物理の世界15
「……さて、尋問しますか」
「恐ろしく手早い捕縛だったな」
「本気で逃げに走ったら光よりも速く動きますからね」
そんな身体能力オバケのシノビの力を実質的にパッシブ化できたのはかなりでかい。
これが一番勲章等を着けているから上官だと仮定して、拷問を始めますか。
「……っと。我とした事が力に呑まれかけていたな」
「大丈夫なのですか?」
「新しく便利な道具を手に入れたとして、元々持っていた道具の方が使用用途的には一番向いていた事を思い出しただけさ。確認だが、拷問の類いは法などで禁止されているか?」
「ああ、禁止されているとも。但し、合意があれば別となっている」
なるほど……拷問するなら「拷問でも何でもしてみやがれ!お前らに話す情報なんざ存在しなねぇんだよ!」って意気がる奴にしろと。
「ここから先の情報に関しては我を信じて貰うしかない。拠点や計画を明らかにすればそちらのヒーロー達で解決できそうか?」
「いいのか?最後まで解決してくれていいんだぞ?」
顔色から察するにやれなくはないが、被害を考えるとこちらを頼りたいということだな。
であれば身代わりを差し出して、やっておかなければならない処理を済ませよう。
「帰ってやりたい事があるからな。それと……」
「うひゃ!いてて……え?なにここ?」
「ニャルとして、門を使って呼び出した。我が命ずる、この世界に巣食う悪の組織を叩き潰せ。但し、必要悪に関しては現場判断に任せる」
「御意、我が主の思し召しのままに」
「この者達はいったい?」
「我が権能によって呼び出した我の部下だ。クロエ、詳細はコレに纏めたので後は頼む」
「いってらっしゃいませ」
「ちょっとマスター?」
物理世界生存装置が完成したと掲示板でほのめかしたのが運の尽きよ。それに、あの道中をショートカットできるならコレもアリだろうさ。いざ″門の創造″による転移!
◆ □ ◆ □ ◆
■■の■の■
「は?何故故?」
まて、まだ慌てる時間じゃない……玉虫色に淡く光りながら拡大と収縮を、結合と分裂を絶えず繰り返す球体の集合体だなんて……空間移動系を使った後にこんな状況だなんて……Unwelc○me Sch○○lがBGMとして流れている情報で白目剥きたくなる奴なんですけどぉ!?
「アルアジフ!」
《 》
「え?」
《星渡りの民より生まれし新たなる伝令の者よ、突如呼び出してすみません》
「ヨグ=ソトース様、御用件を伺いましょう」
《やはり存じてましたね》
こんな風に転移に干渉してきて、しかもニャルラトホテプとしての権能の塊に干渉可能な存在ってだけで厄介なのに、その容姿を見せられたらねぇ……SANチェック1D10/1D100の発生です。ニャルなので免除、というプロセス挟まれていなかったら今頃発狂させられてただろコレ。
《この鍵を差し上げます。ですので時間旅行を企てている愚か者を止めて来てください。■■■■も配下の命が散る事を悔やんでいます》
「申し訳ない、貴方が指し示した名を読み取る事が出来なかった。ですので推測で聞かせて頂きます。悔やんでいるのはミゼーアであっていますか?」
《ええ、その通りですよ》
「では、その仕事をお引き受け致します」
そも、格として断る選択肢ないですはい。
ヨグ=ソトース:クトゥルフ神話において時間と空間を司る存在。実質的No.2だったりするほどやベー神格です
ミゼーア:ティンダロスの猟犬の大君主(王)で、同じく時間と空間に関する神格として扱われる。本来の神話ならバチバチに殺し合いの関係性です
ちなみに、両者の違いを上げるとするなら球体と鋭角という担当する区分の違いになります