第33話
しかし、まだ最悪な状態には陥っていないようせいある。まだ太陽の姿を微かに確認することが出来た。コペは浮遊魔法で浮いたままであったが、宮殿の兵士が3人近付いてくるのがわかり、
「わしをこのまま救護室へ連れて行ってくれ。」と兵士の1人に言った。兵士はすぐに返事を返すと、チェドのパートナーを伴いコペを浮かしたまま、救護室へと運んだ。コペは、残りの兵士の2人に
「この2人を王の間へと連れ言ってくれ。と言いわたした。2人の兵士は
「私どもに着いてきてください。」とミーとチェドにいい王の間へと案内した。2人は王様に会うのは護衛魔法使いとなりマントを受け取った時以来だった。ソロンの王ザガートはとても気さくな男で、酒が入るととても豪快な笑い方をする男だが、いつもは、ポーカーフェイスを崩さない立派な王である。そんな王のいる、王の間へと着くと兵士の1人が
「ここでございます。お入りなりコペ様をお待ちください。王はすでにおられます。私どもは中に入ることを許されておりませんのでここで失礼いたします。」と言った。もう1人の兵士は、
「何か御用時がおありでしたら、遠慮なくお呼びください。」といい、敬礼すると兵士たちは去って行った。ミーとチェドは立派な扉の前で、多少気後れをしたが、チェドは鷹の姿が彫ってある、取っ手を持ち扉をノックすると、中から立派な格好をした年配の男が扉をあけ、ミーとチェドに軽く会釈すると、中に入るよう手を差し出した。ミーとチェドはゆっくりと王の間へと足を踏み入れ、中央にある立派な机の向かい側に腰掛けているザガートとを見た。2人が頭を下げ王に挨拶をすると、ザガートは立ち上がり、ミーとチェドに
「遠慮はいらん。疲れておるのだろう。早く腰掛けなさい。」と言い、自分の向かい側にある長イスに座るよう合図した。ミーとチェドは言われた通りイスに座ると、妖精たちはミーとチェドの間に座った。王はミーたちを招きいれた人物に
「コペの様子はどうだ?」と尋ねた。その人物は
「血は止まっていますし、1週間ほど安静にしていただければ大丈夫だという事です。」と答えた。王は嬉しそうに微笑むと、ミーたちの方を向き
「コペのことは心配いらん。もともとあいつは丈夫だからな。」といい、ザガートらしい笑い方をした。ミーとチェドは安心し王に笑いかけ、お礼を言った。そして王の隣にたつ、白髪の人物にも頭をさげ感謝の気持ちを表した。その人物はにっこりと笑うと、王に
「私は席をはずしましょうか?」と聞いた。王は
「いやそんな必要はない。」と答えミーとチェドに
「この男は私の付き人だ。そして、コペ同様わたしの、大切な友でもある。」と紹介をした。すると、紹介をされた少し腰の曲がった白髪の人物は自分の身にまとったこげ茶色のマントを整え、
「チャじいと呼んで下され。」とミーたちに言った。それを聞きザガートはいたずらっぽく笑うと
「いつもこのこげ茶のマントを着ているから兵士たちから影ではチャじいと呼ばれておるのだ。」とミーたちに言った。ミーとチェドも、いたずらっぽく微笑み
「はい。チャじいと呼ばせていただきます。」と答えた。すると、そこへミーたち同様護衛魔法使いが
「失礼いたします。ザガート殿下。王への反逆を企てていた男を捕まえました。」といい、1人の男を前に突き出し部屋に入ってきた。その護衛魔法使いは、ミーとチェドを見ると、
「ずいぶん若い護衛魔法使いだな。」と言った。ミーは、
「こんにちは。」とだけ答え、その護衛魔法使いが連れてきた男へと視線を移した。王は
「この2人は、コペの部隊に所属している。若いが腕は確かだ。」とミーたちの事をその護衛魔法使いに紹介した。すると、コペという名前を出した瞬間、態度が急に変わりうって変わってミーとチェドを尊敬の眼差しで見つめ
「それは、すばらしい。これが噂の・・・長、本人が直接指名をしたという、少年たちですか。」と言った。チェドは、そんなに自分たちのことが噂になっているのか。と初めて知り多少気恥ずかしくなった。ミーは、その護衛魔法使いの言葉など聞いてなどおらず、じっと反逆者の男を見ていた。王はそんなミーに気づくと
「それで、その男はどういったことをしでかそうとしていたのだ?」と護衛魔法使いに尋ねた。はっとして、護衛魔法使いは王に視線を戻すと、その男をちゃんと立たせ
「殿下の方をちゃんと見ろ。」と怒鳴りその男が、言われた通りまっすぐ前を向いたのを確認すると、
「この男は、我々護衛魔法使いが長年追ってきた者です。この男は、王の座を狙うために、何度も禁断魔法や闇の者たちとよからぬ計画をたてていました。そして、今日ついに捕まえることができたというわけです。この男のパートナーはレベル1の透明魔法の妖精です。」と王に説明をした。その男は、王から視線をそらしミーを見た。数秒男と目が合いミーは、校長室での記憶がよみがえり、まるでパズルの最後のピースが自分の頭の中で、パチッとはまったような感覚がした。ミーはゆっくりと口をあけると、
「黄土色のマントの男・・・・カールから闇の現を紹介されていたやつ。」と叫んだ。チョコは驚き
「えっ!?マント黄土色じゃないよ?チャじいみたいなこげ茶だよ?」と言った。ミーは
「そうね。でもそれは汚れているだけよ。その証拠に所々、黄土色が見えてるわ。でも、こんなに汚れているなんて、色を変えるためにわざとやったとも考えられそうだけれど?」と挑むようにその男を見た。その男は神経質に笑うと、
「君はあの時、盗み聞きをしていた子か。あれからカールとは会っていないんだが、君が殺したのか?」とミーに話し掛けた。チェドは、驚きミーに
「この男が黄土色のマントの男?」と確認した。ミーはただうなずいた。そして、黄土色のマントの男に
「私が殺したんじゃないわ。それにカールは生きているわ。」と答えた。その男はわざとらしく驚いたような表情をすると、
「そうか。それは良かった。まだあの闇の現の説明を受けていないんでね。それに私はどうしても闇の現が欲しいのさ。あの闇の現を使ってこのソロンを私のものにするためにな。」と言った。ミーと、反逆者が知り合いだったという事に、驚いていた護衛魔法使いと、ザガートやチャじいも、その言葉を聞き、はっと我に返ると、王は護衛魔法使いに
「牢屋に入れ判決を待たせろ。」と告げた。護衛魔法使いは、すぐに命令に従い、王の間を後にし、地下にある牢屋へと男を連れて行った。途中その護衛魔法使いは自分も詳しい話しを聞きたいと思ったが王の命令だから仕方がない・・・と悔やみつつも、忠実に仕事をこなし、男を牢屋へと入れた。その頃王の間では、王がミーに詳しいことを聞いているところだった。ミーは、黄土色のマントの事から、今まで地球にいた事など全てのいきさつを語った。王とチャじいは、ため息をつくやら感嘆の声をもらすやらミーの話しに、たびたび反応をしながら、真剣に聞いていた。そして、全てを語り終わった時、王が
「そのサンという者は、本当に家族に会いたいという気持ちだけで、人を殺したのか?」と独り言のように、尋ねた。チェドが答えようとした時、扉がいきなり開き、コペが王の間へ入ってきた。ミーとチェド、そしてザガートやチャじい、みんなが立ち上がり、コペを見た。コペは何食わぬ顔でみんなのもとへと来ると、ミーとチェドを見て
「全て話したのじゃな?」と聞いた。ミーは
「ちゃんと、最初から今までを嘘偽りなく話したわ。」と答えた。コペは
「そうか。」と言い微笑むと
「ザガート、迷惑をかけたの。」とザガート王に話し掛けた。ザガートは、苦笑いをすると、
「もう、年なんだからあんまり無理をするな。」と言った。コペは面白そうに笑うと
「チャじいよりはまだ若いぞ。」と言った。チャじいは
「そんな変わりませぬぞ。」と、言い返した。ミーとチェドは妖精と共に笑いながらその光景を見ていたが、一人虚ろ魔法の妖精だけには、笑みがなかった。コペはそんな妖精の姿に気づくと
「虚ろ魔法の妖精や。お前さんは、もうわしに謝ったじゃろう?そんな暗い顔をしているのは、お前さんらしくない。もっとふてぶてしくしておれ。」と虚ろ魔法の妖精に話し掛けた。虚ろ魔法の妖精は、驚きコペを見ると、あふれ出そうになる涙を必死に我慢し何度も何度もうなずいた。コペは、まぶたを閉じると博士の姿を想像し、博士や。お前さんもわしと同じ思いじゃろ?と心の中で尋ねた。コペの中に残る幸せの片割れである博士は、優しい微笑みを浮かべた。実際には、自分の胸に残る思い出の博士だということは、分かっていたが、コペには十分だった。そして、ゆっくりと目を開けると、ミーに
「それでじゃ・・・王様は全て理解したのかの?」とわざと王様といい、ザガートをからかうように、聞いた。ザガートは、片眉を上げるとコペのジョークに付き合うように、コペをにらみつけた。そんな状況をあまり理解できていなかったミーは正直に
「いえ。今コペおじいちゃんが来たから話を中断したんだけれど、王様がサン先生が本当に家族に会いたいだけで人を殺したのか?って言ったところだったの。」と真面目な顔をして答えた。




