血餅と楽な方法
「……痛覚がツラい」
「姉御、その、大丈夫なんですか?」
「治療薬作る方法が私の場合コレが一番速いから……」
リスカして、流れ出た血を餅の如く捏ねて兵糧丸という丸薬に作り替える……私のイメージというよりレベルの問題で丸薬以外の形状で作れない。
自傷ダメージで死にそう……(ダイスロール)のレベリングとしては最適解に等しいのかもだけど。
無心でダイスロールが行われている。うん、判定が必要な能力だからね。
あ、ファンブルした……生命力が減ったまま回復しない……全員分回復させた後、自分用で追加作成までしないといけない……痛みを伴う作業は趣味じゃないです。
「痛み止め買ってきたぞ」
「一本此方にも分けて」
「何やってるんですかソレ?」
「回復薬作り。痛みはあるからね?」
買い出しに行かせた奴が帰ってきて、痛み止めを分けさせたが……流血の感覚は消えないな。
今後は痛覚遮断用のアレコレも考えておいた方がいいか。
そんなこんなで三時間程作業を行い、全員と予備のストックの製作を終えた。
気を伺っていたのか、このタイミングで質問を投げ掛けられたのだ。
「なぁ、アンタの所有物になったら俺達だが、なにかやらせたい仕事でもあるのか?」
「今はない。というか、まっとうな仕事はできないの?」
「雇ってくれる場所がねぇんだよ」
「そう……雇ってくれる商会を教えたらそこで働くの?」
「まっとうに働いて稼げるならそうするさ」
商人の人と連絡取った方がいいかな。
となると、一度ログアウトしてリアルで一報を入れた方がいいかな。
「……椅子を一つ、私専用にして欲しい」
「俺が座ってたのでよかったら使ってくれ」
「じゃ、ありがたく。雇用先の心当たりに連絡とる為にしばらく眠るわね」
「あ、ああ……」
「コレ、私の今の全財産ね。生活費の足しにしときないさい」
「は?」
「おやすみ」
ログアウト完了。
メールの確認……商人の人から此処で待つと待ち合わせの告知が来ている。
じゃあ、そこに行きますか。
「HELLO WORLD」
「姉御戻って来たんすね」
「誘拐君、他のメンバーは?」
「下で待機してますよ」
ログインした私を出迎えたのは、此処に連れてきた誘拐犯しか居なかった。
ここ、複数階ある建物の二階以上の階にある部屋だとは知らなかったよ。
「休人が集まる噴水は分かるか?」
「分かりますよ」
「そこまで案内よろしく」
「かしこまりやした!」
「私を運んでた袋は?」
「コレですが……どうなさるおつもりで?」
「入って待機してるから後よろしく」
「分かりました」
うん、歩かなくて済むって楽だね。