伝説の闘技大会11
「……ん?」
アズルからの質問攻めを乗り越えて人気のない通路で戻る途中、違和感を覚える。
闘技大会の裏にてなにかヤバいことが起きているようなそんな感覚が。悪寒、虫の知らせ、第六感……今この場で気が付いた方がいいことがないか"第六感"で判定、[3.3]の6で成功。
情報をシステムより受取……失敗?なぜ?ログに残る判定履歴には確かに成功の二文字がある。システムそのものを誤魔化す存在が?
否、プレイヤー達がそのレベルに到達するのはしばらく先になるとここ最近の調べでも明らかになっている。
そして、いまこの闘技場には住民の類は来ていない、来れていないことから……待て、アズルの周囲の警護をしていた存在は?
あいつらは冒険世界の住民ではないか?
そう考えると途端にあり得ない話ではなくなる。
最上位職の一部はシステムそのものに干渉して法則を捻じ曲げるとも。
そも、違和感を覚えた時我は何を見た?
視たのは魂魄、少女の魂が逃げ惑うような姿……捕まえて事情聴取といきますか。
「見つけた。君、すこし話を聞きたいのだが、いいかな?」
『すみませんが時間が無いので失礼します…………へ!?』
「声を掛けられたことに対する驚きかな?それとも姿を視認されていることに対する驚きなのかな?」
『私の事見えるんですか?』
「あいにく、眼が特別でね。それに合わせて耳も多少良くなっている」
すこしでも多くの情報を集めようとしてビルドの方向性を触っておいて正解だったな。
違和感の鍵となる彼女を見過ごすわけにはいかない。
『あの、教会の場所を知りませんか?私を成仏させてほしくて。どうもこのまま現世にいると私が爆発して周囲に甚大な被害を出してしまうらしいんです!』
「ちょっと待て。今調べる」
といっても、教会の場所ではなく彼女自身についてだが。
成仏させるだけならアズルかクロエの元に連れて行けば神官としての仕事の一環でやってくれるだろうからな。
これだけ、はっきりと自我が残っている存在を捨てるなんて勿体無いからな。
対象を目の前の少女の秘密を対象に……いや、エニグマチェック。公開されているエニグマは無し。
改めて秘密に対して情報判定、"内偵"で自動成功。
対象の所有HO閲覧。ステータス看破成功につき確認。
特殊状態異常『死せる最後の大博打の呪縛』を確認、解呪を
「ごふ……」
『大丈夫ですか!?』
「問題無し」
知ると伝播するタイプの呪いだったか。吐血したが、ログに詳細が載ったな。
解呪は神でもないと不可能と来たか……掛けたのは■■世界……文字化けのバグか?いや、現段階では理解不能な文字列故に読めないように処理されているとみた。
今までの情報を精査するに、聞き取りをやってみるか。
「お前はどこの世界出身なんだ?」
『■■世界だけど、それよりあなたも教会で祓ってもらった方がいいんじゃ……』
「死霊大百科、ここに君を封印する。次に会う時はその呪いをなんとかしてやれる状態になってからだ。我は死んでも蘇る。故に気にするな」
『え?ちょっとま』
ニャル「別に死ぬ気はないぞ?」
作者「技があっても理屈考えるのこっちなんですケド!?」
筆が乗ると登場人物達が制御下から外れて暴走する……




