伝説の闘技大会8
「人で言う顔の部位、ブレスを吐けるように仕込んでいたのか?」
「いや、しいていうのなら仕込んだ機構は霧吹きだよ。ただし、出てくる液体は油だけど」
火に油を注ぐをやるとはな。となると、糸を焼き切る為に火種を出しているのはドラゴンの方か。
油を霧吹きで散布して疑似ドラゴンブレスとするとはね。本来の威力には火力も光量も届いていないだろうが、龍を思わせる迫力はある。
「キョウカ、カガリ、二人も疑問点があればクロエとアイリスに投げかけるといい。戦闘的な話はクロエに、機体的な話はアイリスにだ」
「予選の他の会場の情報とか調べたんですけど、機械に乗っているのアールグレイさん一人ですよね?なにか理由でもあるんですか?」
「あそこまでの機械を作れる技師が何人このEHOにいると思うの?私だって、材料が不足してなければもっとすごいの作ったのに……材料が足りなさ過ぎてああなってるの。半導体が足りない。もっと言えばプラスチックが、石油そのものが足りないの。商会の錬金術師をフルで動かしてギリギリ足りたぐらいシビアな足りなさよ。普通の樹木からプラスチックの精製までの理論を叩き込んで術式組み上げて効率化してといろいろと手を尽くしたけど、石油があった方が圧倒的に早く終わる。だから欲しいものを出世払いでとかいうぐらいなら石油を掘り当ててきなさい!!」
これはアイリスの魂の叫びか?
取材候補者リストに【石油王】の職についている奴が居たな。今度取材に行って仕入れ交渉もしてやるか。
「ねぇ、マスター。苦笑してるって事は心当たりがあるの?」
「当分無理だぞ。クロエから聞いてる情報から推察するに区画が遠すぎる。それより先に、自他共に認める最強の『超越者』に取材へ行くから闘技大会終わったらすぐに行ってこいも聞けない相談だ」
「我が主、僭越ながらお供いたします。道中の露払いはお任せください」
「いや、クロエは二人と一緒に行動していてくれ。我単独で行った方が今回ばかりは都合がいい。忍法の試運転を本格的に行いたいからな」
基本的にボス戦無しでは通り抜け不可とされる区画の境界、それをすり抜ける方法がいくつか思いついた。
だが、実験して何かペナルティが来た場合、他の奴を巻き添えには出来ない。
被害は我一人でいい。じゃないと、敵討ちだと躍起になりかねんからな。
「ん?相手白旗振ってるな」
「打つ手なしになって、降参したようですね」
「猫さん、スマホのバッテリーが切れそうなんですが充電器ありますか?」
「充電器……あ、手回しのならあったわ。というわけで食事の代金代わりによろしく。必要とあれば消耗品もうちの商会から持ち出していいぞ」
たしかコンセント無いし、普通の発電機用意しても燃料の問題がある。太陽光など自然エネルギーは天候などに左右され過ぎるからいつでも使える手回し式を召喚したんだったか?
そう考えると、どこからコレらの品は召喚されているんだ?
ちなみにニャルは石油も召喚可能な対象なのでそのことにアイリスが気が付いたら石油召喚Botにさせられます
理屈が通れば割と無法で何でもできる
それが〔シノビノカミ〕




