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到着

一週間の旅を終えた私達を出迎えたのは、そびえ立つ白い壁だった。


街全体を囲むように作られた壁は、王城の周りにあった物ほど高くはなかったが、それでも町を守る目的を十二分に果たせると思わせる。中に入る為の門を兵士が守っており、壁の上に幾つかある物見台からも監視をしている。それは、町というより砦といった方が相応しいと思ってしまった。壁に囲まれた町、サルヴィラ。王都を除いて、この世界でたどり着いた最初の町だ。


町の内部に入るのに、特に問題はなかった。門番の対応も私達に何処から来たのか?、町を訪れた理由は?、みたいな単純な質問の後、ローブを纏った私に顔を見せろと言ってきたが、多少ジロジロ見られた後に納得した様子で通してもらえた。最悪私の人相書きとかが王都から来てたかもしれないと焦ったけれど、そのまま入れたので助かった。ここ最近は運が向いてきている気がする。


サルヴィラの町は、外も中も今迄通ってきた村と違っていた。レンガが敷かれ整っている地面、暖色の飾り気がある家屋、賑わいのある人通り等、色々と賑やかになっている。喧噪の中にかすかに笛の音が聞こえて、何処で吹いているのか気になり辺りを見渡す。その最中に、荷車を引いた魔物を見かけた。カバに似た赤色の魔物が道の真ん中を通っているのに誰も特に反応していないようだ。


「あの、アレス君?あそこにいるのって、魔物ですよね?」


城下町では見かけなかったので、アレス君に聞いてみる。私が指さした方向にいる魔物を見て彼は答えてくれた。


「ショーコさんはオーダルを見るのは初めてですか?あれは力があって気性が穏やかな魔物なので、良く従魔師テイマーが力仕事の為に従えているんです。」


「えっと、従魔師テイマーというのは?」


「魔物を従える事が出来る職業です。ああやって荷車を引かせたり、ほかの魔物相手に戦わせたりするんです。」


なるほど、そんな職業もあるんだ。確かにあのオーダルは、結構荷物を載せている荷車を苦も無く引いてる用に見える。この世界に連れてこられるまで魔物は数えるほどしか見たこともない。それも私の記憶にあるのは、どれも魔力に飢え、小さく弱い魔物ばかりだ。人に決して近寄らず、隠れて生きている存在。だけどこの世界では人懐っこかったり、好戦的だったり、人前を出歩いたりしている。魔力が豊富な世界では、魔物のあり方が全然違う。


「随分物珍しそうに見てますね、ショーコさん。」


笑顔で私にそう伝えるアレス君。そこで私がずっと辺りを不審者かお上りさんみたいになっていた事に気づいた。ちょっと恥ずかしい、ローブがなければ顔が赤くなっているのを見られたかもしれない。


「こういう所は初めて何ですか?」


「は、はい…初めてですね。」


「そうですか、あれ?確か前に王都から来たって言ってませんでしたか?」


「その、余り辺りを見渡す余裕が無かったので…それより!町に着きましたけどこれからどうするんですか?}


アレス君に嫌な所を聞かれた。確かに今ほど余裕はなかったが、余り王都の話はしたくない。下手すればうっかりよろしくない事を漏らしかねないので、話題を逸らしてみる。


「ああ、そういえばそうですね。ここでずっと突っ立ているのも程々にしましょう。じゃあ先ずは鳥文屋に向かいます。」


鳥文屋?鳥文は聞いたことがある気はする。伝書鳩のイメージが頭に浮かぶ。多分似たようなものだろうが、断定はできない。ここは黙って付いて行くことにしよう。


アレス君に案内され、賑やかな街並みの中を歩きだす。




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