バトルロイヤル その6
「見えないナニカに殴られた……」
「現状における最大限の譲歩をした運搬方法だ。苦情は受け付けん」
「そんなー」
グレイの奴、この森に我が居る事に気が付きでもしたのか?
我が移動を開始してしばらくして方向転換したようだが……あ、ド級の馬鹿が機体に引っ付いてるな。
流石に得意の得物はどこかしらに格納しているようだが……奴にはあまり関係のない話か。
「お、カモみっけ」
「相手二人でこっちは六人、考えるまでもなく狩れるな」
「えっと……会長様、応戦お願いしまーす」
だろうな。前に雑談で聞いた話だと戦闘系のスキルを全く所持していないらしいからな。
それに索敵はしているが問題の無い範疇の奴らしか引っかからないので護衛の真似事でもして感を取り戻すリハビリとしゃれこむか。
◆ □ ◆ □ ◆
『で、お前は主の元へ馳せ参じないのか?』
『……あの人は私が自我持ってることを知らないから。それに、私にそこまでの力は無いよ』
森で行われている乱闘を上空より観戦している少女とその腰に下げられし打刀と脇差、この二振りで行われていた会話に少女も混ざり始める。
「村正ちゃん、なんでルーちゃんの所に加勢しに行ったらダメなの?」
『戦闘が苦手な姫様をあの乱戦に参入させたら混沌を極めるのでダメです』
「そっか。レギオン、数が減らない程度に援護してきて。ラクネも出来そうならお願い」
「かしこまりました姫様。あの乱戦にて経験を積めるであろう我が子をレギオンの補佐に付けて援護に向かわせましょう」
『……気が付かれたな。姫様、苦情は後で聞かせていただきます』
◆ □ ◆ □ ◆
「視ているな?ならば来い、村雨!」
「お前いきなり何言ってるんだ?この不利な状況に頭イカれたか?」
気がつけば戦闘は20対1の形で護衛も並行して行っている。
現実に即した身体能力で特殊な力も無しに戦おうと思うとやはり苦戦するな。相手が身体能力に技術の伴わない素人故に何とかなっているとも言うが。
だからこそ、戦況を切り替える一手が必要だった。
気がつけたのは幸運とも言える。
アレに力があるのはなんとなく察していた。
でも確証は無かった。だから要所要所で使っていた。
姉様によって投げられたソレは私の心臓目掛けて飛来する。
その一撃を体を半分ズラす事で回避し、柄を受け止める。
偶然というべきか必然というべきか、その飛来したソレは敵対していた相手の心臓に刺さって止まっていた。
相手の防具が革鎧だったのが要因だったのかもしれない。
「村雨、斬れ味だけ保ってくれればいい。後は自力でなんとかしよう」
まずは一人。
村雨関連で悩み続けた回です
多分次回猫流が無双してる




