第27話
2人はすぐ了解し、
「他の妖精に、探すように伝えて来て。」とチェドはケーキに頼んだ。ケーキはすぐに、まだ上で見張っているチョコとパフェに話した事を伝え、自分も一緒に空家を探すため右の通りへと入った。妖精たちは5分もたたない内に、3人かたまり人並みの真中で様子をうかがいながら立っているコペたちの元に戻ってきた。チョコはすぐ3人に
「空家あるよ。くもの巣はってそうな家だけれど、なんとか魔法使ったりする事ぐらいは出来そう。」と言った。すぐに、ミーはコペとチェドの答えを待たずに
「すぐに案内して。」と答えた。チョコたちはすぐに、空家へと案内した。そして、着いた場所はさっき博士が、魔法の残り香を感じ立ち寄った場所、そしてドリスのパートナー、虚ろ魔法の妖精に意識を一時的に失う毒の花の香りをかがされた場所・・・博士が来た時までは、パン屋であった家だった。しかし今はチョコの言う通り、くもの巣が張っていそうな古い空家となっていた。博士が訪れた時から、まだ40分ほどしかたっていないのに、何故こうも違うのか、この時博士がまだ生きていてコペたちに教えたのならこのあとに起きる出来事を予測し行動できたかもしれない・・・コペたちがこの家にかけられた魔法にすぐ気づいたのなら、家に入る前に防御魔法などかける事ができただろう。
空家に最初に足を踏み入れたのは、ミーだった。その後にチェドが続き、そして最後にコペが家の中へ入った。中は外よりも暗くほとんど何も見えない状態だったため、何回もミーはつまずきそうになった。しかし、電気など空家にあるはずもなかったので、暗い中でなるべく早く計画をたてようと決めた。チョコはいち早く小さな部屋を見つけた。その部屋は他の部屋より比較的綺麗だったため、すぐに
「ここの部屋なら外からの明かりがちょっとこぼれてくるし、いいんじゃない?」と1番近くにいたコペに教えた。コペはうなずくと自分の一歩後ろに着いているチェドを確認した。そして1番その部屋から離れたところにいるミーを気遣い
「チョコ、すまんがミーをここまで誘導してきておくれ。わしとチェドは先に部屋に入っている。」と言いチェドと共に部屋に入ろうとしたが、チェドが
「僕はちょっとあそこの本棚みて来る。」といい終わらない内に、すでに部屋の隅にある木材で造られている本段へとケーキと共に行ってしまった。コペは
「まったくしょうがないのう。」と笑いをもらし1人で部屋へと入った。チョコはコペに言われた通り、暗いので歩くのが遅くなってしまっているミーのもとへ行きミーを誘導していた。先に部屋に入ったコペは部屋の異様さに気づいた。チョコは気が付かなかったが、コペはこの部屋が他の部屋よりも綺麗なのが妙に気になった。しかし目を走らせても誰もいる気配がなかったので、気のせいだろうと思い直した。その時ミーがチョコの誘導のもと部屋に入って来た。部屋に少し光がもれていたおかげで、ミーはコペの姿を確認できた。コペもミーを見る事が出来た。その頃まだチェドは本を手に取り読もうとしていたが、暗かったため諦め部屋へ持っていこうと思いコペのもとへ向かった。そしてチェドが部屋に入った時、コペが
「チェド!」と叫んだ。チェドは意味がわからず
「何?どうかした?」と答えようとした時、背中に激痛がはしった。そしてミーの悲鳴がチェドの耳に届く頃には、チェドは膝を床につきくずれ倒れた。ケーキは倒れていくチェドをただ呆然と見ていた。しかし、コペに
「ケーキ!早くこっちへ来んか!」と叫ばれたため、急いでコペの後ろにいるチョコとパフェのもとへ駆け寄った。そしてコペはすぐにチェドの元へ駆け寄ろうとしているミーを止めた。ミーはコペの腕を振り払おうともがいたが、コペは決して放さなかった。そして暴れるミーに
「チェドがなぜ倒れたか、考えろ。チェドの後ろにいる男が見えんか!」と怒声を飛ばした。ミーはビクッと体を震わせコペに言われた通り目をこらした。しかし暗く広がる闇のみしか確認する事は出来なかった。そのためミーは
「何も見えない!チェドのもとに行かせてよ!」とコペにミーは初めて本気ではむかった。コペはように
「おろか者!」とミーに言うとチェドの後ろに向かい
「そろそろ姿をはっきりと見せたらどうだ?」と轟く声を響かせた。ミーは混乱していたがコペの話し掛けた方向を再び目をこらしみつめた。すると、部屋が外と同じぐらいの明るさに突如変わりミーは、はっきりとチェドの後ろにたたずむ赤いマントの男を今度は確認する事が出来た。コペは軽蔑えをこめた笑みを浮かべると
「君がドリスという魔法使いかね?チェドに何をした?!」と顔までもマントで隠す男に尋ねた。すると、その男は
「そんなに怒らないで下さい。チェドは無事ですよ。ちょっと血は流れていますけれどね。このナイフ少し刺しましたから。それと、私はドリスではありません。今はね。」と気味の悪い笑みを浮かべ、小型のナイフをちらつかせながら答えた。ミーはチェドが無事だと知り安心した。なので、黙ったままコペとその男の会話を聞く事にした。
「今はとはどういう事じゃ?」コペは男に油断を与えず厳しい表情で尋ねた。
「そうですね、ドリスについてヒントを差し上げましょう。コペさん、ドリスはあなたと昔会っているんですよ?あなたがまだ長ではない時に。わからないようですね。覚えていませんか?確か20年前・・・学校で禁断魔法を使った犯人をあなたが探しに来た時ですよ。結局犯人を捕まえられなかったようですがね。まぁ、捕まえられなかった事はしょうがないでしょう。ドリスはまだ8歳だったのですから。それに1番魔力が弱いとされているクラスでしたしね。」と言った。誰も何も答えなかったので、その男は話を続けた。
「僕の事は覚えているでしょう?何回か会った事ありますし。おや?ミー、僕が誰だかわからないのかい?ショックだなぁ。君とチェドは僕のお気に入りなんだよ」コペはミーを見た。ミーは顔から血の気がひいたような顔色をしていた。そして
「サン先生?」とだけやっと出たような小さい声で呟いた。その男は
「やっとわかってくれたね。」と言って顔を覆っているマントをとった。コペは目を丸くして驚いた。サンはにっこり笑いと
「コペさんにもわかってもらえて光栄だなぁ。」と平然とした表情で言った。




