物理の世界5
「ヤァ?」
ログイン早々コレか。全力で目を逸らさせて貰ったよ。
我は独房に入れられたはずなのに他の人が増えてたら……ね。
救援はまだ来ていないって事か。
「うん、その反応はボクの事を理解しているってコトでいいよね?」
通常の人間という種族ではありえない肌の黒さ、肌よりも明度の下がった黒の眼球に金色に輝く瞳孔。判断材料の決定打となったのは聖職者として身に纏う神父服。
「眷属を潰した件ですか?」
「あれねー。正直なところは感謝しているよ。ボクがどういう存在か理解しているだろ?」
「我の知識とここでの貴方が同じとは限らないし、第一ソレがあてにならない存在だろうが」
「解ってるじゃない。まあ、端的に言うと自分同士で殺し合いの疑似戦争やってるんだよね」
「そちらの戦力は?」
「これがないんだよねー笑い事ではない状況だけど笑っちゃう」
本当に笑えないし、巻き添えで人類滅びかけてるのかよ!
コレを差し出したところでムンビ共が止まるとは思えないからなぁ……腹を括るか。
「用件は?」
「同盟を組もう。向こうの勢力の最終目標は父さんを目覚めさせることだ。召喚の生贄として使用する魂のストックをするべく人間を狩っている……らしい」
「見返りは?」
「ボクの別側面として存在を認めてあげる」
クエスト報酬はこれまで自称だったのが公認どころか公式に変わる訳ね。アリかナシかで語るならアリ。だが、イマイチ情報が足りないな。
「オマエ一人が認めたところで他の奴がソレを許すのか?」
「ボクの立ち位置を軽く説明すると、千人いる中で三番目に偉いんだゼ?」
「上二人は?」
「一番は父さんの世話役、二番はそのスペアだが眷属たちの統括指揮とか雑用をしているよ。ちなみに、二人から承認は貰ったからあとはほんとに君次第なんだ」
「……総合すると敵を潰して空いた席に座らせるって事でいいのか?」
「Exactly!その通りでございます」
調べた通りの情報ならば、神たるコレがここに居る事がありえない事象と言える。
だが、矛盾こそが己が権能と言わんばかりの、言の葉を以て情報を伝えられぬモノ達のメッセンジャーとしての、機械仕掛けの神としての、そのありえないを覆すだけの役割がある事を我は知っている。
「さしずめアンタは人としてメッセンジャーを行う事が役目ってところか?」
「まあ、だいたいは神託で終わる話ではあるんだけど、うちの連中って人の言葉話せる奴がそもそも稀少すぎるし、意思疎通する為に相手を廃人にして目的を果たせなくなるとかもあるからね」
「高度な知能で行われる冒涜的すぎる思考が流れた結果か」
「そそ。あ、懸念していそうだから伝えると、君になにか常日頃から取り組む様な役目を与える事はないからね。ぶっちゃけボクのボディーガード兼非常時の暴力装置が役目になるはずだから。なんなら他所の神話の眷属になっても文句は言わないよ」
言葉を信じるならほぼメリットしかないが……さっきから使っている真偽判定系の力は全て正しい事を告げていると出た。
「同じ名を持つモノして同盟を受け入れよう。さっさと連中を滅ぼしに行くぞ」
「同じニャルなら踊らにゃ損損ってココを脱獄していいの?」
「ソレなんだよなぁ……」
整備にまだ時間が掛かるのか?それとも来ている途中で襲撃にあったのか?掲示板経由で情報を集めるか。
回答:君も仲間にならないかい?




