寝起きの甘え⇔閑話:黒依とお友達
「ただいま帰りました我が主」
「黒依ぇお帰りぃ?」
「眠るのであればソファーではなくベッドでお願いします。来客もありますので」
「……もしかしてお邪魔?」
「帰ろっか?」
んえ?・・・は!?
「あ、えっと、いらっしゃい。そこの棚にあるおやつは自由に食べていいからね。ジュースとかは冷蔵庫の中のをご自由に。お酒だけは飲まない様に注意してね」
よし、部屋に戻ってこの羞恥心を筆にぶちまけよう。
「あの!我が主さん、黒依ちゃんとはどんな関係なんですか?」
「……え?ああ。私にとっては大切な妹かな。黒依からの私に対する思いは聞いてると思うけど」
「はい。耳にタコが出来そうなほど聞かされましたよ」
「じゃ、私は部屋で仕事してるからごゆっくり」
「我が主、この者らは今夜ここに泊まろうとしているのですが、よろしいでしょうか?」
「保護者の許可を取れ。それが出来てるなら許す」
よし、部屋に逃げ込めた。鍵掛けとこ。
……仕事、無いわけじゃないけど、警察の区分的には無職なんだよなぁ。
たまには稼ぎを増やしとくか。
◆ □ ◆ □ ◆
「逃げたね」
「那谷さん、あの人のお名前って……」
「……?我が主は我が主です。名などどうでもいいのですよ」
実際、私も知りませんし。
私が知る必要は無いと我が主は判断成されているのです。そこをわざわざ掘り返す必要などありません。
「ええ……まあ、でも、あんなにモテそうなのに黒依ちゃん一筋なんでしょ?ロリコンなんじゃない?」
「あー我が主の恋愛対象は可愛ければ老若男女問わずだったかと」
「え、マジ?」
「性癖を語り合うゲームをやっているところを目撃しまして、そのゲーム中の雑談で聞いた話ですから……どこまでが本当の事なのかは私も知りませんよ」
ええ、小学生の前で何やってるですかこの大人達はと当時は考えてましたが、我が主の好みに近づく為の努力を行えると思うとよき情報収集の場でした。
「あ!?コレご当地限定のポテチじゃん!?なんで!?」
「知り合いに送ってもらってる品の一つだったはずです。恐神さん、食べたければどうぞ。私は夕食の準備をしてますので」
「え?」
「百鬼さんもどうぞ」
「えっと、那谷さんが夕食を作られるのですか?」
「はい。我が主のお手を煩わせない様に、我が主の好みの味になるように、日々努力してますから」
食事中の表情から食べるペース、リクエストの内容、取り寄せで届く食材の種類……これらから総合して統計ととり、好みを押える。
そして、洗濯や清掃と言った家事の類いも私が我が主に頼み与えてくださった仕事ですので手を抜く訳がない。