未知なる設計図 中編
「随分と降りて来たな」
「一応トップシークレットにしてるから私を含めたごく一部、具体的に言うと卓メンバーの中でも限られた人しか知らない区画だからね。言わずもがなサライ君もここは知らないよ」
設置した場所に案内すると言われて本棚を始めとした隠し部屋への気味を複数回経由しての現在地は地下(体感)10階、3mもあるんじゃないかと思う巨大な両開きの扉の前に居る。
一つ思うことがあるとすれば、地上の建物の耐震強度とか大丈夫なのかという点で、たぶん問題ないと信じている。多分きっとメイビー。
「そう言えば、我がここに来るときはクロエに同行してもらった方がいいか?」
「誰も教えて無いのにやってきて材料の提供やシンプルな作業の手伝いもしてくれた謎の御方を案内役にできるのなんてアンタぐらいだよ」
「姉様も一応対象者だぞ、その条件」
「え?あ、そうか。シオンさんって最優先のマスターが自分以上に優先しろと言っている相手だもんね」
「姉様との出会いが無ければ地獄に居ただろうさ。で、この巨大な扉はどう開くんだ?」
「ん?その扉は見せかけ用のだからこっちの通用口から入るよ」
……リアルに目星ファンブルしてるな我ってば。このお茶目さんが。CoCならKPによる描写が無いと詰む事例だぞコレ。
◆ □ ◆ □ ◆
「コレが完成品なのか?」
「いや、最後の一ピースが足りなくて起動できてないのよ」
「で、何が足りないんだ?」
「魔力を一切使用していない純粋な物理的機械文明の演算装置」
「形やサイズの指定はあるか?」
「ここに填まるならなんでもいいって設計図には書かれてたけど、演算能力が足りないと事故が起きて死ぬことになるらしいから演算能力優先で召喚お願いします」
「 知 っ て た 」
だよねぇ。
完成していたなら繋がった先の情報を少しは漏らしてくれるだろうからな。
となるといつものスマホなどの電子機器召喚に条件を追加してこねくり回すしかないな。
「クロエ」
「ここに」
「へ?え?え!?アイエエエ!?クロエ!?クロエナンデ!?」
「我が主にお呼び建てされたのならすぐさま馳せ参じるのは従者の努めですから」
「グレイとエピゾをここに」
「御意」
「……ねぇ、クロエちゃんって神官系の職業なんだよね?なんで忍者じみた動きが出来てるの?」
「ふ……結構前からリアルでやってる動きの一つだ。エピゾ曰く身体能力は私を超えたけど技量はまだだから師匠としての面目が保たれているだけだとさ」
物理でファンタジーに片足突っ込む奴がリアルに居る証明をされて戦々恐々としてるさ。オカルト系なら身内の御蔭でまだ馴染みはあったさ。
声に込められた意思を我限定とはいえくみ取れるって化け物の領域だろ。