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Puzzle  作者: a-m
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第16話

「いや、それはまだはっきりわからないんだけれど、全然関係していない、って事はないと思ってるんだ。じゃあ、もう行かなくちゃ。先生ありがとう。」

「あぁ、何も役にたたなくてすまないな。じゃあ、頑張れよ。」といいにっこり笑いコペの元へ駆けて行く2人を、しばらくの間見つめたあと、サンは、消えた。

ミーとチェドはコペの元へ着くと、コペを静かに話しが、出来るところへ連れて行き、ミーはチェドに話した事と同じ事を、チェドは聖なる木の秘密や、妖精の世界に行くことができるかもしれない事など、昨日校長室から逃げてきたあと、みんなで話し合った内容をコペに話した。コペはすぐ話を理解し

「それでお前さんたちは、妖精の領域に行き聖なる木に話を聞こう、というんじゃな?」と2人を、鋭く観察するような目で尋ねた。2人は何もいわずただ頷いた。コペはやはりな、というようにため息をつくと、

「お前さんたち2人だけでは、行かせん。生きて帰ってくる見込みが少ないのに、わしが黙って行かせるとでも思ったか?わしはお前さんたちを失いたくないんじゃ。」と暖かい口調で2人を抱きしめながら言った。2人はコペの言葉が、胸に突き刺さった。本当に痛かった。血はながれなかったが涙としてながれた。ミーとチェドは7歳の頃からずーと2人だけだった。いや、正確に言えば他にも回りに、世話人のおばさんやおじさん、そして学校の友達や先生がいた。しかしみんな、世話人という役を演じる人間のおばさん、おじさん。友達や先生という役を演じる人間のサナやサン。クラスである事件が起こった時から今までそう考えてきた。その事件とは、イガの授業、つまり魔法授業の時に起こった。その日の授業の内容は、「死の薬」という死刑となった罪人が、飲まされる薬を作るという、とても難しい授業だった。なぜ難しいかというと、「死の薬」とは、作っている最中少しでも集中を乱せば、薬を飲まなくても、薬が自分の心に染みわたり、想像を絶するほどの苦しみを味わったあと、確実に死ぬという、作る者に恐怖を与える薬だからである。しかしクラスの1人を除いては全員、恐怖に負け集中力を乱すこともなく、作ることができた。その除かれた1人は、作ることが出来ず6歳にして死んだ。そう、苦痛に叫び体を痙攣させながら・・・。その声はみんながまだ作っている最中に聞え始めた。しかし、集中を解かなかった。解いたら自分も死んでしまうのだから、当然といえば当然である。それに確実に死ぬのだから、助けようとして自分まで死ぬことはない。と考えるのも当然である。ミーとチェドもそう考える人間の1人だった。そして作り終わると恐る恐る声のした方へ行った。その人物はイガが、痙攣している体を必死に抑えようとしているせいで、余計苦しみもがいているように見えた。顔は紫だった。目は黄色だった。そして体からは、ぎしぎし音がなっていた。縮んでいたのだ。その時作り終わっていたのは、ミーとチェドの2人だけだったので、その人物が死んでいく光景を見ていたのは、ミーとチェド、そしてイガだけだった。ミーは気が変になりそうだった。人が死んでいくのを初めて見たのだ。チェドは目の前で起こっている光景を現実だと受け止めることが出来なかった。しかし2人とも目を放すことはなかった。イガはそんな2人を見て恐怖を覚えた。死というものに魅了されていると思ったのだ。3人がいろいろな感情を抱いている中、その人物は死んでいった。耳に今でも残るほどの叫びを残して・・・。イガは、その叫び声を聞いた瞬間奇妙な思いにかられた。言葉で説明できるような思いではなかった。そしてその時からイガは生徒に嫌われるような教師になった。ミーとチェドも変わった。もちろんイガのように、意地が悪くなったわけではないが、以前のように人間を人間だと思えなくなった。自分たち以外の存在を、認めることができなくなってしまったのだ。それは、死んでいく人間を見たからとか、あの叫び声を聞いたからでは決してない。(もしかしたらイガも、恐ろしい叫び声を聞いたからというわけだけでは、ないかもしれないが、今となってはわからない。)叫び声を聞いたあとの事が原因なのである。ミーとチェドはその人物が死ぬまでただ呆然と立っていたわけではない。この光景を現実のものだと受け止め気をしっかり持った2人は、その人物の名前を何度も何度も呼んだ。イガも体を抑え無理とは、わかっていても痙攣を止めようとした。そんなイガを、2人は手伝いもした。でもやはり予想されていた結果は、変わらずその人物は死んだ。それから、少しして、薬を作り終えた人が、段々とその人物を囲み、座っていた3人の回りに集まってきた。そして、すでに原型を留めていない、死んだ者に目をやった。最初みんな悲しみの意を示したが、誰かが、

「恐怖に負けて集中を解いたからいけないんだ。自業自得だよ。」とぼそっと言った。その言葉を聞いた時、ミーとチェド以外の生徒は、その意見に賛成したらしく、死んだ者を、見る目が変わった。悲しみを表す目から、同情、そして軽蔑の目になったのだ。その目を見たミーとチェドは必死に、自分たちはこんな人間とは違う。こんな人間じゃない。こんな・・・。と心の中でいい続けた。それからしばらくは、その思いが態度に表れていたが、時がたつにつれ、心の奥底にしまいこみ態度に表れることはなくなった。というより、その思いがミーとチェドの一部になり、自然な感情になったのである。それから今までの約6年間、2人は自分たち以外の人間の存在を自然なことのように認めなかった。認めるのは、人間じゃない生き物の存在、そう、妖精や動物だけだった。しかし人間を嫌いになった訳ではない。教師の中ではサンの事を信頼しているし、好きだとも思っている。そして、あのカールのことも、好きだった。だが好きだという事と、存在を認めているという事は一致しない。つまりもしサンが死んだとしても、悲しくないという事である。存在を認めていないのだから、死んでもなにも変わらない。しかしベルがソロンにやって来て、家族の存在、血のつながりを教えてくれてから、2人の気持ちは変わりつつあった。もちろん、2人は気づかないうちにだが。そして今、コペによって2人の心の奥底にあった思いは、涙となって流れた。コペは、2人の一部となっている思いに気づいていた。ずっと2人の孤独な気持ちに気づいていたのだ。2人を指名し護衛魔法使いにしてから、自分たち以外の人間をみる目の違いを感じていたのだ。そして今、この3日間の間2人に起こった話しを聞いたあと2人の心の変化に驚きつつ嬉しく思い、自分の腕の中で泣いている2人の将来を楽しみに思うのだった。昔2人の身に何が起こり、2人を孤独にしたのかわからんが、良い成長をしてくれた。と心の中で呟くのだった。それから2人は、顔をあげると、コペと妖精の領域に行く方法を話し合った。妖精たちは、ミーとチェドの幸せそうなの顔をずっとニコニコ笑いながら、見ていたが、妖精の領域の話になると、真剣な顔をして話に耳を傾けた。

「どうやって行ったら良いんだろう?」とチェドが言った。

「禁断の魔法の中で妖精の領域に行くことの出来るのが、あるんじゃないかしら?」と、ミーが答えた。そしてコペは、

「いや、禁断の魔法の中で、使えるのはない。妖精の諸君は何か知らんかの?」と妖精に尋ねた。妖精たちは何か考え込むと、その考えをまとめるように、チョコが、

「ヒントになるかどうかわかんないけれど、僕たち昨日妖精の領域に帰ったあと、聖なる木があるってクッキーが教えてくれた場所に行ってみたんだ。そこは、ソロンと妖精の領域の狭間なんだけれど、右側はソロンの空間、左側は妖精の領域ってなってるんだ。それで・・・。」まで言うと横からパフェが、

「それでね!右側のソロンの空間に穴があいてたの。」と得意そうに言った。チョコは1番良いところを、パフェにとられ、膨れっ面をした。それを聞いたミーとチェドは、

「それだ!」と、コペはというと、

「それじゃ!」と3人同時に叫んだのだった。

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