ファーストキスの価値~とある女王の手記~
人間の王が治める王国と魔族の王が治める帝国。
大陸を二分する王国と帝国が戦争を始めたのは、今から1年程前のこと…。
戦乱の理由はもはや有耶無耶となってしまいましたが、私にも解っている事が2つだけ有ります。
一つは、前王である父が戦死して、私が王位を継承した時にはもう、人間の王国側の敗北が時間の問題となっていたこと。
一つは、勝利を目前とした魔族側の王である魔王が、和平の交渉を申し出てきたこと。
「それではこれより、帝国と王国の和平交渉を開始いたします。」
そう切り出したのは、今回の和平交渉に出席している魔族側の文官であるサキュバスの女性でした。
今回の和平交渉として魔族側が提示してきたのは、お互いの王国の代表者5名が中立地帯にて話し合いを行なうというもので、一見すれば妥当な提示ではありますが…劣勢に劣勢を重ねた人間の王国側の領土は当初の半分以下となっていて、今回の中立地帯として指定された場所も、どちらかと言われれば魔族側の勢力圏内と言っても過言ではありません。
そんな魔族側の要求を人間側の王国が飲んだ理由はいたって簡単で、もはや我々にはこの和平交渉しか縋るものが無かったのです。
「まず始めに…今回の和平の条件として、帝国側の要求を魔王様より提示させていただきます。」
和平交渉の場に設置されたテントの中を、二分するように置かれた縦長の机。
その東側に陣取るのは、人間側の王国の女王である私とその文官たち。
対する西側に陣取るのは、交渉の進行役を務めるサキュバスの女性を含めた文官であろう魔族が四名と、
…その中心に座る魔王。
「今回の和平の条件として、帝国が王国に要求することは一つだけだ。
その要求を認めるというのならば、汝ら王族による王国の統治も認め、その政治に我ら魔族が介入しない事も約束する。
そして、是迄の戦にて我らが接収した領地と、捕虜とした人間も全て返還するし、必要ならば無償にて物資等の支援もしよう。」
魔王が語った和平の条件に、人間側の文官が思わず息を呑む声が聞こえてきました。
…それも当然の事でしょう。
何故なら、人間の我々から見ても帝国の優勢は明らかであり、魔族側からしてみれば勝利は目と鼻の先なのは明白です。
本来であれば王国など解体して王族・貴族は全て処刑、他の人間は全て奴隷するくらいの条件を出されてもおかしくはないですし、私だって命を捨てるつもりでこの交渉に来たのです。
「それで、こちらの要求なのだが…その、なんだ…」
そんな我々の動揺など気にもせずに、和平交渉が始まってから表情一つ変えなかった魔王が要求を提示する段階になって、何故か私の顔をちらちらと伺いながら言葉を詰まらせました。
体調でも悪いのでしょうか?
有り得ない話ではないのかもしれません。
そもそも人間側がここまで劣勢となったのも、魔王の圧倒的な力がその理由の大半といっても間違いありません。
魔族側が和平の交渉をしてきた理由が魔王の体調不良…もっと言ってしまえば、1000年以上生きている魔王の寿命が近いのだからだとすれば、和平の条件がここまで譲歩されていることも納得出来ます。
ならば、我々にもまだ勝機が…
「要求なのだが…女王よ、汝にお願いしたいことがあるのだ。」
そんな私の思考は、魔王の言葉によって断ち切られました。
…やはり、要求は私の命だったようです。
おそらくは女王である私を殺して、魔族側の傀儡に出来るような人物を新たな国王とするつもりなのでしょう。
そうすれば表立っては人間の王国は独立しているように見えますし、仮に魔王が死んだとしても王国が再び戦争を仕掛けるのを防ぐのも容易いことです。
ならば、私はどうすれば良いのでしょうか?
答えは決まっています。
魔族側の要求を飲めば良い…それだけです。
もし私の予想通りに魔王の寿命が近いのだとしても、現在の疲弊しきった王国では帝国を退けることは出来ません。
…でも、人間は決して愚かなだけの生き物ではありません。
例え今は魔族の傀儡となろうとも、いつの日にか必ず、国力の回復した王国にて立ち上がる者が出る筈です。
そのために、現在の王国を預かる私が成すべきこと…
それは、この命を捨ててでも…この王国と民の未来を守ることです。
…後悔などありません。
この交渉の場を魔族に提示されたときから覚悟は出来ていました。
だから、これは女王としての…いえ、私という個人の最後の我侭です。
「我らの民を救い、国をも守ってくださると言うのに、他に私は何を望めというのでしょうか?
貴方様の手を煩わさずとも、私自身の手で、今この場でこの首を切って見せましょう。」
そう…
せめて最後は自身の手で幕を引く…
それが、此処に来るまでに文官たちにも話した…私の最後の我侭です。
国を守れなかったにも関わらず、こんな私が死ぬことに最後まで反対してくれた文官たち一人一人に感謝をすると共に諭し、王国の今後を託した上での決断であり、もはや誰も何も語ることもなく、文官の一人が涙を流しながら差し出してくれた短剣を手にして…
「い、いやいやいやいやっ!?まて、頼むから待ってくれ!
我ら魔族と違って人間は首なんて刎ねたら死んでしまうだろっ!?」
…静止の言葉は、何故か魔族側からきてしまいました。
「すまん!い、いやごめんなさいっ!
何か誤解させたなら謝るから!だから死のうとか考えるのは止めようよ!?
ね?ね!?」
何故か椅子から飛び降りて土下座を始めた魔王を見て、人間側の場の空気が完全に停止してしまいました。
「え…あの、今回の和平は私の命と引き換えなのでは…?」
もしかしたら、私の命を刈り取るのは自身の手で行いたいとでも思っているのでしょうか?
そんな疑惑を含んだ私の声に、魔王は何を勘違いしたのか額を地面に擦り付けながら、さらに深々と土下座をしています。
「違うっ!そんな事がしたいなら講和などせずに汝らの王国を滅ぼしている!
い、いやいや!俺はもうそんな事したいなんて思ってない…あ、汝の父上を俺が殺したと思ってるなら違うぞ!?
彼はもともと心臓が悪かったらしく、戦場に来る途中に心臓発作で亡くなったのであって…ああっ!でも戦争なんて無ければ死ななかったと言われれば、相手国の王である俺が間接的に殺したと言われても否定出来ないぃぃぃ!!」
「…一応、誤解の無いように言わせて頂ますと、王国の前王はどうしようもありませんでしたが、王国軍の捕虜は戦場で怪我を負って動けなくなっていた者も含めて我々の国で保護しておりますし、制圧した領土の村や町も可能な限り以前と変わらぬ生活が出来るよう援助しておりますので、この戦争による王国の死者は0…とは言いませんが、帝国側よりもずっと少ないはずです。」
何やら一人で悶え苦しみだした魔王の背中を擦りながら、心底に困った表情でそう語るサキュバスさん。
この戦争によって直接的な被害でないにしても、戦乱による国の疲弊と食糧不足等で命を落とした人間もいました。
しかし、それは帝国がすべて悪いわけではなく、そうなる前に講和等の道を選ぼうとしなかった私たち王国の王族にこそ責任があるわけで…。
……何か勘違いをしているのは、もしかして私の方なのでしょうか?
「では、和平の条件というのは一体なんなのですか?」
ちょっとだけ姿勢を崩して、緊張のあまり強張っていた身体をこっそりと解しながら再び問いかけてみました。
当初の気概は何処へやら…なんて言わないでください。
これでも、真っ白になって燃え尽きている文官たちと比べれば頑張ってるんですから。
そんな私の問いかけが聞こえたのか、魔王…さんは身体をビクリと震わせました。
「あ、ああ…まぁなんだ、嫌なら嫌って言ってくれて良いんだけどね…?」
サキュバスさんに支えられながら、なんとか戦線復帰した魔王さん…なのですが、何故か顔を赤らめてもじもじするだけで、一向に要求を言おうとしません。
…どうでも良いことですけど、今まで抱いていた魔王のイメージというものが、この一刻にも満たない時間で粉々に打ち砕かれた、何とも言えぬ脱力感を私は何処へぶつければ良いのでしょうね?
「その…あの…要求っていうか、お願いなんだけど…
…お、おおお俺とキスしてくださいっ!!!!!!」
そんな魔王さんの言葉に、今度は人間サイドだけでなく魔族サイドの場までが完全に凍りつきました。
「キス…ですか?」
これは私の聞き間違いなのでしょうか?
東方の島国にはそんな名前のお魚がいると聞いたことがありますが…もしかして、魔王さんはそのお魚が食べたいのでしょうか?
「っ…あ、安心してくれ!俺はこの日のために毎日18回は必ず歯磨きをするようにしてきたし、顔だって今日は3時間かけて洗ってきた!
だから…だから頼む!俺とキスをしてくれっ!!!」
頭が地面にめり込んでしまうのでは無いかと心配する勢いで、また土下座を始めた魔王さん。
残念ながらサキュバスさんを含めた魔族サイドの文官さんたちは、さっきの魔王さんが発した爆弾発言のショックから覚めていないらしく、止めてくれるヒトがいません。
…これは、私が止めたほうが良いのでしょうか?
「な、なななにをふざけたことを言ってるのだっ!?」
そんな私の悩みを至極最もな叫びで遮ったのは、魔族側ではなくて人間側の文官の一人でした。
…まぁ、そうですよね。
王国の存亡をかけた交渉の場で、要求されたのが私のキスなんて言われたら、誰だって馬鹿にしてるのかと叫びたくなると思います。
じゃあなんで私は叫ばないのか…ですか?
だって、死ぬつもりで来たのに何故か魔王さんに死ぬなと止めらるし、じゃあ何がしたいのかと聞いたらキスをしてくれって言われたんですよ?
この状況で現実逃避をしないでいられるほど、私は強くなんてないです。
そんな私を置いて、その文官はもはやお互いの立場など忘れて魔王さんに怒鳴り散らしてます。
「何を言い出すかと思えば、この程度の和平の条件で女王陛下とキスがしたいなどとは言語道断です!
何を隠そう陛下は…乙女の一生の宝物であるファーストキスもまだなのですぞ!?」
………もう、死んでも良いですか?
…いや、だって私まだ12歳ですし、お父様から王位を継いでからは忙しくて色恋沙汰に現を抜かしてる暇なんてなかったんですから…しょうがないじゃないですか?
それなのに、国の存亡を賭けた交渉の場で、なんでそんなプライベートな事まで暴露されなくてはいけないのでしょう?
もしかして、そう思う私の方がおかしいのでしょうか?
「な、なに!?女王は初めてのちゅ~もまだだったのか!?
くっ…わ、わかった…ならば!帝国の軍隊は今この時を持って解体し、我ら帝国は汝ら王国の属国と…いや、隷属する!
これでどうだ!?」
『ええええええええええっ!?』
人間では有り得ない程に美形な魔王さんなのに、真顔で【はじめてのちゅ~】とか言うのはお願いだからやめてください…とか、
嗚呼、やっぱりおかしいのは私の方なんですね…とか思うよりも先に絶叫したのは、やっと復活したらしい魔王サイドの文官さんたちでした。
「ちょ…お、お待ちください魔王様!
こんなぺったんこのキス一つのために国を滅ぼすつもりですか!?」
ぺったんこ…その言葉にカチンと来るものが無かったといえば嘘になりますが、後一ケ月もあれば王国を滅ぼす事だって出来たはずなのに、それが私なんかのキス一つで一転して自国の滅亡の危機になったのだから、サキュバスさんが慌てるのも無理もないことでしょう。
魔王さんも頭を冷やして考えれば自分の失言に気付くはず…ってあれ、なんか怒ってます?
「…サキュバスよ、貴様は誰に向かって物を言っているのだ?」
「っ…も、申し訳ございません…しかし!」
「黙れっ!!」
魔王さんから発せられる不可視の力に気圧されされたかのようにその場に跪くサキュバスさん。
色々あり過ぎてすっかり忘れてました。
目の前にいるこの人は、一人で王国を壊滅寸前まで追い込んだ魔王だということを…
「貴様がなんと言おうと俺は…俺はっ!
ツルペタ女王が大好きだぁぁぁっぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
…でも、魔王さんは変態さんでした。
「…魔王さん、私からもひとつ聞いても良いでしょうか?」
魔王さん…今までならそんな風に名前を口にすることなど絶対になかったのに、実際に言葉を紡いでみると、こっちの方が呼び易い気がするのだからなんとも不思議です。
「な、なんだ…でしょうか?」
やっと我に返ったのか、サキュバスさんを掴んでいた手を離して、バツの悪そうな表情でこらに向き直った魔王さん。
開放されたサキュバスさんの方はいろいろショックだったらしく、声も出ない絶叫といった表情で崩れ落ちてしまったのですが…あ、そういえば、昔の高名な画家さんの作品であんな表情の絵がありましたね。
確か…ムンクの叫びでしたっけ?
サキュバスさんの事も心配ではありましたが、それよりも魔王さんにどうしても聞きたいことがあるのです。
それは…
「どうして、私なのですか?」
最初は、私を辱めるためにキスをしてくれなんて言ったのかと思いました。
…でも、そうじゃなかった。
私はまだ、キスもしたことの無い子供です。
だけど、何も解らない子供でもありません。
他の人が聞けば、それはただの自意識過剰だと笑うかもしれません。
でも、私には解ります。
このヒトが私に向けてくれる眼差しの中にあるもの…
それは、
私を想い焦がれる心。
だからこそ、私は知りたいのです。
どうして私なのですか?
何故、貴方はそんなにも私のことを好きになってくれたのですか?
私は知りたい…
貴方の事をもっと知りたい…
「…信じてくれないかもしれないが、この戦争は俺が始めたものじゃない。
もちろん、女王の父親…前王でもない。
俺たちが気付いたときにはもう、泥沼の状況になっていたんだ。」
顔を伏せて懺悔をするかのように語り始めた魔王さんの言葉は、きっと本当なんだと思います。
戦争には必ずそれを行なうための理由があります。
その理由が納得できることであるか、そうでないかは別ですが…でも、今回の戦争にはそれがなかったのです。
曰く、魔王側の侵略が原因である…
曰く、野心に目覚めた王国の前王が帝国に宣戦布告したことが発端である…
そんな噂はいくつも流れていました。
でもそれはあくまで噂であって、本当のところは誰にもわからないというのが現状でした。
そう…まるでこの戦争は、目に見えない何者かによって操られているかのような…
「だが、俺は魔王…帝国の王だ。
例えこの戦争が気に食わないとしても、絶対に負けることは許されない。
だから俺は、前王が死んだ時に決心したんだ…王国に残された唯一にして最後の王位継承者である女王を殺して、この戦争を終わらせると…」
いや、アンタさっき自分で王国の隷国になるとか言ってたじゃん。
誰かが呟いたツッコミを華麗にスルーした魔王さんは、その熱に浮かされたような瞳で私だけを見つめてくれています。
この時に私が感じたのは、絶大なる力を持つ魔王に見られているという恐怖…
などではなく、思惑や打算などの入り込む余地の無い…ただ純粋な好意のみが輝くその瞳に見つめられた私が感じたのは、心をくすぐられるような嬉しさでした。
人間と魔族…それは異なる種族でありながら、こうして互いの事を想い、想われる事が出来る。
それはきっと、心の深いところでは繋がる事が出来るということであり…
「そして、城に忍び込んだ俺は見てしまったんだ…。
そう、庭の片隅で悲しみを堪えて一人で涙を流す美しい幼女…もとい、美しい女王の姿を!」
…やっぱり魔王さんは変態さんでした。
「その時に気付いたんだ。
俺が本当に守らなくてはならないもの、それは帝国なんかじゃない…この少女だということに!」
あ、ムンクの叫びが4つに増えました。
…確かにお父様が亡くなって間もない頃は、悲しみを堪えきれずにお庭の隅で泣いてしまったこともありましたけど…。
さっきの文官といい、この魔王さんといい、どうしてこうも私の秘密にしておきたいことを暴露していくのでしょう?
…やっぱりこれって、私を辱めるための場なのでしょうか?
「…けど、俺は魔王だ。
女王の、王国の敵である俺が女王を守ることなんて出来ない。
だからせめて、この戦争を終わらせたいと思ったんだ…。
この戦争を終わらせることで、貴方を守りたかった…俺の命と引き換えにしてでも。」
「だから、死ぬ前に一つだけで良いから思い出が欲しくてあんな要求をしてしまったんだ。
…すまない、あの要求は忘れてくれ。」
そう言った微笑む魔王さんの表情は、
とても優しくて…
とても悲しい微笑みでした。
同じだったんだ。
このヒトにも、命に代えてでも守りたいモノがあったんだ。
でも、
それならやっぱり…
「…魔王さん、貴方は間違ってます。
ここで貴方が死んでも、私は嬉しくなんてありません。」
「そ、そうだよな。
俺なんかがこんな事を言っても迷惑なだけで…」
「違います!
…そうじゃないです。」
周囲の空間をどんよりと曇らせて俯いてしまった魔王さんに慌てて声をかけたのですが、どうやら誤解をさせてしまったみたいです。
そういえば、私も最初は魔王さんの事を誤解してたのでした。
どうして自分の思いを相手に伝えるのって、こんなに難しいのでしょう。
もっと伝えたいことが沢山あるのに、言葉にしようとすると相手に半分も伝わらない…
「私は…」
それがもどかしくて、
「私は、魔王さんに死んで欲しくなんてないです。」
だから、
「もし本当に魔王さんが私のことを守ってくれるというのなら、その私が守りたいもの…王国と帝国の未来も、私と一緒に守ってください。」
「女王…それは…無理だ。
今回の戦争だけじゃない、それ以前から魔族と人間の間には深い溝があったんだ。
それをどうにかするなんて…」
…魔王さんのおっしゃるとおり、魔族と人間は昔から争ってきました。
それこそ、私なんかが生まれるよりもずっと昔…もしかしたら、魔王さんが生まれるよりもずっと昔かもしれません。
それだけの間に生まれた憎しみや悲しみは、途方の無いものなのでしょう…。
「それが簡単ではないことくらい、私にだってわかります。」
そう、そんなことはわかっています。
それでも…
例えそれが子供の夢物語だったとしても…
それでも…っ!
「それでも、私はどちらかの犠牲の上に成り立つ平和ではなく、共に手を取り合って平和を掴み取りたいのです。
私たちの気持ちがつながるように、人と魔族だって、ちゃんと心はつながるんだって、皆に知って欲しいのです。
そして、そのためには魔王さん…貴方の力が必要なのです。」
「女王…」
「それに、」
そこで一度言葉を切って、私は身を乗り出したままだった魔王さんの身体に身を寄せて…
「っ!?」
「…それに、私のファーストキスには、それだけの価値はありませんか?」
初めてのキスは、なんだかしょっぱい不思議な味でした。
魔王による追記
ん、この後どうなったかって?
そうだな…この度の戦争が、実は人間と魔族の一部の商人が結託して、自分たちの利益を得るために起こさせたものだった事が発覚したりとか。
王国と帝国が一つの国になる事を反対した人(+魔族)たちが、俺と女王が10年に満たないうちに14人の子供をもうけるとかいうイチャラブっぷりを見せ付けてやった辺りで、なんかもう反対してることが阿呆らしくなった…もとい、もうやめて!もうお腹一杯だから好きにして…げふんげふん。とにかく、ようやく素直に手を取り合うようになったりとかするのだが、それはまた別の機会に語ってやるとして…だ。
「なぁ…今どんな気持ちだ?」
「なんですか、唐突に?」
「いや、なんとなく聞いてみたかっただけなんだけどさ…」
「ふふ、もちろん、とっても幸せですよ…あなた」
「ああ…俺もだ」
つーわけで、俺たちは今世界で一番幸せいっぱいでやってるってことだ。
ファーストキスの価値~とある女王の手記~ 完
はじめての方ははじめまして、そうでない方は毎度ありがとうございます。
この度は、小説家になろうに数ある素晴らしい作品の中から、このような拙い物語に目を留めていただき、真にありがとうございます。
今回の話は、酒に酔った勢いで書いたものなのですが…後から見返してみると、12歳の女王に一目惚れする魔王って、大丈夫なのかとちょっと心配になりました(笑)。
ちなみに、同じく小説家になろうに掲載させていただいている別の作品にもロリぽい(あっちの場合は年齢的に見ればおばあさ…げふんげふん)キャラを主役として出していますが、私は別にロリコンじゃありませんよ?
いや、ロリコンの方を否定するわけではございませんが、私はどちらかというと包容力のある年上のおねぃさんの方が好みであって…すみません、まだ酔いが残っているようです。
何はともあれ、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
また別の物語でもご一緒頂ければ幸いです。