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妹は筆談で会話する  作者: キズミ
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カレーはつくりすぎると余って大変

放課後。今日も疲れたぜ。廊下に立つのはもう勘弁。とっとと帰って休も。あー。その前に夜飯の買い物しないとな。アイツ今日はなにたべたいんだろ。

って、だめだ。まだ残ってるんだ。あれが。

そう、あれとはカレーである。

ちなみに。昨日も一昨日もさらにその前もカレーが

夜飯である。あーゆーのって二人暮らしだと残るんだよ。作りすぎちゃってよ。

だが、ちゃんと工夫はしてる。

昨日はカツカレーでその前はエビフライカレーだ。

どうよ。妹が飽きないように工夫してるんだぜ?

ただ乗っけただけだって? おいおい。

それを言っちゃいけないぜ?

それ言っちゃ俺だけではなく世の中の主婦の方々を

敵に回すことになるぞ?

誰だって手抜きはしたいんだよ。つーことで、

今日もカレーだな。まだ余ってたし今日の分は余裕であるはず。ならあとはなにをのっけるかだな。

カツ、エビはアウト。さて、どーすっかな。


「おい麗奈、お前ならカレーになにのっけて食いたい?」

麗奈ならなにか思いつくだろう。ボケる可能性高いけど。

「そうだな。まずは愛かな」

「とりあえず黙ろうか。そういうのいらねぇよ」

なにほざいてるの? バカなの?


「何を言う。颯斗君。料理は愛情だよ。君のクソ不味いカレーでも愛さえあればおいしくなる」

「そういう話してんじゃねぇっての。つか、俺のカレーが不味い前提で話進めるな。俺が言ってるのはカツとかエビとかそういう話だ」

「ふむ。ようするにあれか。2日目以降のカレーを普通に食べるのでは飽きられてしまうので何か工夫をしよう。というのは建前で実際はどうやって手抜きをするかという話だな?」

「察しがいいな」


長い付き合いになるとここまでわかるもんなのか。

以心伝心ってやつ? まぁ話が伝わったならなんでもいいわ。


「お前ならなにのせる? カツとエビはもうやったからアウトな」

「納豆だな」

「却下だな。いもうとは納豆が嫌いだ」

いや、そもそもカレーに納豆? 意外にいけるのか?


「そうか。そうだったな。お前の妹は納豆が嫌いだったか。さすがはシスコンだな。兄の鏡だなシスコン」

「シスコンシスコンうるせぇ」

「いいことじゃないか。妹を大切にするということは。たしか、君の妹はホワイトシチューが好きだったね」

「あぁ。そうだなって、待てやコラ。お前まさかカレーにシチューかけるとか言わないよな?」


もしそうなら何考えてるの? この人。もはやバカを通り越して感心しちゃうよ? なに面白いこと考えてるの? やべぇ。少しきになるじゃねぇか。


「革命的だとは思わないか? カレーにシチューだぞ? ビーフシチューならともかくホワイトシチューだぞ? どんな味になるのだろうな。いや、そもそもどんな色になるのだろうな?」

「茶色と白じゃね?」

知るかそんなこと。やったことないわ。でも、たしかに興味はあるな。


「では、本日の一ノ瀬家の夕食はカレーライス。ホワイトシチューを添えて。ということで」

「誰がやるか馬鹿野郎」

コイツに聞いた俺が悪いんだ。どう考えてもコイツにこの手の話をふっかけたらそらボケるわ。もういい。妹に直接聞こう。


「妹に電話するから少し黙ってろよ?」

「御意。ククク」

なんだよその薄笑い。はしゃぐ気満々じゃねぇか。電話中にうるさくするとか何歳児だよお前。えっと、妹の電話番号はこれか。よーしかけよう。

プルルルル。っとつながった。


「もしもし、俺だ俺」

「おれおれ詐欺かい?」

「違うわ‼︎ 麗奈は黙ってろ‼︎」

麗奈め。やっぱり邪魔を。じっとできないお子ちゃまめ。


「実衣。今日の夜飯はなにがいい?」

……………。

あぁ。そうだよな。電話じゃダメだよな。でもこうやって声をかけたいんだよ。兄としては。たとえ返事がなくてもな。

「わりぃ。晩飯何が食べたいかメールくれ。じゃな」

おっ、もうメールきたぞ早いな。メールうつのも。


from 実衣

件名 夜ご飯

本文 ホワイトシチュー一択


「マジか」

「どうした? 颯斗君」

「いやな。妹がホワイトシチューがたべたいってよ」

「ほらみろ。カレーにはやっぱりホワイトシチューだろう」

「絶対あわねぇよ。食ったことねぇけど。つーか、

事情説明するの忘れてた」


to 一ノ瀬颯斗

件名 夜ご飯

本文 言い忘れたけどまだカレーが残ってるからその上になにをのっけたいかって意味で聞いたんだ。実衣はなにのっけたい?


よしできた。送信っと。

その5秒後。返信が来た。はや‼︎


from 実衣

件名 もう限界

本文 今日もカレーだと四日連続になる。もう無理。もはやカレーによる拷問。カレーはいや。なにをのつけてもカレーは食べたくない。これ以上の手抜きは許さない。なにか新しく作れ。


「ですよね〜」

アイツ怒ってるな。こりゃ。くそ。手抜きは無理か。

やっぱカレーはつくりすぎるとだめだ。

余って大変だぜ。仕方ねぇ、なんか作るか。

残りのカレーは俺が食うとしてどうしようか。

ホワイトシチューでもマジで作る? あっ、だめだ。ホワイトシチューをつくるために必要な大きな鍋は

今、忌まわしきカレーの占領下にある。

くそ、手詰まりだ。シチューは作れねぇ。

ならどうする? 決まってる。

シチュー以外のものをつくるまでさ‼︎

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