表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦ぎの淡い影 ― 平安戦御体戦記  作者: ひろくま
序章 暁 あかつき

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/240

0-39 栄耀ノ章 二

「・・・・・・詳しく聞かせてもらえるだろうか?」

男は言った。


「・・・・・・」


「信頼して話そう。おれは山城守(やましろのかみ)霞宗忠(かすみむねただ)の家臣、霞兼信(かすみかねのぶ)。ここにいるのはミカナ。陰陽師(おんみょうじ)だ」

慶秀が考えあぐねて黙っていると、男は自ら名乗った。

「・・・・おれは楠慶秀(くすのきけいしゅう)。職人だ」


「おれたちはミカナの父、臼井天海(うすいてんかい)を殺したという富士江成親(ふじえなりちか)の屋敷を調べて戻る途中だ」

兼信はゆっくりと話した。

「・・・・どうしてそんなことを話す?おれをそこまで信じてよいのか?」


「・・・・わからんが、商人の勘だ。おれはこの”勘”だけでここまで来たのでな」

そう言って男は少し笑った。


「・・・・商人?」

「ああ。六原は今、ものすごい勢いで鉄や木を集めている。その資金繰りと調達を調べに行っていた」


「・・・・・おそらく、おれはそれと繋がりがある」


「・・・・どういうことだ?」


「おれが職人として作っていたのは、”戦御体”」

「何だ、それは?」

「人が乗り、動く人型の絡繰り・・・いや、鬼と言った方が近いかもしれん」

「・・・・・・・?」

兼信とミカナは顔を見合わせた。


「・・・・・・」


「直に見るまでは信じられんだろう。おれもそうだった。唐へ渡り、実際に見るまではな。だが、最初に見た時、おれはあれを作りたいと思ったのだ。そして、その技を身につけた。だが・・・・それで・・・人が死んだ。大勢死んだ。すべておれのせいだと思うのは思い上がりかもしれない。だが・・・・」


「・・・・それで六原を逃げ出してきたのじゃな?」

ミカナが言った。

「そうだ。おれの作ったものが、罪のない者を殺すところを見たくない」


「そうじゃな・・・お主の言う通り、思い上がりも甚だしい」


慶秀はミカナの顔を見上げる。

「ああ、すまん。この娘、こういう娘でな。思うことに口を閉じられんのだ」


「世の中にあるどんな優れたものも、使い道を誤れば人の命を奪うことは往々にしてある。すべては使う者次第じゃ。それを恐れていては、この世に新しいものなど何も生まれんぞ」


「だが、今度のものは違う!」


「違うなら、お主がこのまま逃げ回っておれば、それは生まれてこぬものか?」

「・・・・いや。そんなことは・・・ない」

「ならば、お主にできることは何じゃ?職人が作ることをやめて、何ができる?」

「・・・・・・・・・」


「まあ、ミカナ。それくらいにしてやれ」

兼信が見かねて間に入った。

「ともかく慶秀殿。我が主、宗忠殿に会ってみてはくれぬか?」



「・・・・確かに、その娘の言う通りだ。おれが逃げていれば、何も変わらない。会わせてくれ、宗忠殿に。緋家を止めねばならん」

そう言うと、図の書いた紙の入った布袋を引き寄せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ