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さて、花を摘み終わったあかずきんは
現在位置を確認するためにコンパスと携帯端末を取り出します
この森は電子機器に対する対策が敷かれており、アナログなコンパスが活躍するのです。
「っち、GPSが使えないと不便ね・・・えぇと、ここから北西に直線距離で半刻と言ったところかしら、もう!いちいちこれ見ないといけないところも不便でしょうがないわ」
あかずきんの祖母が住んでいる家の周囲には様々なトラップが張り巡らされており、正しいルートを通らなければ哀れ、森の養分もとい土へと帰るはめになるのです。道の確認は小まめに行わなければなりません。
あかずきんは時間制限のない任務、しかも身内のお使いであり。今日は他に仕事もないのでほとんど休暇のような気分で罠を回避しつつゆっくり向かいます。
そしてその一時間後
ようやく祖母の家、まさしく森の隠れ家といった場所に立つおおきなログハウスの前までやってきました。
ドアの横にある一件では壁と一体化していて分からないパネルを引き出していざ扉を開けようとします
「え?」
が、あかずきんは有ることに気が付きます
「私の前に、誰か来てる?」
この扉は開けるたびにパスワードが変化し、唯一のマスターキーは彼女の祖母の静脈認証のみです。そして本来ならば今日、ここへ来るのはあかずきん一人の予定でした
「まさか・・・ははっまさかねぇ」
*********
一方の狼さんは、あかずきん・・・少女の持つ携帯端末に目を付けました。彼の特技の一つはハッキング、ここの国のデータベースから個人に支給されている端末までたどり着くとそこから自身の端末へとデータをコピーペーストしていきます。
(やっぱり、やけに端末を見てるなと思えば。正式な経路はこれか、あっさりと行きすぎてるのが気になるが、まぁこの地形にこの罠の配置だと大部隊の待ち伏せだとか最悪の状況にはならないだろうな)
ご丁寧に認証用のパスワードまで載っているのには警戒を通り越してあきれさえしますが。彼は傭兵、所詮は正規軍のパシリです。いざとなったら任務を放り投げて逃げる気満々です。
そして所要時間35分
最短距離をざっくりと行ったおかげであかずきんを大幅に追いぬいてログハウスに到達しました。
(最新鋭の防弾ガラス、罠の類は見当たらない・・・それとこの家、外側は木材だが内側は別の素材使ってあるな)
もとよりこの狼さんは考えることがそんなに好きではありません。ハッキングができるのと戦略が練られるのは別物ですし、頭の良さはもっと別物です。
迷って数秒で狼さんは特攻することに決めました。早速パネルを探しあて、パスワードで中に侵入します。
(音がしねぇな・・・いや、するわ、これ寝息?寝息してねーか?)
寝室らしき部屋まで物音を立てずに向かい、うっすらと開いていたドアの隙間からなかをのぞくとそこには、年齢を感じさせる白髪の混じった黒髪を持つ年齢の割にしっかりとした様相の老女が眠っていました。
再度標的の写真と彼女とを見比べ間違いがないことを確認すると、その頭に照準を合わせてトリガーに指をかけました
狼さんはどちらかというとあほの子です。戦闘の出来るあほの子
あかずきんはどちらかというとそこそこまじめな女子高生