第14話
クッキーは、みんなが黙っているのをみると、話を続けた。
「でも、時々全て食べるのではなく、少しだけ食べて残すことがあるの。記憶を全て聖なる木に食べられなかった人間は、自分が1番大事に思う記憶だけ、残される。でも、それも、時間がたつにつれ、曖昧になって、最終的には消えるの。そう、ベルのようにね。」と言って、ベルの方を見た。ベルは自分の名前が、出たことはわかったが、何の話をしているのか、わからずポカンとしていた。ミーは、聖なる木に憎しみを覚えた。チェドは、怒りを抱くことはなかったが、1つ疑問に思う事があった。
「聖なる木は、何で魔力をもった人間ばかり連れてくるのか知ってる?」と聞いた。クッキーは、
「わからないわ。ただ昔に、聖なる木が魔力をもった人間を探し出し、つれて来い。と、先代の使者に言ったらしいの。」と、答えた。そしてチェドが、
「その謎を解けば何か見えてくるものがあるかも知れない。」と、言って眠そうな顔をしているベルの方を向き、
「もう、遅いから寝よう。明日は学校に行ってイガ先生に、あの後どうしたのか聞いてみなくちゃ。」と、ベルを寝室まで抱きかかえ運んでいった。ミーは、チェドが帰ってくるまでの間少しだけ、ソファーで横になろうと思いソファーに、腰をおろした。しかしチェドが戻ってきた時には、ミーはすっかり寝息をたて眠りに落ちていた。チェドはしかたないなぁ。と苦笑いをすると、また寝室に行き、自分の分の毛布とミーの分の毛布を持ってきた。そして、ミーにそっと毛布をかけると、何か笑いながら話している妖精たちに、
「おやすみ。もう妖精の領域に帰っていいよ。あっ!クッキーいろいろと、話てくれてありがとう。」とにっこりと笑い、言った。クッキーは、何も言わず微笑みかえした。そして
「おやすみ。明日の朝できるだけ早く呼び出してね。それまでに、いろいろと情報集めておくから。」とチョコが、言いみんなそうそう。というようにうなずき消えた。それからチェドは、ミーの向かい側のソファーでいろいろと、考え寝たのだった。
次の日の朝、最初に起きたのは、ベルだった。ソファーで寝ているミーとチェドを見つけると、昨日の事を思い出し、どういう意味だったんだろう。と一瞬考えたが、面白くなさそうだと思い、すぐ考えるのをやめた。そしてミーのそばに行き、僕ミーに似てる人しってるような気がするんだけれどなぁ。と思ったのだった。そんな事を、考えていた時、誰かが、戸をドンドン叩くのが、聞えた。その音に2人も目をさまし、目をこすりながら戸へ向かった。そして、戸を開けると、右胸にソロンのシンボルマークが記してある黒いマントを身につつんだコペが立っていた。その姿を見た瞬間ミーとチェドは、胸が高鳴った。その独特のマントは、護衛魔法使いの衣装なのだ。仕事の時身につける特別なマントで、護衛魔法使いの誇りでもある。コペは興奮し顔を輝かしている2人に、
「そう、喜ぶな。まぁ、わしも初仕事の時は、興奮したもんだがの。」といい、子供のように笑った。ミーとチェドは、やっぱり仕事なんだ。と心の中で呟きコペの次の言葉を待った。そしてコペは笑うのをやめ、もう一度2人の顔を順々に見ると、
「今回の仕事は、ちとキツイかもしれん。初仕事となればなおさらな。」と、今度はミーとチェドを試すように見た。2人は大丈夫だというようにコペを見つめ返した。その目にある勇気と知性を見つけたコペは、優しく微笑み
「わしは、お前たちに期待しておる。お前たちを護衛魔法使いに推薦したのは、何を隠そうわしなのじゃ。」ミーとチェドは初めて、誰が自分たちを推薦してくれたのか知り、それがコペだとわかると、とても光栄に感じた。そしてコペの期待に答えられるよう今回の仕事を頑張ろうと誓ったのだった。コペは、
「おっと、こんなことを話している暇などなかったんじゃった。今回の仕事はお前さんたちの学校に関係のあるもののことなんじゃ。今すぐ学校へ向かってくれ。他の護衛魔法使いはもう集まっておる。」と、言いミーとチェドが何か質問する前に消えた。
「まさか、イガ先生がカールを殺しちゃったとか?」と恐る恐るミーがチェドに聞いた。
「いや、イガはそんなことしないよ。そりゃ昨日まではイガは人殺しでも、何でも出来るって思って思っていたけれど、昨日イガがミーを助けてくれたのを、見てからイガは本当は、良い人なんじゃないかと思うんだ。」
「うん。私も今までイガ先生のこと大嫌いだったけれど、今ではそうでもないわ。まぁ、イガのパートナーは、嫌いだけれどね。」とミーも、チェドの意見に賛成の意を示した。
「それじゃあ、早くケーキたちを呼び出そう。昨日早く呼び出すって約束しちゃったし。それにいろいろと情報を集めてきてくれたかもしれない。」と、チェドはいい、くすぐったい低い声で自分のパートナーであるケーキを呼び出した。ミーはチェドが、妖精を呼び出すときの声が、大好きだったのでチェドが言い終わるのを、待ってから自分のパートナーであるチョコを呼び出した。そして2人はパートナーを通しパフェとクッキーを呼び出そうとした。しかし現れたのは、ケーキが連れてきたパフェだけで、チョコはクッキーを連れてこなかった。いや、正確に言えば連れてくることが出来なかったのだ。ミーがチョコの顔が真っ青なのに気づき
「どうしたの?」と聞いた。チョコはミーを、悲しみにあふれた目で見ると、
「クッキーは・・・石になっちゃった。死んじゃったんだよ。」といい泣いた。他の妖精もハッと手を口にやり、涙を流し泣き出した。ミーとチェドは驚きチョコを見た。チョコは、何があったのかを説明をした。
「僕、クッキーのところに行ったんだ。ミーが呼んでるよ。って、いいに・・・。そしたらクッキーは石になってた。僕何があったのか、わかんなくて、クッキーの顔を覗き込んだんだ。でもクッキーは、目をぎゅっとつぶって僕のことを見る事はなかった。」チェドは昨日最後に見せたクッキーの優しい笑顔を思い出した。




