伝説の闘技大会18
ダイジェストに近い形です
「回復反転部門、本来であればクロエに出てもらいたいところだが……」
「流石に決勝以外で戦う事になったら目も当てられませんので……」
アイリスは機体のメンテナンスに行くと言って出ていき、この場には我とクロエ、撮影係を任せているキョウカとカガリの四人に減ったな。
「猫さん、予選始まりました!」
「撮影忘れるなよ」
アズルの立ち位置は……フィールドの端、か。
何が起こるか目に見えてるのだが。
「エリアヒール一発で予選突破しましたね」
「神官系最高位ってだけじゃない。天が味方している奴に簡単に勝ててたまるか」
「そんなにあの人すごいのですか?」
「運という見えない要素によって何度殺されかけて、生かされてきたのか数えたくもないわ。仮にリアルで能力者が居るとしたらそのうちの一人として我は彼女の名を掲げる。運だけとは言えそれだけでヤバいからな」
純粋な部分が大きかった幼少の頃だからこそ反動が無かったのだろうが、今現在は関わり方を一つ間違えるだけで破滅が待っているからな。
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「1回戦目、えいと気合いを入れただけの普通のヒールで即死していますね」
「あ……クロエ、伝え忘れてた事がある」
「我が主の御言葉であればなんであれ受け入れますよ」
「非情に助かる。アズルの元で神官として修業する許可が下りた。闘技大会終了後、暇な時にでも三人で彼女の教会に行くといい。クロエは騎士団連中の対戦相手として指名されているから装備は整えておけよ」
「了解しました。全力で騎士団の方たちのプライドをへし折ってきます」
「そっちの二人も演習に混ぜてもらってレベリングしてこい」
「「はい!」」
クロエの負担が大きいとは思うが、恐らくそのうち我も理不尽な対戦相手枠として呼び出されるのだろうな。
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「2回戦目、普通の解毒魔法かと思われますが、毒のスリップダメージで即死ですね」
「魔法の効果を反転するだけでこうはならんだろ……いや、なっている以上なっとるやろがいだが」
「私が覚えている魔法の範疇でもまだ上のランクはあります。圧倒的過ぎて部門潰れませんか?」
「言うな。始まる前から分かり切っていた予定調和だ」
だからこそ動かせる資金を全てアズル勝利に賭けていたのだろうが。というか、勝ってもらわないと我の貯金が無くなって少々困る。
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「3回戦目、エフェクトからの推測ですが浄化魔法ですね。呪いと微量の回復効果によって即死と推察されます」
「呪い?」
「浄化魔法にて浄化する主な対象は呪いです。解毒魔法の例から考えるになんらかの呪いを付与する魔法になるかと。そして浄化の際に小数点以下の体力回復効果を持っている場合があります。呪いの浄化に際して弱った体を労わるという目的で入っていると思われますが……その回復効果が目に見えて判るほど強くなっていますね」
クロエも大概強い神官になるだろうが、自らが教祖兼神として崇められる奴の力は文字通り桁が違うな。




