休日の朝
キングクリムゾン
「さてと……朝食用意するか」
街の取材は終えた。取材対象店舗はすべて掲載許可も下りた。『騎士王』は会うことは叶わなかったが、カタログの礼として執務の合間に投げ掛けた質問リスト全てに返答を貰えた。
帰還してまるっと編集部に投げてログアウト、スマホで原稿書きつつ寝落ちだ。
寝落ちの時だけは寝起きがスッキリしてるんだよな。我の七不思議の一つだ。
「おはようございます我が主」
「おはよう。他の子達は?」
「まだ寝ておりますよ」
「そうか。今日は日曜日だし、夕方には帰宅する様に伝えておけ。あと、姉さんが近々帰ってくるから部屋の準備を頼む」
「へ?え、深苑さんが帰ってくるんですか!?」
「向こうで本人の口から聞いた」
あの後詳細を聞くと、フリーランスでやっている仕事で死にかけて療養したいからしばらく滞在させろとの事だった。
仕事が死と隣り合わせなのは知ってるが、姉様が悲しむから極力控えて欲しいのだがな。
貢がれているだけで生活が成り立つ女傑なのに命を削る行為は……
「黒依、朝食何食べたい?」
「我が主のお気の召すままにどうぞ」
「……冷蔵庫の中身見てる?」
「はい。在庫管理も私に与えられた仕事ですから」
「仕込みが終わってる事は分かるね?」
「私が焼きましょうか?」
「ああ、頼む。やりかけの作業を片しとくから」
乾燥させておいた食パンと元から硬いフランスパンのバゲット、これらを牛乳と砂糖を混ぜた卵液に一晩冷蔵で漬けこんでおいた。
あの二人のアレルギーに関しては連泊初日に聞いておいたから問題無し。一応保護者として他所の家から預かっている立場だから気にするべきところではあるからな。
あとは、シナモンにハチミツよし。ココアパウダーとココナッツパウダーも変化球として用意しておくか。
「……我が主?蜂蜜は最近値上げされていましたけど食卓に出すのですか?」
「腐らない事を利用して大量にストックしてあるぞ。具体的には姉さんの部屋の押入れに」
「え、それ大丈夫なのですか?」
「保存食のクラッカーも隣に置いてあるからおやつ代わりに喜んで食べるぞ深苑なら」
あ、猫気が利くじゃん。私の好物用意しといてくれるとかさ。
とか言って食べている様子が目に浮かぶからな。ハチミツ大好き人間め。
「あ、そういえばバイト行くのか?」
「それなりにアクションをこなせる中学生ぐらいの子役エキストラをご指名だそうです」
「送迎は?」
「優牙さんが車でやってくれるそうです」
「さいですか」
多分だけど、その役はエキストラじゃないよ。エキストラ扱いして経費削減したいのはなんとなく見えたが。
ストックの無い自転車操業が寝落ちした結果です
『騎士王』関連グダグダやってもしかないので飛ばします
ネタ切れによるスランプ回避ともいう




