伝説の闘技大会9
「次の相手は……聖印と思しき意匠、アズル騎士団の構成員か」
「我が主、それは……」
「勝利を祈祷されていたら負ける可能性があるな。だが、油断をなくして勝率を100に持っていけたら勝てるはずだ。流石にかのアズルとて0を覆すことはかなわんからな」
……今一般の観客席に居るアズルと思われる人物と目が合った気がする。気のせいだと思い……こちらをガン見してきてるな。
あの手の動きはハンドシグナル?「解読すると遠慮せずプチっとどうぞ」?
あの人そう言えば機械系のロマンに理解があり、自らも好きなロマンの一つだったな。
「クロエ、他の試合についてだが、メンバーはどうなっている?」
「騎獣に差はあれど、鎧の意匠が同じもしくは共通する部分の多いことから同じ組織に所属しているのでは?と掲示板からの情報です」
「なるほど。アイリス、メガホンあるか?」
「紙で作ったやつでよければどうぞ」
グレイの奴に発破かけておくか。じゃないと負けかねないし、あわよくば業務提携をしてもらえるかもしれないからな。
『アールグレイ、我が命ず。蹂躙せよ!圧倒的な力を以て!』
『■■■■■■■■■』
「なに今の……?」
「体が震えてる?」
竜の咆哮、それにともなう空気振動による威圧感。いや、魔力なども載せられているから魔力でも当てられているな。
それにしても観客席にまで届くとはどんな声量で出しているのやら。出したドラゴンはともかく、グレイは気絶しかねんぞ。
「我が主、相手の騎獣が普通の馬だった為か気絶してしまい、3回戦目が不戦勝に近い勝利となりました」
「私、あんな機能知らない。スピーカーなんて余裕なくて積んでないよ?だから、機体性能じゃない。でも、あれを攻撃に転用できる仕組みを用意すれば立派な兵器にできる。やばいインスピレーションがとまらない。マスター書くものだして、メモするから」
「筆記具は後で返せよ」
紙と赤青黒の三色のフェルトペンと鉛筆と消しゴム代わりのパンを渡しておけばいいか。
インク切れを警戒して黒は二本、紙は持っている白紙の物を全て提供しておこう。あと、鉛筆を削る用のナイフも置いとくか。
「あの、なぜ消しゴムじゃなくてパンなのですか?」
「カガリは知らないのか。消しゴムが作られる前に鉛筆で書いた物を消す道具として小麦で作られたパンが利用されていたんだ。ちなみにこれは消しゴムの代用品としてレシピが開発されたものだから味は微妙、というか他に食料があるなら食べたくないと思っている……未使用の奴がひとつあるから三人で分けて食べろ。切り分けろよ?」
「「「はい!」」」
じっと見つめられて味が気になりますと主張されたらな。
幸いにも口直しになりそうな品はその辺の机にあるから心配してないが……吐き出すだけはやめてくれよ?
神様系教祖様と目が合った
本気見せろと指示を出された
本気を出させたら準備段階で勝ってしまった←イマココ