VIPエリアへ
「……確認だけどさ、その服何処で入手したの?」
「我々がそうであるように、コスプレ文化をEHO内へ広めようとしているクランがあります。そこからの提供でいただきました」
「業務提携先か?」
「猫紫苑会の下部組織の一つとして楽しみたいのでクラン名は〔コスプレ組〕を名乗るそうです。屋号としては異世界衣服店を名乗っていたはずです」
「そっかー」
「我が主が普段から召されている服もそこの者に作らせた特注品です」
「なるほどねぇ……」
どおりでコスプレちっくな装飾があると思った。でも、この体を活かした美しいドレスだからな。現代風普段着も着心地良いし、御用達ブランドをいつの間にか作られてた……クロエ、お前の成長速度凄いな。
なお、現在はカジノにてスロットを目押しで挑戦中です。
クロエは神官らしい服装から着替えてメイド服を着ている。その上で私の背後にて控えて、まるで私がお嬢様であるかの様に振る舞っている。
現地民の貴族っぽい客から声かけられて、クロエが全部捌くことになる程度には完成度が高い主従に見えるそうだ。
「お客様、少々よろしいでしょうか?」
「ん」
「御用件でしたら私がお伺いします」
「『コロシアム』での賭け事などはご興味ありませんでしょうか?」
これは暗に移動しろとカジノ運営側からのメッセージだな。悩む振りをしつつ、スロットを行い、時間を稼ぐ。
お、777出た。移動しようか。
「行くよ」
「承知しました」
「配慮いただき、ありがとうございます」
カジノは一定金額分の勝ちを納める事によってエリアが随時解放されていくシステムらしい。
受付で初回渡されるカードで確認できるが、あれ?VIPエリア行けるな?
「VIPの場所は?」
「こちらです我が主」
賭場としてのサイズが大きくなってるな。建物が違えば置いてあるゲームも多少は変わるか。
トランプ系はあまり好きじゃない……ルーレット?選択肢が多いからちょっと……スロット安定かな?
「我が主、こちらにも『コロシアム』はあるようですよ」
「へぇ……」
ん?ルールとして従者を選手として送り出す事が可能、敗北するとそれ相応のペナルティを支払わないと従者が帰ってこれなくなる……クロエって今従者ポジションだよな?
アリだな。クロエで一儲け……クロエに頼むか。
「クロエ、選手として出てこれるか?」
「我が主の命でしたら。勝利を献上致します」
「よし、行ってこい」
私が賭ける物?この暗躍街に来てからの収益をオールベッドだ。
負けたら負けたで髭に救援を頼んでお金持ってきてもらうしかないかもだけど。
それに、クロエが拘束されたところで多分自力で脱出してくるだろうからさ。
似たような事やってたからな。




