ハリボテ状態とは言え街ってこんな簡単にできたか?
「主様、客人が上で主様をお呼びしていますが、どうなさいますか?」
「ん?テネブラルムか。それで客人とは誰だ?」
「存じませんよ。紹介されていませんし、覗いてもいませんから。呼び出し内容ですが、第一階層にて造られている街がハリボテ状態とはいえ出来たので確認を願いたいとの事です」
守護者の間で間借していた管理室、そこで今ドールの器側の生産が軌道に乗っていたのだがな。
仕方ない、行くか。優先事項の問題だしなコレ。
◆ □ ◆ □ ◆
「質問、どのくらいの時間でコレを作り上げた?」
「うわぁ!?っと会長様ですか。驚かせないでくださいよ」
「すまん。それで質問の答えは?」
「リアルで三日ほどです。あと、人事部から睨まれてるんで人員の配置だけはお願いしますよ?」
「解ってる。視察も問題なさそうだからな。渡した設計図に不備などの質問事項はないか?あるならこの際に済ませておきたい」
「特にはないです。結果が同じなら工程は問わないのですよね?であれば問題なくこの鈍器で進められますので」
「そうか。ところで、どうやって下層と連絡を取った?」
「この本に書かれている儀式をしたら蛇がやってきまして、その蛇に話しかけただけですよ」
わっと?
あ、アルアジフにダンジョン内に関する注意事項を任せていたが、もしや連絡手段も入れていたのか?
「……ちなみに、その蛇はどうしてる?」
「街のランドマークとなる予定の祠の一つに入り、寝ています」
「……そうか。そのまま祭っておけ」
「やっぱりあの蛇ってヤバいお方の眷属とかだったり?」
「大雑把にいうとな。このダンジョンで暮らすなら下手に機嫌を損ねない方がいい」
「馬鹿やったら?」
「アバターロストを覚悟しろ」
そこ、顔が引きつっているのを隠したいのだろうが、できてないぞ。気持ちは分からんでもないが。
相手が規格外でもない限りやれそうなスゴ味はあるからな。
「ところで、下の階層で何をなされていたので?」
「モンスターのリスキルをして人員の製作を少々」
もはや、トライ&エラーしすぎて時間の感覚が消え始めていた。
器はともかく中身が用意できるかが微妙だったからな。
この際だ、禁忌に触れようが乗り越えてみせよう。
次は多分猫流の手記になるかなぁ
そっちが出来上がるといいなぁ




