物理の世界9
「キサマァ!!!何という事をしてくれた!我らが偉大なる神を封印より開放する為の神聖な儀式を邪魔しれてくれやがって!!」
黒幕が向こうから歩いてくるとはね。これは僥倖と言えるな。
負け犬が遠吠えしてるが響いて来ない。聞くに値しない演説ほど無意味なプレゼンはない。
「"武器攻撃"」
「話の最中に殴る奴がいるか!?」
「アンタの野望は此処でオワリ。あーしがあーしである為にアンタは死んでもらうよ」
「お前ら!コイツを始末しろ!」
決戦に入ったからモブの処理速度は落ちるが、標的が目の前に居るのにソレを無視するわけがない。
それに、無限沸きではなく奥義を耐えたかそもそも範囲外に居たかの二択で生き残りも少ない雑魚に負けてたまるかよ。
「この程度であーしが止まるとでも?」
「ショゴス、奴の動きを封じろ!」
「[奥義:女ネ申の抱擁]」
「んな!?」
ただの物理攻撃で倒せないのなら神にだって通じる一撃を浴びせればいい。連撃を以て一撃とする技だが、〆の一撃の余波で他の雑兵は動けなくなったようだ。
初めて使用したが、原作再現系奥義としてはなかなかの完成度だな。特に、部分的にとはいえ石化による行動阻害効果の付与なんて存在しないフレーバーの領域でしかないはずなんだ。
「中途半端な状態で申し訳なく思うが、召喚を決行する!お前たちは時間をk『ボクを生贄に狙っておきながら無様だねぇ』キサマァ!!足止めと並行してその黒猫を始末しろ!!」
『同志守って?』
「これにインしといて」
回復薬の類を入れていた大きめのショルダーバッグに猫をぶち込む。どうせ元手ナシで生成した物だから多少減っていても文句は言わん。
インベントリにも予備は入れているが、バッグに入れている物の方が便利な効果を持っていたりするからな。コラテラルダメージとして受け入れよう。
「マンホールみっけ。フリスビーをプレゼントふぉーゆー」
「ひぃ!」
「そこ、遁甲符」
しゃがむ事によって回避に成功したという結果に干渉して失敗させる。
マンホールの蓋ってかなり耐久性があって、重たくて、鈍器としては盾としても使える一品だ。それを顔面にダイレクトで当てられたらねぇ……言わずもがな大怪我は確定演出だ。
「なべじゃばをぶる」
「白痴の魔王様には眠っていて欲しい。ただそれだけだ」
『もうちょっと痛めつけてやって。そうすればあとはこっちで何とか出来るようになるから』
「りょ」
関節を外せるだけ全て外し、四肢の折れそうな骨を全てへし折り、次はどう解体しようか考えたところで止められた。
精神面がまだ息をしているのにとは思ったが、あとは同志に任せて静観とするか。




