小さくても大丈夫
ホワイトシチューは鍋がないから作れないと説明したが、実衣は
『鍋がないのなら買えばいいじゃない』
などと言い出した。どこぞの嬢王様かよ。
なんてわがままなんだ。絶対今度作ってやるから
他のものにしれくれませんかと懇願したところ、
なんとか了解を得て今日は回鍋肉を作ることになった。もちろん俺は残り物のカレーな。
アレンジなんてありませんよ? 俺のカレーがなぜ
アレンジ無しかは簡単なこと。贅沢は敵ということ。そしてなにより実衣にはできる限りいいものを食べて欲しいからな。栄養価の高いものをどんどん食べさせて俺好みの体に(とくにおっぱい)成長させてやる。誰かいい方法知りませんか?
おっぱい大きくする方法。
今度知恵袋とかに投稿してみようかな。
「さっきからなにキモいことペラペラ語っているんだ? 吐き気がするゾォォオオェェェエエ」
「すでに吐いてるじゃねぇか‼︎」
「いや〜。別にはいてはいないぞ」
「ノーパン⁉︎」
「死ねよお前。そっちの履いてないじゃねぇよ。さっきのは吐いたモノマネだよ」
「なんて完成度だ。つーか、俺さっきの全部声に出してたの?」
さっきのってのは妹のおっぱい巨大化計画について意見求む‼︎ のことな。
「そりゃもう思いっきりな。通報しようかなと本気で悩みました」
「おいおいおい。マジか」
うっかりしてたー。でもよ。いいじゃねぇか。
妹が俺好みの体型になったら最高じゃね?
え?変態鬼畜兄貴死ねって?
バカ言っちゃいけねぇな。
俺は変態でも鬼畜でもねぇ。
ただ、妹が好きなだけさ。
「本当に君はシスコンだな」
「うっせ。つーわけで俺は夜飯のメニューも決まったことだし買い物行くけどお前はどうする?」
「そうだな。このまま君の買い物に付き合ってもやぶさかではないが。君のような変態鬼畜兄貴などと一緒にいたら私の貞操が」
「心配するな。ありえねぇから」
アリエナイ。君とはアリエーナイ。
「そこまで否定されると悲しくなってくるよ」
「いいじゃねぇか。清々しいだろ?」
「ムカつくほどにな」
まぁ心配すんなよ。麗奈は可愛い。いや、美人か。
とにかくお前なら大丈夫さ。自信持てよ。
「⁉︎」
えっ? 何? どした? 麗奈。なにそんな驚いてんだ? つーか、顔赤くねぇか?
「もしかしてまた声にでてたか?」
「ヘェッ⁉︎ あッ、あぁ‼︎ そうだな‼︎ でていたぞ‼︎」
そうかこりゃまたうっかりしてたな。
俺は自分の思ったことをついつい口にしちゃうみたいだぜ。本音ってのは隠せない。
そーゆーものなのかもな。
声にでてたのなら出てたでいいや。直接言おう。
「麗奈。お前は綺麗だよ。それに勉強も運動もできる。ただ、キャラに少し癖があるが俺はお前がそういうやつでよかったって思ってる。毎日楽しいからな。だからこそ、お前とはこうやって仲良くできてるんだよ。俺はお前の性格含めて好きだぜ」
「うー‼︎ うー‼︎ うー‼︎」
なに呻いてるんだ? こんな麗奈は初めてだ。
なんだろう。なんか、可愛いな。新鮮だ。
「いいか、麗奈、自信持て。心配するな。お前の貞操はそのうちすぐに危機を迎えるさ。あぁ、でもあれか。お前の胸小さい、いやねぇからな。そのまな板じゃあ巨乳好きの男は落とせねぇか。まぁ問題ないだろ。貧乳好きな男も世の中にはいっぱいいる。よく言うだろ? 貧乳はステータスだ。希少価値だってよ。だからだいじょ 」
「死ねェェェエエェェエええええ‼︎」
「ブゥァアフゥファァアア‼︎」
ローーー‼︎ じゃなくて‼︎ コイツ殴りやがった‼︎
顔面にクリーンヒット‼︎
「死ね‼︎ 死ね‼︎ 死ね‼︎ 死ね‼︎ このシスコンが‼︎ 私はてっきり颯斗君が‼︎ 颯斗君が‼︎ もういい‼︎ 帰る‼︎」
「おう……。気をつけて帰れよ……」
「とくに車に気をつけて帰る‼︎」
さいですか。それはいい心がけだ。
いや、そんな宣言いらねぇよ。つーか、超痛ぇぇ。
アイツなにをそんなに怒ってんだよ。
わっかんねぇな。明日になれば忘れてるだろうから
もういいや。とりあえず買い物いこ。