バトルロイヤル その8
「……久方振りに人を斬った。心はやはり枯れているようだな」
「会長様って実はリアルにヤ―さんだったりしません?発言が時々そんな感じがするって会長様と関わりのある商会メンバーで噂が出回っているんですケド」
「んー聞かれれば答える話ではあるが、本当に聞きたいか?」
「是非にお願いします」
くっそくだらない類の雑談におけるこの手の質問でマジに聞いてくる奴はなかなか居ない。肯定も否定もせず、のらりくらりと躱せるのならソレが楽なのだがな。
「そう難しい話じゃない。昔、似たような業界に居ただけだ。未だに我の信奉者が居るからなのか足を洗い切れているとはいいがたい状況だがな」
「……その言い草、思いっきり裏社会の人間だって言っているようなものですよ?」
「誓って向こうじゃ殺しはやってないぞ。法はバレなきゃ犯罪じゃない、訴えられなけば有耶無耶であるという理論の元無視している時もあったがな」
無視していたのは主に不法侵入や無免許運転だったな。
命あっての物種故に命を狙ってくる奴らから逃げるには無視せざるを得ない時もあるからな。
「……コレ警察にたれこんだらどうなるんだろ?」
「一応言っておくが、日本国内で前科が付くような行動はしていないからな?」
「どっか別の国じゃ指名手配されてるみたいな感じですけど」
「言っただろ?バレなきゃ犯罪じゃない、訴えられなければ、現行犯で捕まらなければ有耶無耶に出来ると」
村雨を握って、過去を思い返すともう片方の得物も欲しくなるな。
アルアジフで代用可能とはいえ、万が一を考えると製作を進めさせた方が良さそうだな。
しかし、マニアなら完成させていてもおかしくはない程度には時間は経っているのに噂を聞かないとなるとなんらかの法則の違いが障害となって……いや、単純に火力不足と採算の都合上一般流通するほどではないと考えるべきか。
思い返せばアイリスの奴が火薬の用意に成功していたし、作れなくはないはずなんだ。
となると我の情報網が貧弱すぎるだけだな。
「考え事は終わりましたか?」
「まあ、な。どこかに安全地帯はあるだろ。そこまでは送り届けてやるさ」
「ありがとうございます」
「自分も便乗していいですか?」
……居るのは気が付いていた。あえて無視していた。なのに出てきやがってぇ。面倒くさいのでアレで決めてやろ。
「はいコレ」
「D100ですね了解です」
「え?え?」
「84です」
「62、出直せギャンカス」
「ヨグパンはらめぇぇ~~!!」
「え?えっと?どういうことなんですか?というか、なにがおきたんですか?」
「知り合いが来て、同行を申し出て来たので、賭けをして、その結果遠くに吹っ飛ばした」
賭けに乗るようならまだ余裕ってこった。
自力で目指すといいさ、地獄までの方角はサービスで合わせてあるからな。
D100勝負:1D100を行えるダイスによる出目勝負の事
事前に宣言などしていなければ基本的に出た数値が小さい方が勝ちとなる
出目の良さを競う為、基準が変わればルールが変わるがCOCというD100を使うTRPGの中でも最強格の存在がいるので基本的に小さい方がよいとされる




