白と黒のコントラスト
「ただいまー」
買い物を済ましてとっとと帰宅。
無駄な時間はつくらないぜ。
はやく回鍋肉つくらねぇとな。
『マンゴー』
「なにいきなりしりとりはじめてんだよ。ゴマ」
『兄もちゃっかりのってきてる。マ、マ、マンゴープリン』
「もう終わりじゃねぇか」
お前しりとりのルール知らないの?
つかなんでさっきからマンゴーおすの?
食べたいの?
『おかえり。頼んでおいた例の物はちゃんと買ってきた?』
「あぁ。ばっちり買ってきたぜ」
実は実衣にお使いを頼まれていた俺。
例の物というのはその内容だ。気になるか?
そうだよな。気になるよな。すげぇぞ。これは。
いいもんだぞ。
「ほらよ」
そう言って俺は実衣に例の物を手渡す。
『ありがと‼︎ お兄ちゃん‼︎』
お兄ちゃんキターーーーー‼︎
久しぶりに呼ばれたぁーーー‼︎ ヒャッハー‼︎
俺が実衣に買ってきたもの。それは、ジ⚪︎ンプだ。
今週号な。思いのほか普通のものだったろう。
馬鹿野郎。俺が妹にへんなもん買ってくるか。
強いて言えばそうだな。
去年の誕生日にすっげぇエロい下着をプレゼントしたことくらいだろうか。
あの時は死ぬかと思ったな。渡した瞬間に
『天誅』
うわ。思い出すだけで鳥肌が。
そういえば実衣があそこまで顔真っ赤にして怒るのは珍しいな。なんでだ? 誕生日パンツはダメ?
いや待て。もしかしたら、照れていた? だってよ。
『兄は実衣にこういうの履いてほしい?』
なんて聞いてきたんだぜ?
あれを聞いたときはコイツなんて可愛いんだ。
そんな潤んだ瞳で言うなよ。天使か?
って心の底から思ったさ。
まぁその後にボコボコにされたけど。
結局あのパンツは捨てられたんだろうな。
くそ。もったいない。終いにはプレゼント買い直せとか言い出して最新のゲームハード買わされたし。
実衣さんマジ容赦ないわ。
だからというわけじゃねぇが。
もちろん諦めたわけでもないが。
今のところは実衣に変なものは
やらないようにしている。だがな。
いつの日か必ずあの時のようなとんでもなく
エロい下着を実衣に履かせてみせるぜ‼︎
『兄。何かよからぬこと考えてる』
「ハッ⁉︎ なに言っちゃってるの⁉︎ なわけねぇだろ。俺は最高に清らかな心の持ち主だぜ? もはやあれだ。天然水くらい清らかだよ? しかも軟水で飲みやすい‼︎ そんくらい純粋な心だぞ? そんな俺がよからぬことなんて考えるわけねぇだろ」
あっぶね。実衣にエロいパンツ履かせようとしてるのがばれたらえらいことだ。
ここはなんとかやりすごさねぇとな。
『嘘。絶対変なこと考えてた。実衣には分かる。顔を見ればお見通しだよ‼︎』
くっそぉ。どんだけ鋭いんだ。
ジ⚪︎ンプ派のくせにコイツ。名探偵かよ。
こりゃテキトーに流すしかない。何て言おうか。
そうだな。
1、そんなことねぇって。もういいからよ、夜飯作るから少し待ってろ。
2、別に変なことなんて考えてないんだからね‼︎
3、そんなことよりエロいパンツ履いてくんね?
3はないな。言った瞬間に天誅だ。お陀仏だ。2は2でキモいよな。ありえない。それなら1しかないな。よし、1だ‼︎
「そんなことよりエロいパンツ履いてくんね?」
なんで1選択したのに3になってんの⁉︎
1番アウトじゃねぇか⁉︎
なに言ってんだ俺‼︎
たしかにエロいパンツは履いてほしい。
それが本心だ。だがしかし‼︎
……………………………………………………。
おーい。実衣さん。何か言ってくださいよ。
無言が1番辛いんですけどー。
そんなドン引きしないでください。頼むから‼︎
これはうっかりなんだよ‼︎ それか神様の悪戯‼︎
悪戯にしては悪意ありすぎだろ‼︎
逆らうことができなかったぜ‼︎
知らないうちに口走ってたな俺‼︎
くそぉ。俺の株価が大下落だよ。
『兄ってほんと変態。妹にそんなパンツ履いてほしいとかありえない。しかも直接目の前で頼み込むなんて。この鬼畜。バカ』
実衣さん顔赤けぇー。真っ赤じゃん。
もしかしたら照れている? うん。わかってるよ。
怒ってるんですよね。
実衣なら照れる姿も怒る姿も可愛いけどな‼︎
って今はそんなこと考えてる場合じゃねぇ。
あのね。実衣さん。これはなにかの間違いなんです。履いてほしいのは本心だけど。ここは素直に謝ろう。本心は偽り通すがな‼︎
「実衣。悪かったって。えっとな。今のは冗談‼︎ そうさ‼︎ 冗談だよ。冗談」
『冗談? そう。冗談なの』
あれ? なんかしょぼくれてる?
じつはエロいパンツ履きたかった? なわけねぇか。一応聞いてみるか? エロいパンツ履きたかったの? って。うん。殺されるな。
「おうよ‼︎ 冗談だっての‼︎ 妹にそんなパンツ履いてほしいわけねぇだろ」
『去年の誕生日に買ってきたくせに』
覚えたかー‼︎
「えっとな‼︎ あれは、そう‼︎ 体を張ったギャグよ‼︎ 実は俺も同じの履いてたんだよ‼︎ お揃いだね‼︎ って言ってみたかったんだよなー‼︎」
『ふーん』
幻滅されたー‼︎ 当たり前だろー‼︎
なに口走ってんだよ⁉︎
「第一よ、いくらエロいパンツ履いても妹のパンツを見て兄貴が興奮するわけねぇだろ?」
いいや。するね。確実に。
だが今はこう言っておかないと場が収まらない。
ここは穏便にいこう。
『あっそ。バカ』
あれ? ちょっと? 実衣さん? どこいくの?
俺許されたの?
実衣はそのまま何も言わずに(書かずに)
二階へ上がって行きそして、
ガチャンと部屋の扉が閉まる音がした。
自分の部屋に戻ったのか?
なんか怒ってたのはわかるけど結局なにがどうなったかよくわかんねぇな。
まぁこれで一件落着で俺の本心がバレてないのならいいんだけどよ。
よし、回鍋肉つくろ。
うまいもん食えばまるっと解決だ。
よーし。完成だ。我ながら完璧な出来だ。
回鍋肉で大切なことは野菜だ。
キャベツやピーマンのシャキシャキ感が重要。
それには野菜とお肉は別々に炒めるのだ。
野菜のみを先に炒める。それによりシャキシャキ感が維持させる。全てを同時に炒めてしまうと
野菜がしなしなになってしまうんだよ。
これなら実衣も機嫌を直してくれるだろ。
「おーい。実衣飯できたぞー。降りてこい」
二階に向かって呼びかけるが返事はない。ただの屍のようだ。って返事はないのは当たり前だがいつもならこれですぐに降りてくる。
……………………………………………………。
遅いな。いやまぁ、時間的にはまだ5分も経ってないけど。それでも気になるものは気になる。
よし、直接呼びに行こう。
そう思った矢先二階から扉の開く音が。おっ?
部屋から出てきたな?
せっかく呼びに行こうと思ったが自分から出てきたのならいいことだ。
『おまたせ。待った?』
「俺も今来たところ」
『デートか。てかその前に見て見て』
「ん?」
あれ? 実衣。その格好。パジャマじゃないよな?
着替えている⁉︎ あの実衣が一日中パジャマを着ることなどざらにある実衣が⁉︎
今着ているのはとっても可愛らしい真っ白なワンピース。なに? ジ⚪︎ンプの影響?
名前しか共通点ねぇよ。
『どう? 似合ってる?』
突然どうしたんだ? 実衣。何がしたいんだ?
いや、すっごく似合ってるけどよ。
純白の清楚なワンピース。なんだこれ。
どんだけ可愛いんだ。
実衣は黒髪だから余計に白と黒のコントラストが
引いたって本当に美しい。
「おう。すげー似合ってる。可愛い」
『そう。なら……』
ん? 何する気だ? 随分と顔が赤いな。
俺が褒めたから照れたのか? 可愛すぎるだろ。
『兄。刮目せよ‼︎』
え? 何を? ってか、
なんでワンピースの裾に手をかけてんの?
その瞬間実衣はワンピースの裾をバッとあげた。
「⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎⁉︎」
自分でもわかる。今、とんでもない声出してる。
だが、考えてみてほしい。
ワンピースの裾をあげたらどうなるかを。
答えはひとつに決まっている。
パンツが‼︎ 丸見え‼︎
しかも実衣のパンツだぜ⁉︎ ドキドキしちまうだろ‼︎ しかもこれって。去年俺がプレゼントした
真っ黒なエロいパンツ‼︎ 最高だぜ‼︎ 超興奮する‼︎
白の清楚なワンピースの下にはこんな漆黒のエロい
大人パンツが隠れていたなんて。
このギャップがたまりませんな。
『フフフフフフ。兄め。ものすごく興奮している』
「当たり前だろ‼︎ するに決まってるわ‼︎ なんだそのパンツ‼︎ エロすぎだろ‼︎」
って、何堂々と妹にこんな感想言っちゃってるのォォォォオオオオオ‼︎
『兄。さっき言ったよね? 妹のパンツに興奮するわけないって』
まさか。コイツ。それが気に食わなくて?
いやいやいやいや。それでもここまでするか⁉︎
『わかったでしょ? 兄は妹のパンツを見て興奮してしまう変態だってこと』
これはあれだ。さっき俺が言ったことに対して怒ってやがったんだ。そんなに俺を変態にしたかったのか。嘘をついたことがそんなにいけないことだったのかよ。それとも女のプライドか? 妹だって女の子。
興奮しないと言われたら腹がたつのか?
いや、まさか。
妹は露出狂⁉︎
それはそれでありだが、実衣に限って有り得ないな。こんなこといったらマジ殺されるわ。
「すみませんでした。先ほどの言葉は訂正します」
『なら、兄。私は妹のパンツを見て興奮してしまった変態です。とここに宣言して』
「私は妹のパンツを見て興奮してしまった変態です」
『よろしい』
このやろ、絶対楽しんでやがるな‼︎
なんて悪どい顔してんだよ‼︎
フ⚪︎ーザ様もびっくりだよ‼︎
いつ、ホッホッホとか言い出してもおかしくねぇな。
『ホッホッホ』
ほら言っちゃったよ‼︎ 案の定言っちゃったよ‼︎
それにしても参ったぜ。やられたわ。
「実衣。悪かったな。さっきはあんなこと言っちまって。お前のパンツ、最高に興奮したぜ」
『キモ』
「なんか理不尽じゃね?」
見せてきたのはアンタですけど‼︎
『それより早くご飯用意して。変態にぃに』
「わーたよ」
用意はできてるけどな。ちくしょう。
冷めちまったぜもう。
それから、にぃには嬉しいが
変態つけるのはやめてくれませんか⁉︎