買い取り希望
「ボス、上玉を一つ持って来れましたぜ!」
「ほ~ん?どれ、視てやろうじゃないか」
入れられてから体感で一時間程して、袋から出される事となった。おそらく、この時間で逃げようと抵抗するのが正規のルートだったのかもしれない。
山賊といえば?な格好をした連中から下卑た視線をこの身に受ける。
正直な話として、不愉快だ。だから、片付ける事にしよう。
自らの肉体として操るのは初めてだが、それでも慣れ親しんだ技の数々。
レベルが低すぎて一つしかシステムを選択出来なかった。だが、このシステムを使えるのなら問題はない。
逆襲の開始だ。
「逆巻け渦よ、螺旋となりて[奥義:魔眼の覇者]」
「は?あれ?足が……え?」
「おい待て、何が……ギャアァ!?!?」
無改造ではあるが、範囲攻撃。少し格上位の相手ならコレで機動力を削る事ぐらいは……って思ったのだが、コイツら痛みに弱すぎないか?
さっきの攻撃で視界に捉えた奴は両足折れているだろうから、攻撃が来ることに注意して探索しますか……名前、赤くならないよね?
まあ、誘拐されて、その誘拐先を探索して赤くなったらソレをネタに一つシナリオを書くぐらいはしますけど。
金庫とか無いかな?あれば資金の足しにするつもりだけど……というか、悲鳴がちょっと煩く感じてきた。
「ま、待て」
「何か用?」
「首が欲しいなら俺のをくれてやる。だからコイツらの命は見逃してくれ」
この人はボスと呼ばれていた人だな。そしてコレは幼稚で稚拙な命乞いかな?……んーうまくやれば人手の確保ができそう。
「そうね……貴方達はどんな組織だったの?」
「誘拐してきた奴を奴隷として売り払う事で生計を立てる予定だったんだがな、その第一例で終わった」
「私が攫われてきた奴隷候補一人目?」
「そういうことだ。星渡りの民……休人だったか?あいつ等の事を調べたいって需要が生まれてたからな」
被害者は私のみ。であれば私が口を閉ざせば誘拐そのものが無かったことになる。
「取引しましょ?」
「は?」
「貴方達の全て、この拠点とか諸々を含めて私が買う。そして支払いは私が握っている貴方達の命……でどうかしら?」
蠱惑的に微笑みかけてAPPで畳み掛ける。ダイスは振らない。ソコで1ゾロや100を出されたら堪らないから。
「お前の配下になれば見逃してくれるってか?」
「そう言っているのよ」
「受け入れよう。アンタに全て売ってやるよ」
「契約成立ね。最初の仕事は、コレ飲んで痛み止め買ってきなさい。治すその薬作るの時間かかるから」
「丸薬か?」
「ええ、二つ飲まないと全快とは言えないはずよ。自己治癒力が高い奴は知らないけど」
兵糧丸、生命力を回復する道具であり、私が使うポーションモドキ。自傷して量産配布するしかないわね。
なんか思考が女性よりになってきたな。まあ、違和感を消すためとは言え、なんとも言えない気分だ。どっちでもいいか。
最悪コイツ等は商人プレイするって言ってた奴に投げて使ってもらった方がいいかもしれない。
想定されている通常プレイからはかなりハズレた気がする。
当分は最終投稿から24時間以内に次の話を投稿するスタイルでやろうと思います