ブリタンニア王都観光2
「まず、こちらが最上位の宿泊施設になります」
「泊まる場所はここを指定すると?」
「いえ、宿泊施設の指定はありません。気に入った場所を選んでいただければと」
例えるなら貴族の屋敷だろうか?外観から推測するに四階建てだと思うが……外観は魔法もあるからか苔などもない質素なレンガで彩られ、窓も今まで見てきた中では比較的透明度の高い高級な品。
屋上には貯水する為のタンクのようなものもある。
確かに高級宿だな。外観の情報から判断すると。写真は撮影したし、ここの掲載許可を貰わないとな。
単なる地図であれば国などの役所の許可が下りればどうとでもなるが、商売している店の宣伝になりうるのであれば事前に許可は取らないとまずい。トラブルになった例を知っているからな。
「一先ずはここにしよう」
「この宿は併設されたレストランが庶民の憧れの贅沢と言われています」
「行くぞ。部屋は断るが食事程度なら出すと言っただろう?」
◆ □ ◆ □ ◆
「何泊されるご予定でしょうか?」
「とりあえず十日、気に入れば延長も頼むかもしれない」
「かしこまりました」
「料金についてだが、この表のとおりで間違いないな?」
「はい、間違いございませんよ」
「先払いで」
信用などないだろうから一括で前払いの方がいいよな。
闘技大会でアズルに賭けた儲けが消し飛ぶなぁ……倍率からして是非もないことだから納得するしかないが。
グレイは大穴過ぎたのかアズルの半分ほどの儲けになったし、こちらを元手に観光取材は行おう。あと宿泊施設のチップ。
「満額お預かりいたします」
「私は記者をしているのだが、この施設の責任者に取材を行いたい。よければ取り次いでもらえないだろうか?」
「支配人は多忙な為、お会いできるかわかりませんがそれでもよろしければ」
「構わないよ。レストランが併設されていると聞いたからそこで少し遅い昼食を取りつつ待たせてもらおう」
「かしこまりました。ご案内致します」
護衛と思わしき衛兵が背後に控えてるのに一人分しか部屋を取らなくてもスルーですか。
一流のホテルは気遣いまで一流とはよく言うよ。
「あの、本当によろしいのですか?」
「黙ってついて来い。お前は一応護衛なのだから」
「……」
声に出さず頷く事で返事としたか。
メニューは……アーサー王伝説モチーフの場所だろうし、ブリテンの、イギリス料理か?だとすると……うん。メニューがレストランに無かったらシェフの気まぐれコースとしよう。コレを試すのも記事を書く上で目を引く内容にできるからな。