第26話
コペたちは、パフェに詳しい、いきさつを尋ねた。
「私が西の方角に向かって飛んでいた時に、誰かの家に、妖精がいたの。だからすぐ隠れて、建物の影から見てたんだけれど、その妖精、白いチューリップの花だけとってまたすぐ飛んで行っちゃって。見逃すところだったんだけれど、その妖精が飛び立った瞬間、家の人が庭に出てきたの。そしてチューリップの花だけが、なくなってる事に気がついて、なんか怒り出して・・・。そしたらその妖精、空から魔法をかけてその人を・・・なんていうか、ふにゃふにゃにしっちゃったの。だからね!何も怒ってないわよ。みたいな表情になって・・・つまり表面上だけだと思うんだけれど、人格が変わったの。それを確認してまた飛んで行っちゃった。この地球に私たち以外に妖精がいるとすれば、ドリスのパートナーだけじゃない?だからあの虚ろ魔法の妖精はドリスのパートナーだ!って、思ったのよ。それで、すぐ報告しなくちゃって、帰ってきたの。」とみんなが感嘆の声をもらすのを聞き余計気分が良くなったパフェは声を弾ませながら話した。ミーは
「虚ろ魔法なら攻撃系の妖精じゃないから、考えていたより能力の種類でいうならいいんじゃない?」とみんなに聞えるように言った。コペは
「そうかもしれんな。他の妖精を呼び出される前に何とかする事が出来ればよいのだが。」とあごをさすりながら、考えるように答えた。それを聞きチェドは
「大丈夫さ!3人いるんだから。」と同意を求めるように言った。コペたちは軽く笑いうなずいてみせた。しかし本音をいえば、不安と緊張だった。大丈夫などとは考えられなかった。チェドも実はそうであるが、そう口に出してしまったら、恐れが現実になってしまいそうで言う事など出来なかったのだ。そして、パフェの報告から北に向かったという事が分かったので、3人はまだ帰ってきていない、コペのパートナーとチェドのパートナーを呼び戻し、北へと向かう事にした。チェドは妖精を呼び出すため、魔法をつかう体制に入った。意識を集中させた。チェドの回りの空気がざわつき、ケーキが疲れた表情で現れた。チェドは心配し
「大丈夫?!何かあったの?」とあわてて聞いた。ケーキは目に見える以上に疲れているいるらしく、息もたえだえで、
「大丈夫。ちょっと逃げてきたから。ちょうど呼び出してくれて良かった。」と言った。ミーも心配しチェドと共にケーキを気遣いながら、
「逃げたってもしかして、虚ろ魔法の妖精から?」と聞いた。ケーキはミーが妖精の事をすでに知っていたのに驚いたような顔をしたが、
「さっきパフェが報告しえくれたんだ。」と言ったので、納得したように、笑うとミーの問いに対してうなずいた。そして、まだ現れていない博士のパートナー、コペの方をミーたちは見た。ミーたちがコペを見るとコペは視線に気づいたのか、振り向き一言
「博士は来ん。死んだ。」とだけ言った。ミーたちは驚いた。妖精たちの中で1番強い博士が?死んだ?なぜ?!あまりにもショックだった。博士は死んだという真実を受けとめることなど出来なかった。死というものをミーとチェドは分かっている。だからこそ信じられなかった。こんなあっけないものなのか・・・。涙がとどまることなく、ほうを伝い地面に触れ消えていった。チェドも泣いた。妖精たちも泣いた。涙をながしていないのは、コペだけだった。少なくとも瞳から涙をながしてはいなかった。ミーが叫んだ。その声は、痛かった。博士の死が現実のものだと
「どうして?!」と・・・。そのあとに続く言葉などいらなかった。パフェはさっき虚ろ魔法の妖精は北へ向かったといっていた。博士を殺したのは、虚ろ魔法の妖精そして、ドリスだけしかいなかった。コペは
「泣くのはいつでもできる。今すべき事は博士を殺したドリスの計画をなんとしてでも、砕く事じゃ。」とミーとチェドを一喝した。そして・・・・、その後ソロンが、地球が、どうなるのか、自分たちはどうなるのか、誰も考えていなかった。もしかしたら、考えていたかもしれないが、今はわからない。
それから、3人と妖精たちは、北へ向かうため空から妖精たちに誘導してもらい博士の気配のあった場所へと、急いだ。人の波をかき分けながら町をかけぬけている最中もコペは博士の事を一心に思っていた。コペは悲しんでいないわけではない。博士の信じた通りコペは誰よりも博士の死を嘆いていた。だからこそ、博士が死んだ最後の場所に行きたかったのである。そこに、博士の亡き骸があると信じ・・・。コペもミーもチェドも、妖精たちも、みな・・・妖精は死んだらクッキーのように石になると思っているのだ。博士の亡き骸とさえもう時2度と会えないという事を、この時はまだ知らなかった。
やがて、空から妖精たちは、地を走るコペたちよりもいち早く、博士の気配が残っている場所を察知した。そのため、妖精の1人、ケーキが報告のためチェドたちのもとへ降りて来た。3人はおよそ20分間走り続けていたため、とても疲れていた。そのため、チェドにケーキが話そうとしているため、足を止めた時は生き返る思いだった。そして、ケーキはチェドに
「博士の気配が残っている場所はこの先の民家を抜けて、田畑の中にある一軒家よ。まだ地上から見えてこないけれど、空からはもう見る事が出来る位置にあるわ。そろそろ止まって対策を練ったほうがいいかも。」と言った。それを聞きチェドは、ミーとコペに
「ケーキたちは、博士の気配が残っている一軒家をこの先の田畑の中にあるのを発見したらしい、そろそろ止まって計画をたてた方がいいかも、だって。」と息をきらしながらも、気にしている2人に伝えた。2人は分かったとうなずくと、地球の町並みをざっと見渡し、どこか隠れる場所はないかと目を光らせた。ミーは自分のすぐ右側の通りに古い家が並んでいるのを発見した。
「ねぇ、こっちの通りに隠れられる空家ありそうじゃない?家の中入っちゃえばドリスのパートナーに見付かる確率も低いし・・。」と言った。




