第17話
それから3人は、その隙間をどうやってみつけるか、いろいろと考えた。それは、妖精たちにもわからないらしく、黙ってしまった。その時コペが自分のパートナーを呼び出した。コペのパートナーは、コペ同様知性にあふれ、それにとても強い。2人共コペのパートナーを見るのが初めてだったため、最初恐怖を感じたが、妖精がミーとチェドを見て
「これは、これは。ご機嫌麗しゅうでございます。お初にお目にかかりますは、私コペ様のパートナーでございます、望遠魔法の妖精でございます。以後見知りおきを。」と深々とお辞儀しながら、にっこり笑い言ったので、ミーとチェドは変な言葉使いをするユニークな妖精を好きになりすっかり恐怖は消えた。コペは自分のパートナーのお決まりの挨拶が終わると、
「さてさて、挨拶が済んだところで博士よ。妖精の領域とソロンの世界の狭間にある場所に、聖なる木があるそうじゃ。そしてその右側がソロンの空間、左側が妖精の領域の空間じゃ。その右側の空間に穴が空いているらしい。そこを通り聖なる木の元へ行く方法を突き止めてきて欲しいんじゃがやってくれるかの?」と言った。妖精は驚き、
「なんと!?聖なる木の場所ですと!?しかも空間に穴?!・・・うん?博士と私をお呼びになりましたか?」と言った。
「博士という名はお気にめさなかったかの?この2人が妖精に名前を付けているようなのでな。わしもつけてみたのじゃが。」と片方のまゆを上げ聞き返した。
「名前をつけてくださったのですか?!なんと、嬉しき!!もちろん気に入りましたとも。さぁ!最初の話題に戻りますかな。えぇ・・・聖なる木の場所にある空間の穴、つまりひずみから聖なる木の元へ行くという事ですな?しかしあまりにも危険なお考えでございます。」
「大丈夫じゃ。死にはせん・・・と思うぞ。」
「承知いたしました。私本当は嫌ですが・・・本当は嫌なんですぞ?しかしながらコペ様のご命令でしたら、今すぐにでも覗いて調べてきてみましょう。まったくもって悲しき・・・コペ様の頭は星が飛んでいるのではと思うほどです。」
「わしの頭は、星など飛んでおらん。ひよこもな。さて、博士。無事を祈っておるぞ。」とコペが博士に微笑むと博士は、
「明日にでもお呼びして下さいますよう、お待ちしております。」とまた深々とお辞儀をして、奇妙なポンという音をたて消えた。それからコペは、訳のわからないという顔をしているミーとチェドに、自分のパートナーの能力を教えた。望遠魔法の妖精の能力とは、遠い場所からその場所を覗き見ることができる。博士はその能力を使い、その空間の穴を、自分は行かずして見てみよう、としているのだ。見るだけではなく、自分の手や足を想像すれば、その場所に実態を持たぬ手や足が現れる。その幽霊のような手と足は覗き見た場所にある物を触る事も出来るため、もしそこに草でも生えていたら、抜く事もできるのである。(しかし、物に触れても、持ち帰ることは出来ない。)ミーとチェドは、さすがコペのパートナーだと思った。こんな能力を持つ妖精のレベルで考えられるのは、最強のレベル6だと思ったのだ。(もちろんその推測は当たっている。コペもドリス同様レベル6のパートナーを持つ魔法使いなのだ。)それから、昨日ケーキが、
「闇の現に関して調べてくる。」といっていたのを思い出し、ケーキに何かわかったことは、あったか聞いてみた。しかし昨日は聖なる木の元へ行くので精一杯だったらしく、何も聞いていないと答えた。その時空では赤い鳥たちが、鈴をならし飛んでいった。その姿が見えなくなるまで見ていたあと、3人は明日会う約束をし、家に帰ることにした。
ミーとチェドは、ベルの元へ行き3人でご飯を食べた。それからミーとチェドは妖精に
「おやすみ。」と言い別れた。そしてベルはシャワーを浴びに行き、チェドは自分の家に帰った。チェドが帰ったあと、ミーはベルが浴び終わるのを待ち、浴び終わったらしいベルが現れると、髪を乾かしたあと寝させた。そしてやっとミーは自分の家に帰ると手早く着替え、すぐにベッドに入った。眠りにつくまでそう時間はかからなかった。そしてチェドはというと、ミーより一足早く自宅に着いた。それから軽くシャワーを浴び、髪を乾かさないままベッドに倒れこんだ。そしてそのまま寝てしまったのだった。(翌日のチェドの髪形は、ご想像通りすさまじかった。しかしチェドは髪を濡らし直したため、ミーに笑われるという事はさけられた。)
2人が目を覚ました頃、コペは博士に結果報告を長々と受けていた。ミーはベッドから起きると、まずシャワーを浴び、昨日同様黒マントを羽織るとすぐにベルの家へと向かった。チェドは、ご存知の通り髪を直した。そしてミーと同じく護衛魔法使いのマントを着ると、ベルの家へ走った。チェドはベルの家まで行く途中で温度計を見た。温度計は葉っぱをオレンジ色にし、「快適な温度」だと教えていた。カレンダーは、現れなかったが水曜日だという事はわかっていたので、得に気にはならなかった。ベルの家に着くと、
「おはよう。今日はチョコに頼まなくていいみたいね。」とミーはチェドに言った。
「おはよう。温度計が快適な温度だってなってたしね。ベルは?」ベルの姿が見えなかったチェドは、あたりを探るように見ながら、聞いた。ミーはにっこり笑うと
「ベルね。近所に友達ができたらしくて、朝ご飯食べたらすぐ遊びに行っちゃった。お昼に食べように、サンドイッチ作って持たせたから、今日はウィックおばさんに頼む必要はないわね。」と言った。チェドは
「そう。ベルにも友達できたんだ。じゃあこれからは、僕たちがいない間寂しくないね。」と安心したように笑い、答えた。ミーもそうね。というようにうなずいた。そして、2人幸せな気分で朝ご飯を食べ始めたのだった。(ミーはチェドと一緒に食べようと思い、ベルと食べずに待っていたのだ。)その時コペが、戸をあけ入ってきた。横には博士が、良い気分だというような顔をして、品よく羽を動かし、堂々と胸をはり飛んでいた。その姿を見た2人は、きっと良い結果だったんだ。と感じ胸が躍った。そしてコペが口を開く前にミーは、
「コペおじいちゃん、何かいい事がわかったのね?!」とコペに尋ねた。コペは多少驚いたが、豪快に笑い
「よくわかったの?まぁ、博士の様子を見れば分かるかもしれんな。朝から自分の英雄伝についてずっと聞かされてての。それで少しばかり来るのが遅れたんじゃ。」と言った。ミーとチェドは
「そんな遅れてないよ。それに何時に来るか約束しないで別れちゃったから、もっと遅いと思ってた。」とコペに言った。コペは、それは良かった。というようにまた笑うと、
「さて、博士や。朝方わしに聞かせてくれたすばらしい英雄伝を、またミーとチェドのために話してやってくれ。わしは、台所を借りて朝ご飯でも食べることにしよう。」と博士に言いキッチンへ向かった。ミーは、ベルのお昼のために作ったサンドイッチが残っていることを思い出し、
「コペおじいちゃん。サンドイッチが残ってるの。おじいちゃんサンドイッチ食べれる?」と聞いた。するとコペは満面の笑みで
「奇遇じゃの。わしも今からサンドウィッチを作ろうとしてたんじゃ。大好物なんでの。」と嬉しそうに答えた。ミーは
「良かった。じゃあ今持ってくる。」と言い残しキッチンへと急いだ。そしてサンドイッチを持ってくると、騒々しく自分の席に座り博士が話しだすのを待った。博士はみんながイスに座り、コペ以外は自分の方を熱心に見ているのを確認すると、1回咳払いをし、重々しく自分が昨日妖精の領域に帰ったあと、やった事を話し出した。




