町の外にいたらびしょ濡れになってしまう。
『仮に、アレス君が付いて来てくれれば、外の雨もどうにか出来るのでしょうか?』
ふと、そんな事をモーリスへ呟いてしまった。
『…主よ、それは、』
『分かっています。彼には彼の生活がありますし、正体を知られてしまうかもしれません。彼とは、ここでお別れです。』
そう、アレス君は女の一人旅は危ないからと町までの護衛を押し付けられただけだ。一人の時より遥かには快適な旅だったが、それが元の一人旅に戻るだけ。
これまで散々迷惑を掛けたんだ、ここできっちり別れ、それで終わりにしよう。




