ブリタンニア王都観光1
「監視下から逃げ出さない事を条件に入る事を許可しよう」
「ありがとうございます」
入る事が許されたのならあとは案内に従い取材を行うだけだ。
簡易的な地図は用意しておきたいな。宿屋や飲食店に道具屋等の店の情報は最低限記したいからな。
いや、地図の用意はマッピングを見張りが許すかどうかでもあるか。
◆ □ ◆ □ ◆
「娑婆の空気だな」
「あの、先程までと雰囲気から言葉遣いまで違いませんか?」
「あの程度、変えたに入らん。それで地図の作製は許可降りたか?」
「観光事業の一環としてこちらでも使用させて貰うという条件で降りました」
王道ファンタジーの中世な世界観であれば観光名所と口コミで言われるような場所はあれど、地図を作り旅人が迷わぬようにするなどやらぬ仕事だな。
「案内係君、君の個人的な感想でいいからオススメの店を紹介してくれ。飲食店、宿屋、鍛冶屋、雑貨屋、市場などを見て回る予定としている。順序は問わない。近い順にでも構わないし、食事時が近いから飲食店に案内するでもいいぞ」
「まるで女王様ですね」
「実情は似たようなものだ。私が王として君臨して、統治は他の者に丸投げしているといえば国土を持たぬだけで部下との関係性はおおよそ間違いなくなるからな」
「…………もし、貴女が建国することがあれば自分を門番の衛兵として雇っていただけますか?」
「さてな。食事などの代金は私が持つから高級でいつか行ってみたいと思っていた場所でも構わんから案内を始めてくれ」
「はい!」
これはちょっとやらかしたかもしれない。
狂信的なストーカーがどれだけ厄介なのか身に染みて理解しているが、新しく生み出すとなるとな。いや、淡い恋心からさっさと騎士の忠誠に感情を入れ替えた方がいいな。
感情の状態を確認……は?愛情ではなく狂信を最初から引き当てていたのかよ!?よし、憧れに変えておこう。
「ん?今何かしましたか?」
「いや、なにもしてないがどうかしたのか?」
とぼけておくに限る。