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Puzzle  作者: a-m
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第31話

ミーは自分の家族が殺されていたという現実と、ドリスが泣き崩れているという事が、自分の頭の中を、渦となり駆け巡っていた。魂が抜けたかのように座り込み声のない涙を流しているドリスに声をかける事さえできなかった。コペは自分は家族に会える事はない、とわかっていたが、殺されたという事に頭の芯がしびれていた。その時、ドリスが突如笑い出した。ミーとコペは驚き、あとずさった。

「まだ、コペさん。あなたの問いに答えてないことがありましたね。ドリスとあなたは、ドリスが8歳の時に会っているんですよ。学校に禁断魔法をつかった人物をあなたが探しに来た時です。その事件のことは覚えていますか?」とサンに戻ったらしく、穏やかな口調でコペに話し掛けてきた。コペは慎重に言葉を選び

「サン君に戻ったようじゃの。その事は今でも覚えておる。さっき君が言った通り犯人を捕まえることが出来んかったヤマじゃ。」と言った。サンは意を得たというように、笑い

「そうです。あなたはドリスが禁断魔法をつかった人間だと見抜く事が出来なかった。ミーはイガを殺す手伝いをし、ミーの師であるあなたは、イガを殺した人間、つまりドリスをここまで成長させる原因を作ったのですよ。」と言った。ミーは思わず

「イガを殺したのは、私じゃないわ。それにコペおじいちゃんだって悪くない!」と叫んだ。サンは馬鹿にしたように笑うと、

「ミー、君は黙ってろ。君がなんと言おうとドリスがイガを殺すのを手伝った。そして、ドリスが人を殺すまで生かしておいたのはコペさん、あなただ。もしドリスが初めて禁断魔法を使ったあの時、あなたがドリスを捕まえていたならこんな事にはならなかった。」と震える声で叫んだ。コペは、サンの言葉を自分の過ちとし受け止めた。

「サン君、君の言う通りあの時捕まえられなかった事はわしの力不足じゃった。だが、イガを殺したのをミーだというのは、サン君自分でも間違いだという事は分かっておるんじゃろ?」

「間違い?何故です?ミーがイガを殺したというのはまぎれもない真実ですよ。」

「いや、違う。サン君き・・・・」コペの話を途中でさえぎり

「黙れ!!」と怒鳴った。コペは、サンがすでに正気を失いつつある事がわかった。

「そんな話はもういい!!最後にあなた達に真実を教えよう。僕は聖なる木の記憶によっていろいろな事が分かった。ソロンと妖精の領域のつながりは、聖なる木が生きている事によって太陽は空気の集合体を造るということも。しかし、聖なる木は僕が殺した。つまり、今太陽はソロンを照らしていないという事さ。そして、もう1つ。ソロンは太陽が、空気を食べない限り、魔法が効きっぱなしになるという事も。わかるか?今ソロンは、魔法が乱れ暴走しているという事さ。僕とこうやって話している今もソロンは破滅の道をたどっている!さぁ、どうするんだい?僕は君たちをただでは帰さない。」ミーとコペは、またしても新しい真実をしり、頭がついていかなくなっていた。今日だけですでに、多くの事が起こりすぎた。博士の死、イガとカールの事、聖なる木の醜さ、使者の語らなかった真実、家族の死、全てを受け止めサンと向き合う事、そして自分と向き合う事などできなかった。少なくても今はできない。いや、できるはずがなかった。今の現状を把握しているだけでも、ましだったかもしれない。そして、サンは

「おい。あれを出せ。」と自分の妖精に命令をくだし、妖精はサンに言われた通り、自分の後ろの壁の中から、何か茶色いずた袋を取り出した。そしてそれを、サンに手渡した。サンは、中身を確認すると、

「取れ。」とミーとコペに袋を投げつけた。袋はコペが受け取った。中には鞘に収まったままの、曲線を描いた形の小刀が入っていた。コペが小刀を取り出し、鞘を取るり眺めた。緩やかな曲線が特徴のそのナイフは、少し歯がかけている所があるが、精巧なつくりのとても良い物だとコペは思ったのだった。ミーは

「ナイフ?剣?剣にしてはちょっと小さいかしら?」と特に誰かに尋ねたというわけでもなく、一人事を呟いた。サンはもう涙を流していなかった。

「おい!早く構えろ!」サン、いやドリスは叫んだ。またドリスに変わってしまった。コペは、サンからドリスへと人格が交代した事に気づいた。ドリスとなったサンは、もう涙を流していなかった。

「ねぇ、何をさせる気なの?構えろって・・・。まさかこの剣で戦えって事?あなたと?」とミーはドリスに冗談でしょ?と思いながら聞いた。ドリスはにやっと

「その通り。さぁ、じいさん。構えろよ。ソロンに戻って破壊を止めたければ、俺を殺せ。そして闇の現をもってソロンに戻れ。」と言った。ミーはコペを見た。コペは小刀を手でsっかりと握り締めてはいたが、構えてはいなかった。しかし、何かを決意したように、

「ミー、いいか。ソロンを救え。」と、ミーに微笑みながら囁くと、小刀を構えドリスのもとへ駆け出した。ミーには何が起こって、自分の耳に悲鳴が聞えるのか分からなかった。自分の目に入ってくる光景がどうしてこうなってしまったのか、理解できなかった。自分の後ろで妖精たちが、

「ミー!!!」と叫ぶまで。ミーはずっと妖精の事を忘れていた。話している最中、妖精たちが何も口をださず黙っていたため、コペ以外に今自分の名前を呼ぶ声が聞えた事に驚いたのだ。そして、妖精たちのおかげで意識がはっきりしたミーは、コペが駆け出したあと何が起こったのかを思い出した。

コペはドリスのもとへ声をあげながら、向かっていき自分の手に硬く握りしめた、小刀の切っ先をドリスの心臓に突き刺そうとした。しかし、その途中何も持っていないかに思えたドリスが自分のマントから、チェドを刺したナイフを取り出し、一直線に向かってくるコペの膝めがけ投げたのだ。そして、そのナイフは膝ではなく、さらに悪い事にチェドのわき腹へ鈍い音を立て突き刺さった。その凄まじい痛みに悲鳴をあげ、コペは床に突っ伏す形で倒れた。すると、ドリスはコペの体を蹴り上げ、悲鳴をあげるコペを尻目にわき腹に刺さった自分のナイフをさらに深く突き刺した。そして、コペが最後の悲鳴をあげると、ドリスは、ナイフを抜き取り、ミーへと向けたのだ。ここでミーは妖精たちのおかげで、あと一歩のところでナイフが自分の心臓をえぐるのを間逃れる事ができた。ドリスは、ミーをしとめられなかった事、そしてコペを殺した事に何も感じていない、というように

「じいさんは死んだ。何でお前は泣いていない?」と平然とした表情で尋ねてきた。ミーは、悲しみよりもドリスに対する憎しみで心はあふれていた。

「コペおじいちゃんが言ったのよ。泣くのは後でもできるってね。あんたを殺す機会はこれを逃したらめぐってこないかもしれない。だから私はあんたを殺してソロンを救うわ。」と、自分のやるべき事を見据えた瞳を、恐れる事なくドリスへ向けた。その時

「ミー、君がやる事ないよ。僕がやる。」と後ろから、チェドの声が聞えてきた。ミーは、後ろを振り向きチェドが、立っているのを確認すると、泣く暇なんてないのに、と思いつつも安堵感が胸に一気に押し寄せ、泣きじゃくるように、チェドのもとへ走り抱きついた。

「な・・んで、だってチェドずっと意識ないから・・・・心臓動いているけれど、本当にまた・・・。」と、ミーは泣きじゃくり喉をひきつかせながら、言った。チェドはポンポンとミーの背中を軽く叩くと、

「ごめん。刺されてから数分は本当に意識なかったんだけれど、妖精が花の話をしている頃にはもう意識はもどっていたんだ。でも、動けないし声を出す事もできなかったから、コペさんが刺された時も何もできなくてごめん。」と、言った。ミーは何も言わず、首を横に振った。すると、ドリスの笑い声が聞こえ、ミーはビクッと体を震わせると、チェドから離れまたドリスの方を向いた。チェドは

「今はドリスなんですか?」と、見下したように笑みを浮かべ話し掛けた。ドリスは

「生意気な態度は取らないほうが身のためだぞ。」と、目に怒りを浮かべながら、チェドに言った。チェドは、おおげさにため息をつくと、

「どうでもいいよ。」というと、コペのもとへ向かい、顔を覗きこむと、

「ケーキ。」と自分のパートナーを呼び何か命令をすると、コペの手元にある小刀を手に取り、ドリスと向き合った。ドリスは意地の悪い笑みを浮かべると、ナイフを構えた。チェドも構え

「先生からかかってきて良いよ。」と言った。ドリスは

「俺はサンじゃない。ドリスだ。」というと、チェドを切りつけようと、ナイフを振り回した。チェドは寸前で切っ先をよけ、逆にドリスを小刀で浅く切りつけた。ドリスは低い声でうなると、自分が最初につけたチェドの背中の傷に蹴りを入れた。チェドは一旦止まった血が再び自分のマントを染めるのが分かった。しかし痛みに気をとられずに、冷静にドリスの足を掴み取った。そして、間をあける事なく、態勢を崩したドリスを床に抑えつけ首をしめた。


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