第3話
チェドはシャルルに、手を差し出し声をかける。
「おいで。」
するとシャルルは勢いよくチェドに飛びつきチェドの胸に顔をすりつけ喉をゴロゴロと鳴らし喜んだ。
「シャルル、そろそろ自分が降りれなくなるような木には登らないって決めた方がいいんじゃないかい?」。
シャルルはチェドの忠告など聞こえなかったかのように、浮遊の魔法の妖精を見て鳴いている。
「シャルル、また木から降りれなくなった時は私の事を呼んでね。」と、嬉しそうにシャルルの鼻にキスをしてささやいた。
「チェド。早く降りてきて。」
しびれを切らしたかのようなミーの不機嫌な声が下から聞こえ、チェドは妖精に頼み急いで下に降ろしてもらった。
「シャルル、よかったね。」と、チェドからシャルルを渡されたミーは微笑みながらギュッとシャルルを抱きしめる。
チェドがリュックを持ったのを見届けた妖精は「じゃあ、またね。」と囁くとチェドの「ありがとう。おやすみ。」と言う言葉を聞きながら静かに消えるのであった。
「ミー、シャルルを貸して?洞窟まで送っていく事にしたから。」
そんなチェドの言葉に「じゃあまた明日ね。おやすみ。」とシャルルに告げながらチェドにシャルルを渡しミーは家に帰って行った。
チェドはミーがあまりにもあっけなく帰ってしまったので逆に少し驚いた。
いつものミーならばすぐには家に入らずチェドが見えなくなるまで見送るのだ。
ーーーーお腹すきすぎたのかな。
なんとも楽観的に考えながらチェドはシャルルを腕にシャルルの住処である洞窟へと送るのであった。
チェドの家はミーの家から5分くらいの場所にある。チェドが家に着いた頃にはすでに真っ暗だったので、シャルルを洞窟の入り口に降ろし急いで家に入った。そして電気を付け、チェドの世話人だった隣のおばさんからもらったチキンを食べた。
ソロンの人々はみんな4歳でソロンにやって来る。その日から誰か好きな人と一緒に暮らすようになるまでずっと一人で暮らす。そのため近所のおばさんやおじさんが、その子が10歳になって自分の妖精を持つまで世話人となり面倒を見るのが習慣となっているのだ。そして、優しい人は世話人ならば10歳を過ぎても、食べ物をくれたりおこずかいをくれる。チェドは、運良く優しいおばさんが隣にいる家が与えられたので、今でもたまにこうしてご飯を作らなくてもいい日がある。
お腹がいっぱいになったチェドはさっそくレポートにとりかかった。
その頃ミーはというと、夕飯を食べ終わりシャワーを浴びているところだった。シャワーを浴びながらミーは明日校長室にある伝説の世界から誰かがもってきたという何かを見つけ出そう、と心に決めていた。伝説の世界について学校の先生が何も教えてくれない事をミーは昔からずっと不満に思っていた。しかし自分で勉強をしようと思い本を調べても「伝説の世界と呼ばれる地球は昔はソロンの一部だったと言われている。しかしその説を否定する学者の方が多くはっきりとした事は未だに解明されていない。中にはそもそも伝説の世界など存在しなかったというものもいる。」というような事しか、どの本にも書かれていなかったのだ。最初は誰も地球を探し出せなかったから伝説の世界を否定する意見があるのだ、と考えていたミーであったが、月日がたつにつれ伝説の世界は存在しない可能性の方が高い。と思うようになっていた。
しかし今日のお昼、校長室の前を通りかかったミーは校長室の中から耳を疑うような話を聞いたのだ。




