バトルロイヤル その19
『殺されたい奴がまた来たようだな』
墓場にサーヴァントが入るのを確認し、聞こえるだろう声量で、エコーを掛けて語りかける。
鈍色の裾が擦り切れたローブを身に纏い、フードを深く被っておく。
仕上に大鎌を片手で持ち、スコップを背後の地面に複数突き刺しておけば死神コーデの墓守と見えなくはないだろう。
「ハカモリ様、こちらの方々は願い事をしに来たそうです」
『告げよ。ソレを狼煙として首を狩りとろうぞ』
「ショウ君、どうするの?」
「俺が決めちゃっていいのか?」
「ショウ以外が決めたら後で揉めそうだからな。ショウが決めて」
「分かった。ハカモリ様、あなたが眷属にした少女達を蘇らせて開放してあげて欲しい」
……はぁ?いや、ショウの性格を考慮したらそうなるか。
アインはサーヴァント製作成功例第一号故に見た目に拘れず、顔がパッチワークのように縫い目が刻まれているからな。
アンデッドの類だと判断したか。
"射撃戦攻撃"を"刀術"の指定特技で行使、判定成功。斬撃を飛ばして首を狩りと……普通は見えないはずの攻撃を剣で迎撃したか。
まあ、想定内ではある。この程度も捌けないならアイン単騎で殲滅可能だろうな。
さて、仕切り直しとして距離を詰めて前衛から狩り取ろう。
「喰らいなさい!」
『何処を視ている?』
格闘家が鎌目掛けて殴ってこようとしたのでソイツの背後に回る。
「な!?」
『まずは一人』
大鎌による薙ぎ払いの接触とヨグ=ソトースの拳の着弾を同時に行う事で強烈なノックバックを発生させる。その後は保護を掛けて強化してある壁面に衝突。この衝撃によりHPがマイナスへ突入し、強制的に気絶させる。
そして特に意味の無いオーラエフェクトを纏う事で倒されれば相手が強化されると印象付ける。
「ハルララ!」
「「ここ!」」
いやらしいタイミングで遠距離攻撃が差し込まれるものだな。
矢は掴み投げ返して間に合わなければ切り捨てて対処、魔法は小石を当ててこちらに着弾する前に処理を行う。
今まで術関連アルアジフに頼り過ぎて遠距離攻撃による攻勢に出にくいな。
忍法系であれば可能だが、威力が技によって固定されているから調整が効かんからな。手加減が出来ん。




