バトルロイヤル その10
「用無しって事は分かっているんですけど、最後に一つ聞いてもいいですか?」
「何を?」
「この安全地帯は廃村型です。別々の場所に別れて歩いて自分は入れそうな家に入ったはずです。なのになぜ屋外に出て会長様が目の前に現れたのかだけ教えてください」
「簡易的な転移門で呼び寄せた。座標が分かっていればそれほど力も無い奴相手にこの程度の事はやれんとニャルを名乗れんよ」
というか|Nyarlathotepという存在は別の神話の最高神やそれに準ずるような神すら己の化身の一つとさえ言われる存在だからな。
現代における集合知としてのニャルであれば世界の創造と破壊を、もっといえば上位の存在による覆せない世界の破滅を時を遡らせたり平行世界に移動したりしてただの人間に覆させるような力を持っている……とされている。
ぶっちゃけて言えばご都合主義の塊、TRPG界の機械仕掛けの神等不可能などなく、やれると思えば実現できるだけのカタログ外スペック持ちとして扱われる。
だからこそ、
「神は理解できないからこその神であり、理解できたのならソレは神ではない」
「えっと?」
「信仰の剥奪は神秘の解体から始まる。お前が覚える必要のない、かつて行われた神殺しの方法だ。といっても、超絶マイナーな土着神故にここいらの世界に住む神々に通じるかは別だがな。信仰が互いの力となるので知的生命体を皆殺しにでもしないと信仰方面での殺傷は難しいはずだぞ」
「まるで自分なら出来るし、やるみたいな風に聞こえるのですが……」
「フフフ……リアルでお祓いを希望するならいい奴を格安で紹介してやるよ」
「いやほんとどの業界にいるですかアンタ」
「裏よりのニートです。ホントホント」
姉さんの紹介料は微々たる金額故に無いものとして、お祓いの料金は一銭も出してこない食費として消えましたとでもいえば格安どころか無料でやらせられるだろうからな。
交通費に関してもアレには頼りになる足が居るだろうからな。ミオンが公共交通機関をタクシー以外で使用している場面を我は知らない。
閑話休題
「えっと、こっち見つめてなんですか?」
「この廃村、どこか一つの組織が拠点としている訳ではなくソロか少人数パーティーの休憩地点として利用されているよな?」
「見た感じ確かにそうですね」
「復興してみないか?」
「……寝言は寝てから言ってもらえませんか?」
「簡易的な施設を用意すれば収入になるし、復興したとなれば宣伝にもなると思うぞ」
我専用の工房とか一時的にとはいえ欲しいからな。木を隠すなら森の中、建造物を隠すなら村の中ってな。
さて、着地点が見えていない状態のバトルロイヤル編の着地点が見えてきました
墓地か洞窟か廃洋館か……さてどうなることやら




