バトルロイヤル その13
「猫さん」
「なんぞや」
「なんでガトリングで全弾命中させてるんですか?アホなんじゃないです?」
「……セス、落ち着いて聞いてくれ。HEO内での我が制御可能な最高速度と比べてあの弾はかなり遅い方なんだ。干渉できそうだったからしてみたら案外外れるはずだった弾もぶち込めたぞ」
「あ、やっぱり最高速度は制御しきれないんですね」
「思考加速が追いつかんからな。あと、光よりも速く動けるから視角があまりあてにならん」
実際、ティンダロス達との組手の最中にどこまで速く動けるか試してみたが、一定のラインから自身の思考能力にキャラシ由来の思考加速やらなんやらを盛り込んだ状態でも肉体制御が追いつかず、ミゼーア殿に呆れられたからな。
一応ドラグナイトに飛び乗った時の速度は光よりも速い状態だった。でなければフランセット殿の警戒網を掻い潜れんよ。
衝撃を与えない為に重力操作や飛行魔法を組み合わせて減速をしたが……着地した部分、ボディが少し凹んでいるな。
ん?セスの視線が足元に……
「……猫さん、私がチクるのと強請られるの、どっちがいいですか?」
「お望みは?」
「姉さんを使い魔にしてあげてください」
「本気か?」
「種族、そういう風に弄くり回せて姉さんを預けられる存在って猫さんしか居ないんで」
「へ~断りづらい言い方しやがって。で、誰にチクるんだ?」
「ミオンさんです。アイリスちゃんの場合はしれっと受け流すと思うんで」
「いいチョイスだ。実に感動的だな。だが、的確に急所を抉ってきやがる」
「そんな褒めないでくださいよ」
精神的な話なら実に致命的な攻撃だよコイツ。
分析も正確、ミオンはクロエが居なかったら確実にからかいに来ると確信できる。親しいからこそ互いの行動がある程度読めるのでキツくなる部分があるのだよ。
言われずともやるつもりだった話だ。なんの問題もない。
「やれるだけやってみよう。ちょうどサンプルもあるからな」
「あらら、姉さんが既に話回してました?」
「新型の金庫が発売されたと営業された時にちょっとな」
「ああ、なるほど。あの件ですか。で、アレ買ったんですか?」
「メーカーの営業に対する義理で在庫置いてただけだろあの欠陥品」
「ありゃりゃ、バレてますか。そりゃお互い血統だけは折り紙つきですからねぇ」
「クズとしてだろソレは。その方向性が明後日の方向に行っているから周囲への実害が少ないだけでよ」
「そんな悲しい現実突付けないでくださいよ猫さん」
「そっちが振った話題だろうが」
……ジト目で睨みつけてもセスの場合は喜ばれるだけか。
よし、この三人に仕事を任せて村の様子を見に行くか。




