閑話:黒依と黒い笑み
「少し当てに電話してみます」
「え?そんな人いるのかい?」
「……ギャンカス、今日は暇ですね?暇でなくとも予定は自己完結のギャンブルしかないのでしょう?軍資金として使える仕事を差し上げましょう」
『はい、暇です。どのくらい貰える奴ですか?』
「基本報酬一万、納期成功報酬一万、全ての権利の譲渡で二万、その他条件達成で一万の計五万です」
『お任せを。必ずやご期待に応えましょう』
「詳細としては私のテーマソングの作成、納期は本日中です。その他の条件に該当する部分として歌詞の作成とこの仕事に関する内容を口外等しない事です」
『……やったらぁ!』
「では完成次第連絡をお願いしますねギャンカス。あと、次引っ付いてきたら教育委員会に突き出すので」
『ヒェッ』
「ひとまず本日中にはこれで届くでしょう」
腐っても女子生徒と男性教師の関係性、そして周囲の目撃証言も多数出るであろう現状。出るところに出たら奴は社会的に死ぬことになるでしょうからね。
「ねえ、黒依ちゃん。ギャンカスってあのギャンカス?なんでアイツなの?」
「音大卒、専攻科目は作曲。そして成績は首席を入学当初より維持して卒業したそうです」
「はぁい?あのギャンブル中毒者が音楽の専門家?嘘でしょ?」
「学校での担当教科も音楽ですよ?何をいまさら……私以外ほとんど知らない情報でしたね。我が主も配信や動画のBGMの作成をあのギャンカス教師にやらせてたので私も似たような価格と納期でやらせただけです」
「ちょっと待てよ?そのギャンカスって人は教師なんだろ?教師が副業って大丈夫なのか?」
「問題ありません。これは副業などではなく趣味で作成した成果をたまたま買い取ってくれる相手が居ただけですから。第一、この取引は奥方の名義で行われるので本人に責が及ぶことはありません。そうでなくともこの番組の制作協力者として引き込んでしまえば楽曲関係で頼れる存在の出来上がりです」
「わ~お……黒依ちゃん、たまたまシャッター押しちゃったこの写真なんだけど私のSNSに上げてもいいかな?」
「四季さん、まだ未放送の作品ですよ?放送開始して、私の出番が来てからにしてください」
「笑みの黒さに魅かれて採用したけど、やっぱり身を震わせる迫力があるね」
「笑顔だけでコイツならやってくれるという凄みを感じさせるよな」
監督と脚本家から邪な感情を向けられている気配がしますね。目障りな事を除けば実害はないので放置しておきますか。
次回からリアルよりHEOに戻りまーす




