神様談(01)
『何しに来たのですか後輩』
『え?詫びに決まっているでしょ。この姿みて分かりません?』
全身真っ黒の、まるで己が犯人と言わんばかりの姿で土下座をしている男は不機嫌そうにしている漆黒のドレスを纏った少女に対して告げた。
『同志が先輩のお気に入りって事は見た目から加護の存在までバッチリ理解してましたよ?そのうえでNo.1とNo.2に相談して外付けの形で取り付けたんだよ?』
『あ"あ"ん?』
少女は乙女から出るとは思えないドスの効いた声で男を威圧する。
絶対に赦さないという意思表示を込めて睨みも利かせている。
『あの、ほんと、まじで……あ、そうだ此処の当分の維持費は自分が出しますんで赦して?』
『その期間は私の考える当分よね?』
『もちろんですとも……あ』
『言質は貰ったよ。あ~あ、新しい信者探さないといけないじゃんか』
男は己の失態に気が付き顔上げると笑みを浮かべた少女と目が合った。しかし、少女はすぐに憂鬱そうな表情に変わる。
この男に自らを熱心に信仰してくれている信者を奪い取られたのだと、貴重な収入源を絶たれたのだと、そう思うと行動する気力も失せるなぁと。
男は合わない視線からそう暗に言われているのだと感じざるを得なかった。
『先輩、アイツに関してですけど先輩の眷属にしてもらって大丈夫ですよ?』
『ふぇ?』
『裏切りをする事が本懐とされる数字、"13"を冠する力を与えたのはそういう理由もあるんです』
『ほんとにいいの?』
『いや、だって同志は自らのシンボルに先輩から与えられた指輪を選んでたぐらい先輩の事慕ってますから。それを名前の繋がりだけで横やり入れたらあの二人が承認しませんって』
あの二人とは誰か、少女は思案する。そして一つの結論を出した。
『あ~アンタの上の二人って義理堅かったわね。じゃ、遠慮なく……御宅の副王が干渉してますけど?』
『顔合せと軽い仕事の依頼なんで大丈夫ですよ』
『ふ~ん。ねぇ、あの子が眷属を所望してきたことがあってね』
『ご用意いたしますよ』
『うん、全て実装済みって思われているから放置してるけど、他にも私の裁量じゃどうしようもないことがいくつもあるんだよね。だから後輩、アンタにも手伝ってもらうからね?』
『しょうがないですねぇ』
別々の神話に属する二柱はたった一人の為に議論を重ねる。それがいつか自身に帰ってくると確信して。




