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面と点  作者: 苦無
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導入

俺は神田勇貴。17歳のいたって普通の高校生のつもりだ…正確にはだった、だな。ただ一つ変わったことがある…仮面をかぶっていることだ。

「ちょっとそこの君」

ほーらまたおまわりさんが。

「うぅん君…学生かな?その変な仮面はなんだい?ちょっと荷物検査させてもらってもいいかな?」

はいはいわかりましたよっと。もう慣れてますから。

「あ、あとその仮面とってもらえるかな?」

それは無理な話だ。

「ふむ…。」

一気に顔をしかめっつらにした。どうするか悩んでいるようだ。

「まぁ危険なものも持ってないようだし…あまり不審者のような行動は疑われるからやめときなさい」

はぁい。理解のあるおまわりさんで助かります。


…俺だってこんな仮面外せるなら外したいさ…。


「おっすまた職質かー?」

冷やかしながら話しかけてきたこいつは幼馴染の高橋だ。女だったらどれほど嬉しかったことだろう。

「急がないと遅刻すんぜー」

くそっせっかく誰も鉢合わせないよう早めに家を出たってのになんでこうもうまくいかないんだかー

「まだ外れないのか?さっすがに受験までには無理矢理でも外さないと大学いけねーぞー」

まったくだ。勉強だけは今まで順調にやってきたというのに受験すらできなかったら意味がない。

「おっセーフセーフ珍しく朝のHRに間に合うとは運がいいなー」

こいつはいつも1限から参加しているのか?まぁHRなんて大したことしていないから大丈夫か

「そいじゃーまた放課後ー」


…仮面がついてから変わりなく接してくれるのはこいつだけなんだよな…。クラスが違うというのが非常に惜しい。教師については医師の診断書やら親の説明でなんとか理解を得られたが(とはいっても元々近しい仲の教師はいないが)クラスメイトはやはり不気味がるものが多数だった。まぁ当然さ。道路に落ちている割れたガラスを進んで掃除する奴なんてそこの土地の所有者くらいだ。学校を自分のホームポイントだと思ってる奴なんてそうそういない。どうせ3年したら卒業しすぐにお別れだ。俺もこの仮面が外れるまでは迷惑をかけないようおとなしくしておこう。

なんて頭の片隅で考えながら授業をこなしていく。さすがに一か月となれば教師も慣れたのか俺のほうをチラチラ気になることはなくなった。人間って適応していくもんだな。俺はこんな状況に慣れたくはないが。



さて、放課後だ。部活は自由参加という素晴らしい高校なのでもちろん不参加だ。

「おっす遅かったなー帰るかー」

お前のクラス授業終わるの早くないか?いや、科目にもよるか。

「毎日暇だなーどっかよってくか?」

平和そうでうらやましいな。こんな仮面であまりうろつきたくはない。この一か月は学校以外引きこもりになっている。

「まぁその変な仮面どーにかしねーとなぁーぶっちゃけお前の元の顔思い出せねーわ」

おいおい勘弁してくれ

「そのうちその仮面がお前自身にかわ…冗談だって。手がかりさえあればーなー…そういやお前このへんでなんか拾ったとか言ってなかったっけ?」

ん?知らんが

「おっ10円落ちてる…バッチィ」

こら俺の服で拭おうとするな

「そいじゃーなー」

今日もまた調べてみるか…。気軽にネットで調べられるなんてすばらしい世の中になったものだ。



お察しの通りそうそう解決方法がわかるはずもない。それにこの生活を一か月ほど続けたのだ。ネットの情報にも限りがある。それでもあきらめきれないのだ。不幸中の幸いというべきか眼鼻口はあいている。人相を隠したい人には便利だという迷惑な品だ。そんなことを考えながら疲れた眼をいやすために眠りについた。


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