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Puzzle  作者: a-m
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第24話

「やっぱり、パートナーのレベルは高いみたい。多分カールの言ってた通りレベル6だと思う。オーラが凄かったもの。能力は、虚ろ魔法だと思うわ。」と、みんなを見渡しながら言った。チョコは妖精の能力を聞いても、どういう効果がある魔法なのか検討もつかなかったが、他の3人は簡単にはいかないと、決意を改たにしたのだった。カールの言っていた事の中に、ドリスが地球から闇の現を持ってきたという事など、合致しない点があったので、もしかしたら、レベル6という事も間違いなのかもしれないと、3人共少なからず思っていた。使者たちが

「ドリスは相当の力の持ち主だ。」と言った時も、もしかしたら・・・。と少し安易に考えていたのだ。しかし、パフェの話を聞き、そんな考えは最初から捨てておくべきだった。と、安易に考えていた自分に腹が立った。そんな3人の顔の表情や緊張感を感じたチョコは、どういう魔法なのかわからなくても、危険なんだ、遊びで何とかなる問題じゃないんだ、と初めて真剣に事態を受けとめた。妖精たちはみな主として、好奇心が強い。そして、いつも考えが前向き、というよりも楽天的なのである。そのため、今回の事も、何とかなるよね、面白そう、などとしか考えていなかったのだ。恐怖にかられる場面があっても、その瞬間だけ、という場合が多い。それが、妖精たちの良い所でもあり、悪い所でもある。今回は悪い方に傾いてしまったとはいうまでもない。今でもチョコ以外の妖精は、危険、恐怖、緊張という言葉からはかけ離れた心境だろう。それが、もしかしたらこれから役にたつかもしれないが、死に接近する1つの障害となるかもしれない。妖精たちの多くが本当の恐れを初めて感じるのが死ぬ時なのである。しかし、死を感じている博士の心境は、違っていた。今こうしている間にも、博士は死ぬか死なないかという場面に直面しているのだが、面白いことに、心境は幸福というものなのである。

ドリスを見つけるため公園から、北の方角へ魔法の残り香を感じ取りながら、黙々と博士は飛んでいった。公園から東西南北全ての方角に、魔法の気配がしたため、妖精たちは各自分担を決めたのだ。博士は北、チョコは南、パフェは西、ケーキは東という事になった。そして公園から飛び立ち数分してから、博士はここにドリスは立ち寄っただろうと思う場所を発見した。そこはパン屋だった。古い歴史あるお店という印象を受ける店構えのその店は、男の店員が1人、女の店員が3人いた。男は若く、女は3人共子供のようだった。年はせいぜい15歳ぐらいに見えた。この店でパンを買ったのか、ただ寄ってみただけなのかは、博士には分からなかった。だが、ドリスにとって意味のあるものだったのだろう、と推測した。博士は自分が人間に変身できる能力の持ち主だったら、この場で変身し店の人間に、赤いマントの男は何をしていったのか尋ねる事ができるのに、と悔やんだ。(しかし、博士は人間に変身できる能力の持ち主でもなければ、そんな能力の妖精がいるわけでもない。考えるだけ無駄というものである。)そして博士は、魔法の香りが続く方へ足を進めた。その時だった。いきなり目の前が真っ暗になり、気を失う前、かすかに目にした物は、真っ白のチューリップだった。それから、博士は自分が意識を取り戻すまでに、どのぐらいの時間がかかったのか、分からなかったが、日の照り具合から言ってほんの数分だろうと考えた。地球にきた時と太陽の位置や、空気の流れが変わっていなかったからである。(ちなみに、地球へ来た時刻は、紫色の翼に黄色の胴体というユニークな鳥が飛ぶ時間、つまりお昼の時間が約2時間ほど過ぎたぐらいだった。)そして、意識が戻った時、最初に目にした物は、またしてもチューリップだった。しかし、気を失う前に目にしたチューリップではない、色が違うからだ。今度は真っ黒だった。そして、そのチューリップを手にしていた妖精こそ、ドリスのパートナー・・・虚ろ魔法の妖精だった。もちろんその隣には、サンでありドリスでもある人物が立っていた。だんだん頭がはっきりしてきた博士は、自分の前に立ちはばかる妖精と魔法使いをじっくり観察した。そして、その魔法使いの魔力、パートナーの妖精のレベル、全てを瞬時に計算し、敵わないと思った。周りを大雑把に見渡したが、何か建物の中にいるらしいという事しかわからず、出口の位置など重要な事を知る事が出来なかった。博士は諦めドリスと妖精に視線を戻した。チューリップを持った妖精は美しかった。しかし、美しいバラにはとげがある。ということわざが似合う妖精だとも思った。とても、笑顔が恐ろしかった、いや、それよりもその妖精の放つオーラが凄まじかったのだ。博士は、必死に考えた。この場をどうやってくぐり抜けるか・・・。まず何をすべきか・・・。そして考えついたのが、一般的に考えたのなら最悪なものだった。しかし博士にとっては、最高の思いつきだったのだろう。博士は不敵な笑みを浮かべ自分を眺めているドリスに向かいにっこり笑うと

「これは、まさに噂に聞く通りお強い印象を受けますは、ドリスさん。ご機嫌いかがかな?私コペ様のパートナーでございます。博士という者でございます。以後お見知りおきを。」と深々とお辞儀をし、言ったのは、例によってあのおきまりの挨拶だった。これには、多少意表をつかれたドリスと虚ろ魔法の妖精は眉間にしわをよせ、観察するように、博士を見た。博士は自分を誇らしく思っていた。こんな場面でさえちゃんと挨拶ができてこそ真の紳士というもの。私はやはり真の紳士なのですな。と見つめ返しながら考えていた。そして、ドリスは

「ご丁寧にどうも。私の事は知っておられるだろうと思いますので、今更名乗りませんが、私のパートナーを紹介いたしましょう。この妖精は貴殿と同じレベル6の妖精、名前は付けていませんが、そうですね。つけるとするならば、預言者とでもつけますかな。」と、馬鹿にしたように、博士の口調を真似て言った。それに気がついたドリスのパートナーは笑みをこぼしたが、博士は気づかず、コペ様がお考えになっているよりも良いお方なのかもしれませんぞ。と聞えるはずもないのだが、心の中でコペに話し掛けた。もちろんそんな事はありえるはずもなくこの後にドリスが言った言葉は、博士の死を確定するものであった。ドリスは最後に軽蔑するように博士を一瞥すると、パートナーの妖精に、

「必要のないやつは早く処分しろ。いちいち連れて来るな。」と言いきびすを返し去って行った。博士は今度ばかりは瞬時に判断する事が出来なかった。

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