なんでもやるって言ったよね?
「姉御、お疲れ様です」
なんだろ。自室に戻ってきてサライにこうして出迎えて貰えるのはなんだか懐かしくてそれでいて感動を覚えるような気が……しないな。
与えた休みの間でこんがりと日に焼けちゃってまぁ。
「あ、姉御?どうかしたんですか?」
「荷物は届いてないか?」
「いえ、届いてないっすよ」
流石に戻るのが早すぎたか。
『逸般人』の取材はブリタンニア及び『騎士王』の原稿が残っているので補充しなくてもいいと編集部からメモが回ってきているな。
商会長としての仕事はそもそもない。
となると、シナリオを書くか。
「サライ、部屋の外に出ていろ」
「へい!」
さて、シナリオを書く前にやっておきたいことは済ませておくか。
じゃないと扱いにも困るからな。
「アルアジフ、確認だが物理世界適応個体というのは冒険世界で呼び出したらどうなる?」
《対策なしに呼び出すと死亡するかと》
「対策は可能か?」
《ショゴスだけならば可能です》
「……あの二人を頼む」
「「お命だけはお助けください!」」
挿絵のままのポーズで出て来たな。よし、あとは投げよう。
「ショゴスを全て出してくれ」
『テケ・リリ?』
「二人に仕事与えよう。この場にいるショゴス11匹に人に混ざり生きていくにはどうしたらいいのか教育を頼む」
《こちらで最低限言語の学習は終わらせておきました》
「言葉は通じるらしい。どんなことでもやるんだろ?なら任せて大丈夫だよな?」
ショゴスを見て顔を青ざめ、そしてこちらの問いに取れるのでは?と思わせるほど首を縦に振っている二人。了承してくれたようだし、ロードに至る個体を育ててくれるとありがたいんだがな。




