物理の世界14
「戻ったぞ」
「御無事でしたか」
「襲撃を行っていた元凶をから叩き潰しておいた。完全に警戒を解いていい訳ではないが、一応終戦ではある」
結論から言うと、ショルダーバッグの中身は全て入れ替えられていた。黄金の蜂蜜酒やら電気銃やらあると便利そうなアイテムにな!
不覚すぎる。
「して、どのように転移してきたのですか?」
「教えるつもりはない。それと、アイリスの奴がここに来たら持ち得る生産技術を全て叩き込んでやってほしい」
「その件に関しては上司と相談してください。あちらでお待ちですので」
"言いくるめ"技能使えないけど、特技としての"詐術"で乗り切ろう。全貌バレたら真面目に面倒なことになるタイプの尋問が待っていたとはな。
◆ □ ◆ □ ◆
「貴殿がマナシ殿の要請に応じて来た救援ということでよろしいかな?」
「ああ、ちょうど別口からも依頼があったので片付けてきた」
「ふむ、その別口について教えていただけるかな?」
……この部屋の周囲を武装した兵士が囲んでいるな。この様子だと武力行使による拷問的な尋問も辞さないという意思表示か。
それで答えは変わらんがな。
「依頼の契約の都合上語る訳にはいかんからな。すまないが、答える気はないぞ」
「長官、この御仁は儂ですら手に余る強者です。再考を」
「う、うむ……貴殿のもたらした終息の知らせが事実であれば褒美を与えねばなるまいが、望みはなにかあるか?」
「後日我の専属技師がこの地を訪れる。その際に持ち得る生産技術について余すことなく教えてやってほしい」
「それが軍事機密であったとしてもか?」
「そうなるな」
長官とマナシ殿以外から殺気か。もしやいわゆる過激派と呼ばれる連中が勝手にこの状況を作っているかもしれんな。
アルアジフを出す訳にはいかんが、"精神感応"を頼む。
「話は変わりますが襲撃者に対してどう思っていましたか?」
「えっと、どういうことですかな?」
「正直に答えてもらって構わないぞ」
「この星にはスーパーヒーローという一騎当千の戦士達が居る。彼らですら劣勢を強いられた恐るべき侵略者、とでもいうべきか……彼らも彼らで犠牲者が出ていたはずだ」
「なるほど、興味をそそられる話ですね」
「奴らに生き残りがいるのなら、捕らえてその強さの秘密を探りたいと思う」
「捕獲を希望でいいのだな?」
「ああ、頼めるのならな」
あの同志はどこまで見通していたんだよ。ちょうど使いたかったスタンガンと即効性のある麻酔薬がバッグに入れられているとかサ。